(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これによる経営成績等に与える影響はありません。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置が断続的に適用された影響により一部業種によっては消費停滞がみられたものの、活動は徐々に正常化に向かいつつあり、持ち直しの兆しがみられました。しかしながら、依然として続く部材・半導体不足に加え、資源価格の高騰、円安の影響などにより総じて厳しい状況で推移いたしました。また、世界経済におきましても、同様に経済活動が再開され回復の兆しがみられましたが、部材不足や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢など、先行きは不透明な状況が続いております。
当社が関係しております粘着・接着・香料・電子材料・ラミネート業界におきましては、全体的には持ち直しが見られたものの、原材料高、価格競争等により、引き続き厳しい経営環境となりました。
このような経済情勢のなかで、当社といたしましては、市場や顧客ニーズの変化を的確に把握し、高付加価値製品の開発、国内外の新規顧客の開拓及び取引先との関係強化に積極的に取り組み、販売の拡大に努めてまいりました。また、原材料の高騰が続くなかで生産の合理化・効率化をはかり、利益の確保に努めてまいりました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高12,570百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益745百万円(同111.0%増)、為替差益等により経常利益1,128百万円(同134.9%増)、当期純利益757百万円(同127.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
テルペン化学製品
粘着・接着用樹脂においては、自動車用品用途のテルペンフェノール樹脂及び粘着テープ用途のテルペン樹脂が好調に推移したことにより増収となりました。化成品においては、香料分野が低調に推移した一方、塗料用途の化学品、木工用途のワックス及び電子材料分野が好調に推移したことにより増収となりました。この結果、当事業全体の売上高は9,338百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益1,293百万円(同64.4%増)となりました。
ホットメルト接着剤
ホットメルト接着剤においては、自動車部品用途の接着剤が低調に推移した一方、食品用途の押出グレード及び包装用途の汎用ホットメルト接着剤が好調に推移したことにより増収となりました。この結果、当事業全体の売上高は2,696百万円(同11.1%増)、営業利益250百万円(同15.1%減)となりました。
ラミネート品
ラミネート品においては、光沢化工紙用ラミネートフィルムが新規顧客の獲得により増収となりました。この結果、当事業全体の売上高は535百万円(同23.0%増)、営業利益30百万円(同126.5%増)となりました。
当事業年度における国内売上高は8,506百万円となりました。海外売上高は4,063百万円となり売上高に占める割合は32.3%となっております。
財政状態に関しましては、次のとおりであります。
(資産、負債及び純資産の状況)
当事業年度末の資産につきましては、前事業年度末に比べ212百万円減少し24,981百万円となりました。これは主に、投資有価証券、製品、現金及び預金、前渡金、建設仮勘定が増加した一方、原材料及び貯蔵品、機械及び装置、仕掛品の減少によるものであります。
負債につきましては、前事業年度末に比べ753百万円減少し5,639百万円となりました。これは主に、未払法人税等、未払金、買掛金が増加した一方、長期借入金の減少によるものであります。
純資産につきましては、前事業年度末に比べ540百万円増加し19,341百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入金の返済、投資有価証券の取得、有形固定資産の取得、前渡金の増加、法人税等の支払及び配当金の支払による資金の減少があった一方、棚卸資産の減少、税引前当期純利益の計上、減価償却費の計上、投資有価証券の償還及び仕入債務の増加による資金の増加があったことにより、前事業年度末に比べ290百万円増加し、当事業年度末には3,966百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,375百万円(前年同期は1,915百万円の獲得)となりました。これは主に、為替差益の調整、前渡金の増加及び法人税等の支払による資金の使用があった一方、棚卸資産の減少、税引前当期純利益の計上、減価償却費の計上及び仕入債務の増加による資金の獲得によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は959百万円(前年同期は212百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による資金の獲得があった一方、投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得による資金の使用によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,375百万円(前年同期は1,374百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済及び配当金の支払いによる資金の使用によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
テルペン化学製品(千円) |
9,593,452 |
114.8 |
ホットメルト接着剤(千円) |
2,788,191 |
113.5 |
ラミネート品(千円) |
539,522 |
131.8 |
合計(千円) |
12,921,166 |
115.1 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社は主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
テルペン化学製品(千円) |
9,338,869 |
110.1 |
ホットメルト接着剤(千円) |
2,696,016 |
111.1 |
ラミネート品(千円) |
535,894 |
123.0 |
合計(千円) |
12,570,780 |
110.8 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高
売上高は前事業年度に比べ1,227百万円増加の12,570百万円(前年比10.8%増)となりました。これは、テルペン化学製品が自動車用品用途の改質・粘着・接着用樹脂の増加に加え、工業分野及び電子材料分野の化成品が好調に推移したことにより前事業年度に比べ857百万円増加の9,338百万円(同10.1%増)となったことが主な要因であります。
営業利益
営業利益は前事業年度に比べ391百万円増加の745百万円(同111.0%増)となりました。これは、テルペン化学製品の売上数量増加により利益が増加したことが主な要因であります。
経常利益
経常利益は前事業年度に比べ647百万円増加の1,128百万円(同134.9%増)となりました。これは、営業利益の増加に加え、為替差益が増加したことが主な要因であります。
当期純利益
当期純利益は前事業年度に比べ423百万円増加の757百万円(同127.0%増)となりました。これは、法人税等が増加したことにより減益した一方、経常利益が増加したことが主な要因であります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、世界の景気動向に影響を受ける可能性があります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
テルペン化学製品
テルペン化学製品は、樹脂が自動車業界の復調により工業分野への売上高増加により増収増益となりました。また、化成品が塗料分野及び電子材料分野の好調により増収増益となりました。この結果、前年同期比較で増収増益となりました。
ホットメルト接着剤
ホットメルト接着剤は、食品用途の押出グレードが輸出の好調により売上高増加となりました。また、包装用途の汎用ホットメルト接着剤が新規顧客獲得により売上高増加となりました。一方、接着剤の原材料である石油化学製品の価格高騰により減益となりました。この結果、前年同期比較で増収減益となりました。
ラミネート品
ラミネート品は、光沢化工紙用ラミネートフィルムにおいて新規顧客を獲得しました。この結果、前年同期比較で増収増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な資金の流動性の向上と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関から固定金利の長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,842百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は3,966百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社は中長期的にROA(総資産利益率)の向上を目指す安定的な利益創造企業でありたいと考え、ROAを重要な指標として位置付け、長期的な目標値を4%に設定しております。
当事業年度におけるROAは3.0%(前年同期比1.7ポイント増)となりました。これは、原材料及び貯蔵品、機械及び装置、仕掛品の減少により資産が減少し、売上数量増加による営業利益の増加及び為替差益により、当期純利益が増加したことが主な要因であります。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当社は、棚卸資産の評価、固定資産の評価、退職給付引当金、税効果会計、貸倒引当金等の会計上の見積りを要する項目に関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の金額に反映して財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
翌事業年度における見通しにつきましては、資源価格上昇の影響により購入品価格が上昇し、業績の下押し状況が2023年3月期を通して継続するものと仮定し、当社財務諸表の作成において、固定資産の減損会計の適用等について会計上の見積りを行っております。
なお、当該見積りは当事業年度末時点の見積りであり、これらの見積りに用いた仮定には不確実性があり、仮定に状況変化が生じた場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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