課題

1  【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループでは、創業100周年にあたる2029年を見据え、Missionとして「感受性のスイッチを全開にする」、Visionとして「ブランドひとつひとつの異なる個性を生かして、世界中の人々の人生を彩る企業グループ」、さらにこれらを実現するための5つの行動指針を加えた、グループ理念を掲げております。この企業理念のもと、個性・特徴を持ったブランドを複数保有し、それぞれの事業が成長することでグループ全体の企業価値向上を図っていく、「マルチブランド戦略」を展開しています。グループ各社の自主自立した経営を志向し、持株会社である当社はグループ各社の経営に対するモニタリング機能を持つことで、グループ全体の経営の健全性確保と効率性向上に努めています。

 

(2) 目標とする経営指標(2021年~2023年)

2021年からスタートした今中期経営計画(2021年~2023年)では、短中期の課題解決を通じ、長期的な成長につながる基盤の構築とコロナ禍以前(2019年)の売上高・営業利益水準の回復を目指し、取り組んでおります。

経営指標として、連結売上高は、2,050億円~2,150億円、連結営業利益は、12%以上の営業利益率の達成を目指してまいります。ROEについては、2023年末時点で9%以上を目標に置き、配当性向は引き続き60%以上としています。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 今後のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、当面の間は感染動向及びこれに対応する公衆衛生上の措置によって大きく左右される状況が継続することが見込まれます。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、新しい生活様式や消費者の価値観にも影響を与え、ニーズの多様化が進むことが考えられます。これらの変化に対応するため、デジタルテクノロジーの応用や新たに生まれる消費者ニーズに応える新製品・新サービスの提供、新領域の開拓といった取り組みが必要となってくる他、コロナ禍収束後を見据えた戦略の準備を一早く進めておくことが今後の事業拡大、コロナ禍収束後の業績回復において極めて重要になると考えております。

 このような状況の中、長期経営計画(VISION 2029)の1stステージとして、「国内ダイレクトセリングの進化/海外事業の利益ある成長/育成ブランドの利益貢献/新ブランド創出・事業領域の拡張」に加え、これらの実現に向けて下支えする「経営基盤強化(研究開発、サステナビリティ)」を重点戦略として掲げ、以下の戦略に取り組んでまいります。

 

① 国内ダイレクトセリングの強化

(POLAブランド)

●ダイレクトセリングを生かした独自のOMO構築、顧客体験を向上

・お客さまが選択できる多様なチャネル設計、利便性向上。

・全てのタッチポイントでパーソナライズされたコミュニケーション提供。

●オンライン・オフラインの枠を超えたコミュニケーションでロイヤル顧客拡大、顧客基盤安定化

<オンライン>

・デジタル接点から、リアル店舗への来店に繋げるための導線整備。

・オンライン決済、直送システムの導入。

・ビューティーディレクターのオンライン活動を手数料へ反映。

<オフライン>

・エステや対面接客等、店舗ならではの提供価値を重視し、お客さまとのエンゲージメントを高め、継続率の高い安定した顧客基盤の構築。

・OMOの浸透、拡大に経営資源を集中し、ビジネスパートナーの評価はLTV向上への貢献をより評価する仕組みに改定。

・高LTVを実現する委託販売の法人化を加速。

 

(ORBISブランド)

●独自のCRMでブランドとの接触頻度を高めLTV向上、成長トレンドへ回帰

・従来の「購買・属性データ」に加え「興味・嗜好データ」を統合、活用することで顧客分析を高度化、オルビス独自のカスタマーデータプラットフォームを構築。

・ブランド体験の基軸となるアプリを更に進化させ、AI等を活用した体験コンテンツの拡充や蓄積したデータに基づく精度の高いコミュニケーションにより、ブランドとの接触機会を増加し、高LTVを実現。

●スキンケア領域の戦略的拡張でターゲット市場規模を拡大、商品特性に応じたチャネル展開

・市場の成長を見込む敏感肌市場へニキビケアシリーズを投入。

・黎明期であるメンズ市場を重点セグメントに設定、シェアの拡大に向け集中投資。

●顧客体験を重視した創業35周年企画

・大型商品を投入し、大々的なマーケティングプランを実行。

・キャンペーン色を抑え、顧客体験を軸にした国内化粧品トップクラスのDtoCブランドへ。

 

② 海外事業の利益ある成長

(POLAブランド)

●2029年までに海外・国内の小売売上高比率50:50を目指し成長加速

・最重点市場を中国に設定。B.Aシリーズを軸に差別性の高いフェイシャルエステを提供する店舗を中心に出店を継続。

・顧客接点の拡大を目的として、中国免税チャネルへの出店、ECプラットフォームの拡充も継続。

・利益を伴う成長を前提としながら、積極的なブランディング・プロモーション投資を実行。

・将来のブランド棄損リスクに繋がるCtoC市場への流通を抑制。グローバルブランディングを強化。

(Jurliqueブランド)

●重点市場(中国)での成長加速、トップライン拡大

・中国市場はスキンケアに集中、スタープロダクトを中心に新規顧客の獲得、オンライン売上拡大。

・豪州はCRMを強化し、継続顧客への転換を促進し、LTV向上の実現。・新たなブランド戦略を本国から展開し、ホリスティックアプローチを強化。

・早期の黒字化に向けて、固定費の削減を継続的に実行。

(ORBISブランド)

●中国を今後の成長ドライバーに定め、積極的な投資による成長加速

・既存のオンラインチャネルに加えて、今後拡大が見込める内陸部都市の中間層をターゲットとしたオフライン展開の拡大。

・顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化。

(THREEブランド)

●中国市場への本格的な進出、積極的な投資により成長加速

・従来の免税店に加え、中国ローカル市場への進出。

・EC及び店舗の両チャネルで迅速に顧客接点の拡大に着手。

 

③ 育成ブランドの利益貢献

(THREEブランド Amplitudeブランド ITRIMブランド FIVEISM×THREEブランド)

●2024年 ACRO全体での黒字化達成に向けた抜本的な構造改革を継続

・ECへのチャネルシフトを進め、店舗の戦略的な圧縮による固定費の削減。

・本部のブランド運営体制を再編し、組織効率化による固定費の削減。

・商品の企画、設計、開発フロー再構築とSKUの絞り込みに加え、スキンケア比率を向上させ、原価率を低減。

(DECENCIAブランド)

●敏感肌市場におけるブランド認知拡大

・差別性の高い新製品を軸に敏感肌市場におけるプレステージブランドとしての認知拡大。

・中国での本格展開を開始し、越境ECの成功モデルを構築。

 

 

④ 経営基盤の強化

(研究開発)

●新たな価値を創出する「基盤研究」、「新剤型研究」の強化

・新剤型研究の強化と高付加価値商品の生産機能を担う、TDC(Technical Development Center)新設。

・基盤研究への投資シフト。

(サステナビリティ)

新サステナビリティプランの実行

コロナ禍による急激な社会変化に対応し、刷新したサステナビリティプランの重点KPIを役員中長期インセンティブ(非業績連動型株式報酬)に連動させ、実効性向上。

 

⑤ 新ブランド、「美」に関する領域拡張

●新ブランド創出、ポートフォリオ強化

・CVC事業を通じ、D2C、ビューティーテック領域の投資先とのオープンイノベーションにより、新ブランドの創出やM&Aによる子会社化。

●新たな領域への事業展開の検討開始

・化粧品を中心とした既存のビジネスから、商材やサービス範囲の拡張に向けて、グループの中長期的な成長を実現する新たなビジネスの創出。

●社内ベンチャー制度の刷新

・従来の定期募集型から、検証と投資判断を担うBrand Development Studio を新たに設置し、アイディア・仮説検証のスキームを常態化することで、事業立案、事業化検証の継続的な実行。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得