当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、全体としては新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた前年度から大きく需要が回復することとなりました。
当社グループの主要得意先である鉄鋼業界における当連結会計年度の国内粗鋼生産量は、前年同期比15.5%増の9,563万トンとなりました。これに対して、2021年1~12月間の世界の粗鋼生産量は、前年同期比3.7%増の19億5,050万トンと初の19億トン越えとなりました。
このような状況下、当社グループでは2025経営計画の基本方針である「世界第一級の総合セラミックス企業」の地位確立を目指し、当連結会計年度において、国内外での設備投資やArcelorMittalグループの耐火物製造会社ArcelorMittal Refractories社との欧州鉄鋼向け耐火物の製造技術供与・支援及び販売提携、ブラジルの耐火物製造会社であるINDÚSTRIAS BRASILEIRAS DE ARTIGOS REFRÁTARIOS社との南米向け耐火物の製造技術供与契約締結といったグローバル戦略の強化等、収益拡大に向けた各種取り組みを実施致しました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりです。
[売上高]
国内外の粗鋼生産量の増加に伴う耐火物需要の増加に加え、半導体製造装置・電子部品向けセラミックス材料の増加等により、売上高は、 前連結会計年度に比べ17.7%増収の1,337億78百万円となりました。
[損益]
売上高の増加等により、営業利益は、前連結会計年度に比べ52.9%増益の75億66百万円、経常利益は、同36.4%増益の86億79百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、同26.7%増益の54億90百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は2億42百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ46百万円増加しています。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント損益は営業損益ベースです。
[耐火物事業](各種工業窯炉に使用する耐火物全般の製造販売)
売上高は、国内外の粗鋼生産量の増加に伴う耐火物需要の増加等により、 前連結会計年度に比べ21.5%増収の1,106億59百万円となりました。利益は、売上高の増加等により、同82.9%増益の51億49百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2億42百万円増加し、利益は46百万円増加しています。
[ファーネス事業](各種窯炉の設計施工及び築造修理)
売上高は、大型工事案件の受注の谷間にあることに伴う受注減等により、前連結会計年度に比べ3.7%減収の132億26百万円となりました。利益は、売上高の減少等により、同9.4%減益の6億68百万円となりました。
[セラミックス事業](各種産業用ファインセラミックスの製造販売及び景観材の販売)
売上高は、半導体製造装置・電子部品向けセラミックス材料の増加等により、 前連結会計年度に比べ14.5%増収の84億86百万円となりました。利益は、売上高の増加等により、同60.1%増益の11億24百万円となりました。
[不動産事業](店舗・倉庫等の賃貸)
売上高は、前連結会計年度に比べ11.3%減収の7億37百万円、利益は、同11.7%減益の5億92百万円となりました。
[その他](製鉄所向け石灰の製造販売)
売上高は、前連結会計年度に比べ5.8%増収の6億68百万円、利益は、同48.4%増益の36百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ123億39百万円増加して、1,426億94百万円となりました。流動資産は同118億32百万円増加の913億28百万円、固定資産は同5億7百万円増加の513億65百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、売上増等に伴う商品及び製品並びに原材料及び貯蔵品の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、機械装置の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ65億43百万円増加して、736億9百万円となりました。流動負債は同32億38百万円増加の484億10百万円、固定負債は同33億5百万円増加の251億98百万円となりました。
流動負債増加の主な要因は、買掛金の増加によるものです。固定負債増加の主な要因は、長期借入金の増加によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ57億95百万円増加して、690億84百万円となりました。
純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加です。
なお、収益認識基準等の適用により、当連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことで、利益剰余金の期首残高は83百万円減少しています。
この結果、自己資本比率は45.8%となりました。
また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の7,133円91銭から7,759円14銭となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ2億89百万円減少し、50億12百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動の結果得られた資金は41億20百万円(前連結会計年度は100億80百万円の収入)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益85億78百万円、仕入債務の増加額31億89百万円、減価償却費32億47百万円、棚卸資産の増加額69億71百万円です。
投資活動の結果使用した資金は36億8百万円(前連結会計年度は49億46百万円の支出)となりました。
主な内訳は、設備等固定資産の取得による支出36億52百万円です。
財務活動の結果使用した資金は10億22百万円(前連結会計年度は36億8百万円の支出)となりました。
主な内訳は、長期借入れによる収入67億45百万円、長期借入金の返済による支出55億22百万円、配当金の支払額17億69百万円です。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
3 不動産事業に生産実績はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 不動産事業については、受注活動にそぐわないため、除外しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っています。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細については、第5[経理の状況]、1[連結財務諸表等]の「(1) 連結財務諸表」、「注記事項」、「(重要な会計上の見積り)」および2[財務諸表等]の「(1)財務諸表」、「注記事項」、「(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
なお、重要な会計上の見積りが必要となる項目は次のとおりです。
(連結子会社株式の評価及びのれんの評価)
当社の貸借対照表に計上されている連結子会社に対する投資のうち、155億93百万円については、評価額の著しい低下の有無を判断するにあたって、実質価額の見積りは、連結子会社の将来キャッシュ・フローの割引現在価値に基づいて行っています。当該割引現在価値は、連結子会社の現状及び中期経営計画を基にするとともに、中期経営計画以降の将来見通し及び割引率を基礎としています。しかし、中期経営計画並びに将来見通しの実現には不確実性を伴うため、これらに係る経営者の判断は、会計上の見積りに影響を及ぼしています。
また、当社の連結貸借対照表上、連結子会社を取得した際におけるのれんが当連結会計年度末現在において42億70百万円が計上されています。当該のれんの減損損失認識要否の判断は、連結子会社の割引前将来キャッシュ・フローを用いています。当該割引前将来キャッシュ・フローは、連結子会社の現状及び中期経営計画を基にするとともに、中期経営計画以降の将来見通しを基礎としています。しかし、中期経営計画並びに将来見通しの実現には不確実性を伴うため、これらに係る経営者の判断は、会計上の見積りに影響を及ぼしています。
TRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITEDの中期経営計画及び将来見通しの前提となる売上高及び利益の見込は、アクション・プランの確実な実行等により達成することを目指しています。
[売上高]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ201億16百万円増加の1,337億78百万円(前年同期比17.7%増)となりました。これは主に、国内外の粗鋼生産量の増加に伴う耐火物需要の増加に加え、半導体製造装置・電子部品向けセラミックス材料の増加等によるものです。地域ごとの売上高は、日本が776億69百万円(前年同期比9.0%増)、インドが248億39百万円(前年同期比38.4%増)、アジアが87億72百万円(前年同期比2.5%増)、欧州が132億96百万円(前年同期比42.8%増)、その他が92億1百万円(前年同期比39.4%増)となり、海外売上高は561億9百万円(前年同期比32.3%増)、海外売上高比率は41.9%(前年同期比4.6ポイント増)となりました。
2023年3月期以降の当社グループの売上については、海外を中心とする粗鋼生産量の増加に伴う耐火物需要及び鉄鋼製造設備整備作業の増加に加え、半導体製造装置・電子部品向けセラミックス材料の増加等が見込まれることから、増収基調にあると想定しています。
[売上総利益]
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ42億53百万円増加の248億9百万円(前年同期比20.7%増)となりました。売上総利益率は、売上高の増加等により、前連結会計年度に比べ0.5ポイント増加の18.5%となりました。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ26億17百万円増加の75億66百万円(前年同期比52.9%増)となり、営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント増加の5.7%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ16億36百万円増加の172億42百万円(前年同期比10.5%増)となりました。
[経常利益]
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ23億18百万円増加の86億79百万円(前年同期比36.4%増)、経常利益率は、前連結会計年度に比べ0.9ポイント増加の6.5%となりました。営業外収益は、助成金収入の減少により前連結会計年度に比べ3億28百万円減少の16億81百万円(前年同期比16.3%減)、営業外費用は、その他の減少により前連結会計年度に比べ29百万円減少の5億67百万円(前年同期比4.9%減)となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ11億55百万円増加の54億90百万円(前年同期比26.7%増)となりました。特別利益は、固定資産売却益の減少及び投資有価証券売却益の減少により前連結会計年度に比べ4億46百万円減少の82百万円(前年同期比84.4%減)、特別損失は、減損損失の減少により前連結会計年度に比べ1億67百万円減少の1億83百万円(前年同期比47.6%減)となりました。
なお、経常利益の増減要因を次のとおり分析しています。
耐火物事業においては、原料・調達品の価格高騰や円安進行等により厳しい環境であったものの、国内外の粗鋼生産回復に伴う作業用耐火物の受注増、コストダウンの推進、インドを中心とした海外連結子会社の収益向上に加え、セラミックス事業での半導体製造装置・電子部品向け材料の需要増もあり、増益となりました。
※表示単位未満の端数を四捨五入して表示
・原料・調達品の価格変動 △ 11.3億円
・為替変動 △ 15.5億円
・耐火物の受注増加 26.9億円
・コストダウン 3.5億円
・連結子会社の損益 19.7億円
・ファーネス事業 △ 0.7億円
・セラミックス事業 4.2億円
・営業外損益等 △ 3.7億円
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の分析については、第2[事業の状況]、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「①経営成績の状況」に記載しています。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に照らしての経営成績の分析・検討内容については、第2[事業の状況]、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題]の「(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」、「②2025経営計画(2021年度~2025年度)の進捗状況について」に記載しています。
当連結会計年度における財政状態の分析については、第2[事業の状況]、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「②財政状態の状況」に記載しています。
[耐火物事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ140億59百万円増加して、1,166億53百万円となりました。
増加の主な要因は、売上増等に伴う棚卸資産の増加です。
[ファーネス事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ9億3百万円減少して、86億74百万円となりました。
減少の主な要因は、受取手形及び売掛金の減少です。
[セラミックス事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億82百万円減少して、79億50百万円となりました。
[不動産事業]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ4億96百万円減少して、6億20百万円となりました。
[その他]
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べ78百万円減少して、3億32百万円となりました。
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、第2[事業の状況]、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の「(1) 経営成績等の状況の概要」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
当社グループの主な運転資金需要は、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした主な資金需要は、設備の取得によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、コマーシャル・ペーパーを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としています。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況にありますが、当社グループの資金繰りに特段の問題は生じていません。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は34,198百万円となっています。
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