業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

指標

2021年3月期

(前年実績)

2022年3月期

(修正計画)

2022年3月期

(実績)

前年比

計画比

売上高

9,101,930千円

9,325,822千円

9,153,473千円

100.6%

98.2%

営業利益又は営業損失(△)

△903,749千円

302,580千円

193,706千円

64.0%

経常利益又は経常損失(△)

△509,815千円

405,132千円

301,299千円

74.4%

経常利益率

△5.6%

4.3%

3.3%

1.0%減

親会社株主に帰属する

当期純利益又は

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

△621,872千円

342,457千円

44,872千円

13.1%

(注)計画値につきましては、2022年2月2日に期初計画を変更いたしました。

 

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における日本国内の経済環境は、一時的に新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少した期間もあり、多くの制約を受けてきた対面型サービス等で一定程度の回復が見られたものの、度重なる変異株の出現による感染拡大の慢性化、長期的な緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用により、経済活動は大きく制限を受けました。今後、規制の解除や消費者の感染拡大慢性化に対する適応により、多少の持ち直しが見込まれるものの、感染者数は高水準で維持される可能性もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 こうした経営環境の中、当社グループの主力事業である直営店舗事業が対面・接触型のサービスという特性のため、年度を通して新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限等の影響を大きく受け、不安定な状況が続きましたが、2020年からスタートした中期経営計画の2カ年目として、「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」「高機能製品の創出」「コスト合理化による財務基盤の強化」の3つの重点課題に引き続き取り組み、収益性・生産性の向上に努めてまいりました。

 また、顧客が感じる当社の付加価値をさらに高めるため、既存事業における新たな価値の創出に向け、組織のシームレス化及び機動力の強化を図っております。

 

(売上高)

 既存顧客の来店数は回復基調にはあるものの、長期的に発出された行動制限や、顧客の行動変容により、回復は鈍化しております。一方、新規顧客の来店数は、幅広い顧客獲得のため、WEB検索・予約サイトを利用した集客に注力し、また、大型のイベントも再開した結果、順調に増加いたしました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は9,153,473千円(前年同期比0.6%増)となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、2,049,674千円(前年同期比6.0%減)となりました。その結果、売上総利益は7,103,798千円となり、売上高に対する売上総利益の比率は77.6%(前連結会計年度は76.0%)となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 経費の合理化に努め、販売費及び一般管理費は6,910,092千円(前年同期比11.7%減)となり、営業利益は193,706千円(前年同期は営業損失903,749千円)となり、雇用調整助成金82,636千円を含む営業外損益107,593千円を計上したことから、経常利益は301,299千円(前年同期は経常損失509,815千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 店舗物件の退店に関わる受取補償金を含む特別利益258,249千円を計上し、本社機能の移転により売却予定になったことによるシーボン.パビリオン(メインオフィス)の減損損失及び、六本木本社ビル建替えに伴う退店などの支払補償費を含む特別損失454,641千円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は44,872千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失621,872千円)となりました。

 

<当連結会計年度における当社グループの主な取組み>

重点課題①「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」

 様々な顧客層にアプローチすべく、集客チャネルの拡大と集客基盤の強化を目的に、従前から実施しているイベントでの肌チェックやサンプリング等の対面での集客活動に加え、SNSや美容情報サイト等のWEBを利用した非対面での集客活動も積極的に取り入れてまいりました。集客活動の柱である対面でのイベント集客活動が、緊急事態宣言等の行動制限の発出により、活動が制限される厳しい状況ではありましたが、新たな集客チャネルによる誘客に注力したことから、新規顧客の来店数は前年同期と比べ35.4%増と大幅に増加いたしました。なお、WEBを利用した集客活動による新規来店数の割合は、前年同期において7.2%であったのに対して、当連結会計年度では18.4%と大幅に伸張いたしました。

 また、公式HP及び公式通販サイトにおける製品レビューコンテンツ「FACIALIST REVIEW」※1の導入や、日頃から当社をご愛顧くださっているお客様の中から公式アンバサダーを選定するなど、当社スタッフだけでなく、お客様からも当社の製品やサービスの魅力を発信することで、新規顧客との接点拡大のほか、製品購入時のアドバイス機能として、既存顧客に対する利便性向上の一助となっております。

 

重点課題②「高機能製品の創出」

 研究開発活動においては、皮膚科学研究に基づいた独自原料開発やその有効性の解明、また、お客様がサロンで過ごす時間をより豊かなものにするため、当社サロン施術のエビデンスの収集等、外部研究機関との連携に加え、社内研究体制の強化により、製品・サービスの価値向上を図ってまいりました。

 当期は、当社サロン施術の効果を脳科学的、皮膚科学的に解明した成果を用いて開発に至った当社独自原料を、多くの製品に応用展開いたしました。得られた研究成果、技術は、当社サロン製品だけでなく、OEM、ODM受託製品への展開を進めております。

<2022年3月期の主な研究発表>

①UVAがもたらす新たな肌ダメージを解明。SASP関連因子の分泌によって肌細胞が老化誘導される可能性を確認。

(2021年6月日本香粧品学会 早稲田大学との共同研究)

②「美容鍼」と「顔面部の経穴(ツボ)への圧刺激によるフェイシャルケア」の継続的介入が及ぼす効果の違いを発見。

(2021年11月日本未病学会 明治国際医療大学との受託研究)

③「コリアンダー果実米麹発酵液」の開発と多岐にわたる肌への有効性を確認。

(2022年3月日本農芸化学会 株式会社永廣堂本店との共同研究)

 

重点課題③「コスト合理化による財務基盤の強化」

 2020年より推進する不採算店舗の統廃合や縮小移転等による人員の適正配置を進めてまいりました。結果として、直営店舗の生産性※2は前年同期比112.6%と大きく向上し、利益率は大幅に改善いたしました。

 また、竣工より49年が経過している六本木本社ビルを、耐震及び老朽化への対応のため、建替えを決定いたしました。新たに建設する六本木本社ビルにおきましては、当社ブランドのフラッグシップ店と位置付け、シーボン.ブランドの認知度向上、ブランド力強化に取り組んでまいります。竣工後は、強い本社組織の構築や、収益性の強化等の観点から、本社機能を六本木本社ビルへ移転することを予定しております。

 加えて、六本木本社ビルの竣工前ではありますが、営業活動の強化と本社組織のシームレス化を推進するため、本社機能を川崎市から港区北青山へ移転し、これを契機に、本社機能の維持等に係る費用の見直しの検討を行ってまいりました。

 本社機能を有していた「シーボン.パビリオン(メインオフィス)」を国内法人へ譲渡し、一層の財務基盤の強化を加速しております。

 

※1 FACIALIST REVIEW

:2021年12月1日より導入されたフェイシャリスト(美容部員)による製品レビューコンテンツ。

 フェイシャリストによるオンライン接客の一施策となっており通販顧客に対する商品提案力を高めております。

※2 生産性

:直営店舗の売上高 ÷ 直営店舗の総労働時間

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出等の要因があったものの、税金等調整前当期純利益104,906千円、減価償却費、減損損失の計上等により、前連結会計年度末に比べ475,954千円増加し、当連結会計年度末には2,784,734千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果獲得した資金は433,371千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益104,906千円、減価償却費224,347千円、減損損失228,243千円、売上債権の減少141,455千円、契約負債の減少278,752千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果獲得した資金は44,914千円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入230,297千円、有形固定資産の取得による支出103,216千円、敷金及び保証金の差入による支出92,097千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は6,731千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出5,800千円によるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別ではなく、以下の区分に分け記載しております。

①生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

スキンケア

ベーシック(千円)

3,861,175

117.2

スペシャル(千円)

7,097,706

104.3

メイクアップ(千円)

11,318

322.2

その他(千円)

156,474

62.7

合計(千円)

11,126,674

107.4

(注)1.上記金額は、販売単価によっております。

2.上記区分のベーシック及びスペシャルの品目構成は、以下のとおりです。

ベーシック:洗顔料・クレンジング・化粧水・乳液等の基礎化粧品

スペシャル:美容液・クリーム・パック等の化粧品

 

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

商品仕入(千円)

90,038

35.7

原材料仕入(千円)

654,478

88.8

その他(千円)

94,909

86.0

合計(千円)

839,425

76.3

(注)上記区分の商品仕入の減少要因は、前年同期に新製品の美顔器「PMD Clean Pro」と、新製品の美顔器「シーボ

   ン グロウリフト」等を販売したことによるものであります。

 

③受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

④販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

製品

スキンケア

ベーシック(千円)

2,644,652

101.8

スペシャル(千円)

5,544,569

99.8

メイクアップ(千円)

4,460

90.4

その他(千円)

12,778

52.7

小計(千円)

8,206,461

100.3

商品

美容関係器具・小物(千円)

118,803

34.4

その他(千円)

161,795

88.7

小計(千円)

280,598

53.1

その他(千円)

666,412

169.4

合計(千円)

9,153,473

100.6

(注)1.上記区分のベーシック及びスペシャルの品目構成は、以下のとおりです。

ベーシック:洗顔料・クレンジング・化粧水・乳液等の基礎化粧品

スペシャル:美容液・クリーム・パック等の化粧品

2.上記区分の商品美容関係器具・小物の減少要因は、前年同期に新製品の美顔器「PMD Clean Pro」と、新製品の美顔器「シーボン グロウリフト」等を販売したことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主要な販路及び販路別売上高及び割合は、次のとおりであります。

販路別

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

直営店舗

8,384,781

92.1

8,413,709

91.9

通信販売

379,804

4.2

391,344

4.3

国内代理店

119,620

1.3

130,317

1.4

海外代理店

19,166

0.2

49,771

0.6

その他

198,558

2.2

168,329

1.8

合計(千円)

9,101,930

100.0

9,153,473

100.0

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 自己資本比率(%)

80.0

79.4

64.8

 時価ベースの自己資本比率(%)

85.2

91.6

77.3

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

0.1

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,057.0

1,207.5

   自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

   (注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   (注2)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローを利用しております。

  (注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

  (注4)2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

①資本の財源と資金の流動性について

 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは安定した収益と成長性を確保するために将来必要な運転資金及び直営店舗の開設工事費用等の設備投資に必要な資金は、内部留保による手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としております。そのため、流動性の観点から基本的には当座預金及び普通預金にて運用しております。それらの資金を確保した上で、発生する余剰資金については、元本返還の確実性が高く、市場価格の変動が少なく、かつ可能な限り高い運用益が得られる方法で運用を行う方針であります。

 なお、運転資金については、十分な内部留保資金を確保しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による企業活動への影響の長期化に備えるため、運転資金の効率的な調達手段として、取引銀行2行とコミットメントライン契約を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は4,852,086千円となり、前連結会計年度末に比べ450,770千円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金の増加(前連結会計年度末比475,954千円増)によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は4,711,276千円となり、前連結会計年度末に比べ452,149千円減少いたしました。その主な要因は、建物及び構築物の減少(前連結会計年度末比245,284千円減)、土地の減少(前連結会計年度末比40,510千円減)、投資有価証券の減少(前連結会計年度末比58,862千円減)、敷金及び保証金の減少(前連結会計年度末比64,163千円減)によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は2,843,115千円となり、前連結会計年度末に比べ1,402,222千円増加いたしました。その主な要因は、契約負債の増加(前連結会計年度末比1,513,114千円増)、その他流動負債の増加(前連結会計年度末比273,882千円増)があった一方で、ポイント引当金の減少(前連結会計年度末比427,304千円減)によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は519,677千円となり、前連結会計年度末に比べ7,661千円減少いたしました。その主な要因は、その他固定負債の増加(前連結会計年度末比37,790千円増)があった一方で、資産除去債務の減少(前連結会計年度末比21,919千円減)によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は6,200,568千円となり、前連結会計年度末に比べ1,395,939千円減少いたしました。その主な要因は、収益認識に関する会計基準の適用等による利益剰余金の減少(前連結会計年度末比1,363,257千円減)によるものであります。

 この結果、自己資本比率は64.8%(前連結会計年度末は79.4%)となりました。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、将来の課税所得の見積りを、注記事項(重要な会計上の見積り 1.店舗固定資産の減損損失の判定)に記載した仮定に基づいて行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による企業活動への影響が予測した仮定と異なる場合には、予想した課税所得にも影響が及び、今後繰延税金資産の計算の見直しが必要となるため、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

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