当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
a. 経営成績
当事業年度における我が国の経済動向は、新型コロナウイルスの蔓延による影響を受け、一般財団法人建設経済研究所発表によると、建設業においても、2021年度の名目建設投資は616,600億円となり、対2020年度比は1.2%増の見込みとなっております。2022年度の見通しは619,800億円となっており、対2021年度比0.5%増の見通しとなっております。
このような状況のもと、当事業年度の受注高は32,987,069千円(前年同期比4.1%増)となりました。売上高は、過年度から当事業年度への繰越工事高が過去最高額であったこと、土木工事事業において、大型の追加変更工事があったこと、翌事業年度に見込んでいた追加工事発生が前倒しになったこと、及び発注者の要望等により工程が想定より早まった工事があったことから、35,370,330千円(前年同期比15.8%増)となりました。また、売上高の増加及び大型で高い採算が見込める工事を選別受注することに注力したことにより、営業利益は2,952,765千円(前年同期比10.4%増)、経常利益は2,905,362千円(前年同期比16.0%増)、当期純利益は2,106,505千円(前年同期比23.0%増)となりました。営業利益率は、前事業年度が8.8%に対して当事業年度は8.3%となり、0.5pt低下しました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
受注高は17,360,527千円(前年同期比64.0%増)、売上高は16,278,553千円(前年同期比25.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,798,215千円(前年同期比0.8%増)となりました。営業利益率は、前事業年度が13.8%に対して当事業年度は11.0%となり、2.7pt低下しました。
受注高は15,626,542千円(前年同期比25.9%減)、売上高は19,079,887千円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益(営業利益)は1,148,263千円(前年同期比30.0%増)となりました。営業利益率は、前事業年度が5.0%に対して当事業年度は6.0%となり、1.0pt上昇しました。
(その他)
売上高は11,889千円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益(営業利益)は6,286千円(前年同期比0.5%増)となりました。営業利益率は、前事業年度が50.3%に対して当事業年度は52.9%となり、2.6pt上昇しました。
b. 財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、28,978,010千円と前事業年度末と比べ5,851,817千円(25.3%)の増加となりました。主な要因は、未成工事支出金が1,909,669千円減少したものの、現金預金が2,735,411千円、完成工事未収入金及び契約資産が5,170,098千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、11,408,502千円と前事業年度末と比べ2,312,706千円(25.4%)の増加となりました。主な要因は、工事未払金が957,043千円、未成工事受入金が560,372千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、17,569,508千円と前事業年度末と比べ3,539,110千円(25.2%)の増加となりました。主な要因は、当期純利益の計上2,106,505千円、及び新規上場に伴う新株発行により資本金が762,864千円、資本準備金が762,864千円増加したことによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、2,735,411千円増加し、11,807,749千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、894,449千円の収入となりました。主な要因は、売上債権及び契約資産の増加5,482,926千円があったものの、税引前当期純利益3,090,470千円の計上、未成工事支出金の減少1,909,724千円、仕入債務の増加980,943千円、未成工事受入金の増加560,372千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、417,698千円の収入となりました。主な要因は、保険積立金の解約による収入が416,690千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,423,263千円の収入となりました。主な要因は、新規上場に伴う株式の発行による収入が1,525,728千円あったことによるものです。
受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 売上実績
売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
なお、土木工事事業及び建築工事事業の受注高及び売上高の実績は次のとおりであります。
a) 受注高、売上高及び繰越高
(単位:千円)
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含めております。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。
2.期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)であります。
3.工事規模別の受注件数は次のとおりであります。
(単位:件)
b) 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(単位:%)
(注) 1.百分比は請負金額比であります。
2.特命は、民間工事の契約締結までの過程において、発注者が特定の業者に契約交渉の優先権を与える方法
であります。
3.競争は、発注者が入札情報を公告・提示し、入札に参加した複数の業者の中から選定された業者が契約締
結に至る方法であります。
c) 完成工事高
(単位:千円)
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第57期事業年度 請負金額20億円以上の工事
RW尼崎特定目的会社 ESR尼崎DC計画
西日本高速道路㈱ 阪和自動車道みなべ高架橋他2橋(下部工)工事
国土交通省 横浜湘南道路栄IC・JCT下部(その1)工事
第58期事業年度 請負金額20億円以上の工事
西日本高速道路㈱ 湯浅御坊道路 水尻高架橋南(下部工)工事
㈱ミライト (仮称)浪速区幸町ビル計画新築工事
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線工事
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第57期事業年度
国土交通省 5,664,364千円 18.5%
第58期事業年度
国土交通省 5,152,387千円 14.6%
西日本高速道路㈱ 4,163,451千円 11.8%
d) 期末繰越高(2022年4月30日現在)
(単位:千円)
(注) 期末繰越高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
ひめじ手柄山PFI㈱ 手柄山スポーツ施設整備運営事業
東京都財務局 都営住宅30H-102東(足立区新田一丁目)工事
㈱日本ネットワークサポート 高砂臨海工場建設工事に関する建物工事契約並びに機械装置基礎他
工事契約について
和田興産㈱ (仮称)ワコーレ神戸市中央区下山手通8丁目計画
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その3工事
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、営業活動によるキャッシュ・フローが、前事業年度は5,723,747千円の収入、当事業年度は894,449千円の収入となり乖離が大きくなっております。これは、前事業年度は工事の竣工等に伴う請負代金の入金が多くありましたが、当事業年度においては大型工事及び追加工事に係る材料費、外注費等の支払が先行したことによるものです。
このように、手持ち工事の規模、進捗度や追加工事の発生状況等がキャッシュ・フローに重要な影響を及ぼしております。当社は、各部署からの報告に基づき経理部が月次で資金繰計画を作成・更新するとともに、月末支払後の現金預金残高として、月間支払相当額の1ヶ月以上の残高を維持する方針とし、流動性リスクを管理しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行10行と極度額60億円のコミットメントライン契約を締結しております。
資金の配分について、自己資金で上述の残高を超える部分が、成長投資、株主還元等への原資となります。
成長投資について、設備投資は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」をご参照下さい。また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、構造物の長命化、補強工事等今後伸張が見込まれる分野の強化を検討いたします。株主還元について、当社は継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、配当政策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご確認下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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