課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「Create Happiness」を企業理念に掲げ、テクノロジーを正しく活用し、地球に優しい、人に優しい、誰もが幸福な世界の実現へ貢献することを目指し、Mission(「お客様の成功」「従業員の成功」「社会問題の解決」)、Vision(WorkHack, LifeHack)、Value(Enjoy!)を軸に事業を展開しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、売上高及び経常利益を重視し、その向上に努めております。また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、売上総利益率、コンサルティングサービスにおける顧客企業の中での大企業売上比率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。売上総利益率については、サービス付加価値の源泉として重視しており、当該指標を向上させてまいります。また、コンサルティングサービスにおける顧客企業の中での大企業売上比率については、経営の安定化を測る指標として重視しております。併せて、キャッシュ・フローにつきましても重視してまいります。

 

(3)経営戦略

 当社は、「WorkHack、LifeHack」というVisionを基に、新たに作成した経営理念を実現すべく、常に変化する経営環境、市場環境、競合の動きを的確に把握・対処しながら、企業価値及び社会的意義の向上に向けて事業展開を進めてまいります。

 具体的に考えている戦略は、以下のとおりです。

 

① コンサルティングサービスの再構築・多様化

 主力の「Salesforce」、「Anaplan」に続く新たなクラウド・コンサルティング領域を作ることで、コンサルティングサービスを多様化し、コンサルティング単価を向上してまいります。

② カスタマーサクセスのデジタル化を推進

 当社は、従来派遣型のサービスを基本としていたカスタマーサクセス領域において、「Circlace®」の開発により「Remote Service」「Hybrid Service」という新たな形態のサービス提供が可能となりました。この人員数に寄らないサービスの提供により、顧客ニーズをとらえ、売上及び利益率の向上を目指してまいります。

③ 採用強化とサービス単価の向上

以下3つの施策により、採用強化とサービス単価の向上を図ってまいります。

・ダイレクトリクルーティングの強化による中途採用の強化、新卒採用拡大と新卒教育プログラム拡充

・コンサルティングサービスの組織強化による質と量、付加価値の向上

・カスタマーサクセス・コンサルタントの教育強化とDX推進による一層の効率向上

④ DXの拡大

以下3つの施策により、SaaS製品販売の拡大を図り、事業基盤化を推進してまいります。

・「AGAVE」 BPOパートナーとの協業強化、新パートナー開拓によるライセンス販売増

・「AGAVE」 追加機能開発によるオプション課金の増加

・「Circlace®」を利用中の当社顧客企業に対するSaaS製品としての「Circlace®」の販売

⑤ オリジナル教育サービスの立ち上げ

8年以上の社内外向けIT教育の経験を活かし、以下のようなリカレントIT人材教育事業を計画中です。

・中途採用・社内配置転換向けクラウド活用人材コース

・大学新卒向けクラウド技術者育成コース

⑥ 「Circular Economy(循環型社会)」の実現

 当社は、常に自社のビジネス課題をとらえ、自社のDX化促進等により、ビジネスモデルの変革を繰り返してまいりました。しかしながら、未だ労働集約型のモデルであることを現状の課題と考えており、「Hybrid Service」による新しいサービス形態の提供、SaaS製品の販売等、この解決に努めております。今後は、これらのサービス提供に力を入れることはもとより、これまで培ってきたプラットフォームの開発・運営の知見を活かして、顧客と共同してプラットフォームの開発を行い、当該顧客と売上を分けあうRevenue Share型のプラットフォーム展開を目指しております。特に、資源の枯渇等、社会課題を解決するプラットフォームを開発していくことで、「Circular Economy(循環型社会)」の実現を目指してまいります。

 

(4)経営環境

当事業年度におけるわが国の経済は、世界的な新型コロナウイルスの影響がいまだに続く中、個人消費や設備投資の回復もあり、2021年4~6月期の実質GDP成長率は前期比プラスに転じたものの、7~9月期は再び個人消費の落ち込みがみられ、マイナスに転じました。しかし、10~12月期に入ると、緊急事態宣言が解除されたこともあり、個人消費や住宅投資が回復し、再びプラスに転じました。

しかし、2022年に入り、経済活動は復活のきざしはあるものの、2022年1~3月期は再びマイナスに転じ、2023年3月期においても数%程度の低い伸びが予測されるにとどまっております。

このような経済環境下ではありましたが、当社の属する国内パブリッククラウド(※1)市場では、新型コロナウイルスの流行によって「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」など、喫緊の課題を解決するためにパブリッククラウドサービスを活用している企業が増加しています。一方、多くの企業がIT投資を抑制しており、導入を決めた企業においての導入プロジェクトの遅延も見られ、2020年以降の国内パブリッククラウドサービス市場は、過去に比べ成長が鈍化していくと思われます。(出所:MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」、2021/6月)

ただ、プライベートクラウドを含めたクラウド市場全体でみますと、2025年には4兆3千億円以上の市場規模と予測されており、成長が鈍化するとは思われますが、非常に大きな市場になります。また、国内コンサルティング市場においても、2025年には1兆2,551億円になると予測されており、こちらも大きな市場であります。(出所:IDC Japan「国内コンサルティングサービス市場予測を発表」、2021/7月)

次にSalesforceプラットフォーム関連市場を見ますと、2026年に4兆9千億円規模に拡大(115円/ドルで試算)、依然高い成長率を維持する見通しです。(2021年から2026年までのCAGR18.8%)(出所:Tableau 「IDCSalesforce Economy 2021(The Salesforce Economy COUNTRY INSIGHTS)」、2021/9/10)

また、日本におけるSalesforceパートナーエコシステムは順調に成長し、2026年までに2021年現在の規模の6.5倍になる見通しです。(出所:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforceエコノミー、2021年から2026年の5年間に日本で974億ドルの新規事業と44万人を超える新規雇用を創出」、2021/11/8)

このような市場が拡大する中で、日本企業のDXに対する取り組みは、まだまだこれからであり、DX関連市場において、クラウド活用推進によるコンサルティング、システム開発、保守関連の需要は今後も拡大すると予測されます。

 当社はそれら環境も踏まえ、積極的なエンジニア採用等を行うことにより、継続的な成長及び安定的な収益モデルの構築を推進してまいります。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記経営環境を踏まえ、当社が対処すべき課題は下記のとおりです。

 

① 優秀な人材の確保及び育成

 当社が所属するクラウド業界は、エンジニアの人材不足が深刻化しております。当社の事業は、特にエンジニアの技術によるところが大きく、今後も伸びていくであろうクラウド業界において当社が成長していくためには、優秀なエンジニアを安定的に確保していくこと及び社内においても適材適所でエンジニアを活用することが課題であると認識しております。

 IT人材不足を解消するため、当社では多くの非IT人材を多く採用し、短期間で高度IT人材へと育成する独自の人材育成モデルを構築済であります。このモデルでは、最短2ヵ月でカスタマーサクセス・コンサルタントとして業務に従事できます。従事した後もさまざまなキャリアパスで活躍しています。今後は、同モデルを活用し、新卒を含めたIT未経験者採用を加速するとともに、お客さまのIT人材育成事業の立ち上げを検討してまいります。

 また、当社では、リモートワークの導入・在宅勤務手当の支給など、ダイバーシティ(働き方の多様性)に対応した施策を積極的に推進し、社員のライフ・ワーク・バランスの実現を率先的に図ることにより、優秀な人材の確保に努めてまいります。同時に、社員の能力向上のための研修、Salesforce認定資格取得のための研修料・試験料負担や人事評価制度の改善・運用など、社員の能力を最大限発揮できるような仕組みを確立してまいります。

② 事業ポートフォリオの拡大

 当社の事業は、従来より「Salesforce」に特化し、継続して成長しているSalesforce市場とともに成長してまいりましたが、中長期的に見て、「Salesforce」以外のサービスの比率を高めることが必要と考えております。

 そのため、「AGAVE」・「Circlace®」・「Prigister One」といった自社開発のSaaS事業、「Anaplan」に関連するサービス事業にも注力し、多角的に業務を進めてまいります。

③ 「Circlace®」の強化

当社が展開する統合型デジタルコミュニケーション・プラットフォーム「Circlace®」においては、既に当社サービス提供における重要な基盤であると考えており、中長期的にみて、当社の事業の柱になるべく注力してまいります。当面は、地方公共団体、BPO(※2)事業者、人材派遣業事業会社、士業にターゲットを絞りプロモーションを実施し、その後あらゆる事業者に向けて事業を展開してまいります。

 また、当社の事業すべてにおいて「Circlace®」を利用した展開を実施し、DXを推進していきます。

④ 地域事業の拡大

 福岡県で行ってきた「中小企業向けSalesforce初期導入並びに活用支援サービス」が、2021年3月期に他県でも展開できるほどサービス内容が標準化でき、遠隔での対応が可能となり、今後、全国に向けたサービス展開を図ってまいります。

 当社が安定して成長していく上で、現在主力である関東及び九州の地域だけでなく、全国に市場を拡大していくことは欠かせない事業であると考えております。

 

(※1)パブリッククラウド

 企業や個人など不特定多数のユーザーに対し、インターネットを通じて、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェアなどのクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことを言います。

(※2)BPO

 「Business Process Outsourcing」の略で、企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託することをさします。

 

 

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