(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)のわが国経済は、基本的に回復基調を維持して推移いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の3回にわたる流行再拡大を受けて、社会・経済活動が制限されることなどにより、個人消費を中心として振幅の大きな動きとなりました。また、海外経済においては、新型コロナウイルス感染症対策によって繰り越された需要が顕在化する一方、半導体不足や人手不足などにより需要にこたえられず物価が上昇しております。わが国の企業物価指数の伸び率が40年ぶりの高水準を記録するなど、原材料価格の高騰が極めて強い利益の押し下げ要因として懸念されます。
当社グループの事業分野であります建設業界におきましては、建設需要は持ち直し基調を維持しているものの、受注競争の緩和にまでつながっていないものと推察され、需要の回復による景況感まで波及してくるまでは、まだ時間を要するものと見込んでおります。
当社グループの主力事業でありますコンクリートパイル事業におきましては、全国需要は前年度に対してほぼ横ばい圏内、当社の主力商圏であります関東および静岡につきましては前年度を上回る水準で推移いたしました。
コンクリートセグメント事業につきましては、当連結会計年度の初めより大型物件の製造を開始し、計画通り進捗しておりますが、全国的に需要が減退するなか、採算性が非常に厳しい状況が続いております。
不動産賃貸事業につきましては、静岡県沼津市で賃貸しているショッピングセンターが、7月の記録的な大雨に見舞われましたが、ショッピングセンターの迅速な対応により事業上の被害は軽微であり、以降、安定した収益で推移しております。
セグメント毎の経営成績は、次のとおりであります。
コンクリート二次製品事業の主力事業でありますコンクリートパイル部門につきましては、当社の主力商圏である関東および静岡は、前年度を上回る水準で推移いたしました。このような状況において、当社は積極的な営業活動を展開し多くの受注を確保しておりますが、当初想定よりも市況品等の原材料価格が高騰したことや、超繁忙期に対応するための人件費・製造経費等が大幅に増加した結果、当連結会計年度の売上高は8,549百万円(前連結会計年度比7.8%増)、営業利益は233百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。
当連結会計年度の初めより大型物件の製造を開始し、計画通りに進捗しておりますが、全国的に需要が減退するし、採算性が非常に厳しい状況が続いているなか、コスト構造の徹底的な見直しを行い、収益の確保に努めた結果、当連結会計年度の売上高は1,920百万円(前連結会計年度比23.9%増)、営業損失は0百万円(前連結会計年度は2百万円の損失)となりました。
コンクリート二次製品事業と同様に、多くの受注を確保いたしましたが、年度後半に仕事が集中したことにより人件費を中心に工事原価が大幅に増加したものの、施工の効率化が図れた結果、当連結会計年度の売上高は7,095百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は491百万円(前連結会計年度比3.9%増)となりました。
当連結会計年度の売上高は194百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は132百万円(前連結会計年度比4.0%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は17,760百万円(前連結会計年度比8.1%増)、営業利益は142百万円(前連結会計年度比53.4%減)、経常利益は178百万円(前連結会計年度比39.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は114百万円(前連結会計年度比28.5%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ751百万円(4.5%)増加して17,628百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて、872百万円(11.4%)増加し、8,527百万円となりました。これは主として受取手形及び売掛金の増加318百万円、電子記録債権の増加515百万円、商品及び製品の増加331百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、121百万円(1.3%)減少し、9,100百万円となりました。これは、主として建物及び構築物(純額)500百万円の増加、建設仮勘定695百万円の減少等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、21百万円(0.2%)減少し、9,437百万円となりました。これは、主として電子記録債務の増加494百万円、短期借入金の減少486百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、501百万円(12.7%)増加し、4,436百万円となりました。これは、長期借入金の増加912百万円、退職給付に係る負債の減少309百万円、リース債務の減少102百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、270百万円(7.8%)増加し、3,755百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加49百万円、退職給付に係る調整累計額の増加222百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は20.9%、1株当たり純資産額は2,842円61銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、96百万円の増加(前連結会計年度比1,670百万円の減少)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益207百万円、減価償却費619百万円、仕入債務の増加額723百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額828百万円、たな卸資産の増加額392百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、834百万円の減少(前連結会計年度比303百万円の増加)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出935百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、238百万円の増加(前連結会計年度比1百万円の減少)となりました。これは、主に長期借入れによる収入3,180百万円、短期借入金の純減額486百万円、長期借入金の返済による支出2,229百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ498百万円減少し、2,081百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 コンクリート二次製品事業、コンクリートセグメント事業については製造原価、工事事業については完成工事原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
※前連結会計年度においては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。見積りに関しては過去の実績などを慎重に検討したうえで行い、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1)経営成績
(売上高)
売上高は、コンクリート二次製品事業及び工事事業において、全国需要は前連結会計年度に対してほぼ横ばい圏内でありましたが、当社の主力商圏であります関東および静岡につきましては、前連結会計年度を上回る水準で推移した結果、17,760百万円(前連結会計年度比8.1%の増加)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の売上総利益は、上記売上高の増加があったものの原材料価格の高騰、人件費を中心とした工事原価の大幅な増加および積極的な研究開発費の支出などにより、前連結会計年度比0.2%減の2,143百万円となりました。売上総利益率は、コンクリート二次製品事業及び工事事業において主に上記の要因により、前連結会計年度の13.1%から当連結会計年度は12.1%に減少しております。
また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の1,843百万円から157百万円増加し2,001百万円となりました。
以上の結果、営業利益は142百万円(前連結会計年度比53.4%の減少)となりました。なお、売上高営業利益率は0.8%で前連結会計年度比1.1ポイントの減少となりました。
(経常利益)
経常利益は、主に上記の要因により、178百万円(前連結会計年度比39.6%の減少)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益41百万円および投資有価証券売却益18百万円などがありましたが、主に上記の要因により、114百万円(前連結会計年度比28.5%の減少)となりました。
2022年2月期の連結業績予想(計画)との比較
(単位:百万円)
併せて、中期経営計画の目標値であるROE8%に対して、実績は3.2%、自己資本比率30%に対して、20.9%となりました。
(セグメント別の状況)
(コンクリート二次製品事業及び工事事業)
当社グループの主力事業でありますコンクリートパイル事業は、連結財務諸表のセグメント情報における「コンクリート二次製品事業」及び「工事事業」から構成されております。
当連結会計年度のコンクリートパイル事業の全国需要につきましては、前年度に対して横ばい圏内となりました。一方で、当社の主力商圏である関東および静岡の需要は、ともに前年度を上回りました。当社の売上高は、主力商圏の需要環境好転に支えられるとともに、営業部門拡充の効果等もあり、前年度に対して増収となりました。しかしながら、全国的には大変厳しい需要環境の中で価格競争が激化したことに加え、下期については原材料価格の高騰、物件集中による原価率の悪化などの収益下押し要因により、収益性という点では厳しい結果となりました。
コンクリートパイル事業の事業戦略につきましては、第6次中期経営計画に基づき、バリューチェーン全体の品質保証体制の強化及び経営資源の拡充を柱とした成長戦略を実行いたしました。2021年度の主な取組は以下のとおりです。
(バリューチェーン全体の品質保証体制を強化する取組)
①施工部門の拡充(増員、施工管理装置の更新など)
②人材育成の強化(研修会の開催、専門資格取得省令など)
③製造部門における保守部門の拡充(専門家による指導など)
バリューチェーン全体の品質保証体制を強化する取組におきましては、顧客ニーズが高度化する中で、引き続き当社の事業競争力において極めて重要な領域と考えております。施工部門の増員および施工管理装置の更新などにより、よりきめ細やかな施工品質の確保を強化いたしました。人材育成に関して、資格取得の奨励や社内勉強会の充実などを行っております。国家資格を含め、資格保有者は着実に増加しております。採用につきましては、インターンの実施や志願者の希望に応じた説明会の随時開催など、きめの細かい対応を行っております。また、当社ウェブサイトを2020年8月に刷新し、事業内容や当社の魅力について積極的に発信してまいりました。製造部門における保守部門の拡充につきましては、専門家による指導を通じて5Sの徹底を行ったうえで製品品質の確保に取組んでまいりました。
(経営資源を拡充する取組)
①東京工場の基幹設備を改修
②スマートエネルギー事業の推進
③新商品開発
製造部門における投資といたしましては、コンクリートパイル製造の主力工場である東京工場において、基幹設備の刷新を行いました。これにより、さらに安定した製品供給体制を確保すると同時に、製造効率も改善しております。同じく東京工場に昨年度誘致した「瑞穂町地域スマートエネルギー株式会社」が稼働しており、省エネルギー化を通じた二酸化炭素排出量の削減と光熱費用の削減を実現すると同時に、災害にも強いエネルギー供給設備として地域防災にも貢献しております。
コンクリートパイル事業の新商品開発におきましては、品質や経済性に優れた商品の開発および改良が極めて重要であると認識しております。当期の取組といたしましては、主力工法のひとつであります「MRXX工法」の適用領域を拡大する改良、耐震性が高く経済性に優れた杭であるPHC杭において、新製品「HIT-TSPRCパイル」および「HIT-TSPRC-STパイル」を開発いたしました。
2021年度は、第6次中期経営計画の最終年度に当たりました。第6次中期経営計画につきましては、主要な取り組みの着手は完了いたしました。2022年度は、「Reform(改革)」と「Restart戦略(再始動)」をコンセプトにした第7次中期経営計画「TAFCO・RR計画」がスタートいたします。これまでの取組の継続に加え、収益力の早期回復や業容の拡大に伴って新たに顕在化した戦略的な課題に対処してまいります。
以上の結果、コンクリート二次製品事業の売上高は、8,549百万円(前連結会計年度比7.8%増)、営業利益は233百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。また、工事事業の売上高は、7,095百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は491百万円(前連結会計年度比3.9%増)となりました。
(コンクリートセグメント事業)
当社グループのコンクリートセグメント事業では、シールド工事で用いられるプレキャストコンクリート製のトンネル覆工部材を製造しており、受託製造に特化した事業であります。
コンクリートセグメント事業は、大型物件の端境期が明け、当連結会計年度期首より大型物件の製造が開始されました。事業環境の大変厳しい中での受注案件であり、採算確保のための徹底的なコスト管理が必要でありますが、製造受託会社として顧客の要求する品質を満たすよう、「安全が第一」をスローガンに製造に取組んでまいります。 以上の結果、コンクリートセグメント事業の売上高は、1,920百万円(前連結会計年度比23.9%増)、営業損失は0百万円(前連結会計年度は2百万円の損失)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業に関しましては、静岡県沼津市でのショッピングセンターの賃貸を主な事業としております。当連結会計年度は、賃貸しているショッピングセンターが、7月の記録的な大雨に見舞われましたが、ショッピングセンターの迅速な対応により事業上の被害は軽微であり、以降、安定した業績で推移しており、不動産賃貸事業の売上高は194百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は、132百万円(前連結会計年度比4.0%減)となりました。
2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ751百万円(4.5%)増加して17,628百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて、872百万円(11.4%)増加し、8,527百万円となりました。これは主として受取手形及び売掛金の増加318百万円、電子記録債権の増加515百万円、商品及び製品の増加331百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べて、121百万円(1.3%)減少し、9,100百万円となりました。これは、主として建物及び構築物(純額)500百万円の増加、建設仮勘定695百万円の減少等によるものであります。流動負債は、前連結会計年度末と比べて、21百万円(0.2%)減少し、9,437百万円となりました。これは、主として電子記録債務の増加494百万円、短期借入金の減少486百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べて、501百万円(12.7%)増加し、4,436百万円となりました。これは、長期借入金の増加912百万円、退職給付に係る負債の減少309百万円、リース債務の減少102百万円によるものであります。当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて、270百万円(7.8%)増加し、3,755百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加49百万円、退職給付に係る調整累計額の増加222百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は20.9%、1株あたり純資産額は2,842円61銭となりました。
3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、96百万円の増加(前連結会計年度比1,670百万円の減少)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益207百万円、減価償却費619百万円、仕入債務の増加額723百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額828百万円、たな卸資産の増加額392百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、834百万円の減少(前連結会計年度比303百万円の増加)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出935百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、238百万円の増加(前連結会計年度比1百万円の減少)となりました。これは、主に長期借入れによる収入3,180百万円、短期借入金の純減額486百万円、長期借入金の返済による支出2,229百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ498百万円減少し、2,081百万円となりました。
4)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、原材料調達や価格の動向、市場動向、国内の法令や政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、重要な供給元とは関係強化を図るとともに、汎用品に関しては複数の調達先を起用することと、生産と販売のバランスの調整を含めた安定的な調達を進めております。
品質確保につきましては、品質強化委員会を中心とし、製造工程での不良品の発生状況や施工上の不具合などを分析し、ケーススタディなどによって解決策を提示し、各部門との連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
市場の変化に対しましては、営業部門が設計事務所・ゼネコン・販売会社などの顧客と緊密な関係を構築し、お客様のニーズを的確にとらえた提案営業が実践できるよう取り組んでおります。
国内の法令や政治・経済動向等につきましては、取締役会を中心とし、情報を入手するとともに、社外の専門家と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
また、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありましたが、引続き感染対策を継続し、従業員及び関係者の安全確保に取り組んでまいります。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新規製品・工法開発等にかかる研究開発費や、老朽化した設備の維持更新、各種工法用治具のラインナップの拡充に係る投資であります。また、現在、東京工場のリニューアル工事とスマートエネルギー事業参画への投資約24億円などを計画・実行中であります。営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資金と金融機関からの借入金により調達する計画であり、東京工場関係では当連結会計年度において300百万円を短期借入金(累計では長期・短期合わせて約13億円)で調達しております。
なお、当連結会計年度末における長・短期借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、6,514百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,081百万円であり、流動性の確保は重要な経営課題であります。
6)目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2019年度から2021年度にかけて第6次中期経営計画を策定し、最終年度にあたる当連結会計年度は、コンクリートパイル事業では「バリューチェーン全体の品質保証体制の強化」「経営資源の拡充」を計画いたしました。また、コンクリートセグメント事業では、大型物件の製造を開始し、全国的に需要が減退する厳しい状況のなか、コスト構造の徹底的な見直しを行い、収益の確保に努めました。
コンクリートパイル事業におきましては、当初計画通り「バリューチェーン全体の品質保証体制の強化」への取り組みとして
①施工部門の拡充(増員、施工管理装置の更新など)
②人材育成の強化(研修会の開催、専門資格取得省令など)
③製造部門における保守部門の拡充(専門家による指導など)
「経営資源の拡充」への取り組みとして、
①東京工場の基幹設備の改修を実行
②スマートエネルギー事業の推進(継続)
③新商品開発
を中心に実行してまいりました。取組自体は、計画通りの進捗を見せておりますが、市場の需要動向の変動が当初見込みより厳しく、単年度の経営成績は数値目標が未達に終わりました。具体的な目標である中長期的なROE8%に対して、実績3.2%、自己資本比率30%に対して20.9%でありました。
2022年度に関しましても、当初計画に織り込んでいなかった「新型コロナウイルス感染症」が業績に影響を与える可能性があります。感染予防に必要な対策を継続し、安全確保に全力を傾けた上で目標達成に向け取り組んでまいります。
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