(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、新たな変異株による感染が拡大するなど、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されております。また、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー資源価格の上昇、金融市場の変動など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
住宅市場におきましては、国土交通省が発表している建築着工統計調査報告において、マンション等を含む新設住宅着工戸数は前事業年度と比較し上回る水準で推移しているものの、戸建ての指標である持家の着工数が2021年12月から7ヵ月連続で前年同月比を下回るなど、引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社は、主力製品「CERAMシリーズ」「SHINTOかわらS」の拡販や新規顧客の掘り起こし他、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、YouTubeやLINE等のSNSを活用した商品PRやWeb会議型アプリを使用したリモートによる営業活動にも努めてまいりました。また、エネルギー資源価格上昇などによる仕入れコストの上昇に対し、販売価格の改定などを行った結果、売上高は5,419百万円(前期比406百万円増加)と前年比増収となりました。
利益面におきましては、エネルギー資源価格の上昇に伴う急激な仕入れコスト増加に対し、工場稼働率の向上及び歩留の改善を徹底してまいりましたが、コストの回収をすることができず、売上原価率は前期と比較し1.4%増加の85.0%となりました。この結果、営業損失2百万円(前期は19百万円の利益)、経常利益22百万円(前期比28百万円減少)、当期純損失1百万円(前期は1百万円の利益)となりました。
財政状態においては、前事業年度末に比し純資産が19百万円減少し、総資産が495百万円増加した結果、自己資本比率は47.7%と4.0ポイントの減少となりました。主な要因としましては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化等により、エネルギー資源価格が高騰し原材料及び仕入商品のコスト上昇につながっており、コスト上昇の影響を最小限に抑えるため、コスト上昇前に在庫を確保することで売上総利益率の確保に努めてまいりました。その結果、棚卸資産が前期比511百万円増加した一方、売上総利益率は15.0%となり、前期比1.4%の減少に抑えられたことが要因となりました。
なお、当社は瓦製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメントとの関連は記載しておりません。
(流動資産)
流動資産は、商品及び製品が506百万円増加等により、3,124百万円(前期比569百万円増加)となりました。
(固定資産)
固定資産は、有形固定資産の72百万円減少等により、3,794百万円(前期比73百万円減少)となりました。その結果、資産合計では、6,919百万円(前期比495百万円増加)となりました。
(流動負債)
流動負債は、短期借入金の340百万円及び1年内返済予定の長期借入金259百万円並びに未払金の62百万円増加等により、3,026百万円(前期比605百万円増加)となりました。
(固定負債)
固定負債は、長期借入金の93百万円減少等により、592百万円(前期比90百万円減少)となりました。その結果、負債合計では、3,618百万円(前期比514百万円増加)となりました。
(純資産)
純資産は、当期純損失1百万円となり、配当金支払が26百万円あったこと等により、3,300百万円(前期比19百万円減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度と比較して2百万円増加し、107百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動における資金の支出は、412百万円(前期373百万円の収入)となりました。
これは、主に非資金費用である減価償却費123百万円、未払金の増加52百万円の増加要因があったこと等に対し、棚卸資産の増加511百万円、未払又は未収消費税等の増減額113百万円の減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動における資金の支出は、57百万円(前期40百万円の支出)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出50百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動における資金の収入は、472百万円(前期294百万円の支出)となりました。
これは、主に借入金の純増額506百万円、配当金の支払額26百万円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績について、当社は、瓦製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメントとの関連は記載しておりません。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。
取扱品目 |
金額(千円) |
前年同期増減比(%) |
製品瓦 |
|
|
J形瓦 |
- |
△100.0 |
S形瓦 |
88,072 |
35.7 |
F形瓦 |
2,058,655 |
16.0 |
合計 |
2,146,728 |
16.4 |
(注)1.金額は、平均売価によっております。
2.J形瓦の著しい減少につきましては、二池工場の廃止によるものであります。
b.仕入実績
当事業年度の仕入実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。
取扱品目 |
金額(千円) |
前年同期増減比(%) |
商品瓦 |
|
|
J形瓦 |
293,385 |
0.6 |
S形瓦 |
47,748 |
5.1 |
F形瓦 |
645,085 |
28.2 |
その他の瓦 |
4,105 |
△24.9 |
小計 |
990,325 |
17.1 |
その他(副資材他) |
1,371,869 |
69.5 |
合計 |
2,362,194 |
42.7 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社は、受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当事業年度の販売実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。
取扱品目 |
金額(千円) |
前年同期増減比(%) |
製品瓦 |
|
|
J形瓦 |
10,949 |
△89.8 |
S形瓦 |
85,785 |
△16.4 |
F形瓦 |
1,987,847 |
△0.9 |
小計 |
2,084,583 |
△5.9 |
商品瓦 |
|
|
J形瓦 |
339,031 |
13.6 |
S形瓦 |
71,647 |
18.0 |
F形瓦 |
848,609 |
28.0 |
その他の瓦 |
5,525 |
△13.7 |
小計 |
1,264,814 |
23.0 |
その他(副資材他) |
2,070,581 |
17.1 |
合計 |
5,419,979 |
8.1 |
(注)主な相手先別の販売実績は総販売実績に占める割合が10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等につきましては、売上高は、エネルギー資源価格上昇などによる仕入れコストの上昇に対し、販売価格の改定などを行った結果、商品売上高が235百万円、及びその他の売上高が169百万円増収となり、あわせて売上高は406百万円増収の5,419百万円となりました。
利益面につきましては、燃料調達価格の高騰に伴い、売上総利益10百万円減益の814百万円(前期825百万円)となりました。このような状況の中、工場稼働率の向上及び歩留の改善を徹底した結果、売上総利益率は15.0%(前期16.4%)と前年比の水準を大きく下回ることのない結果となりました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、感染拡大防止のためWeb会議型アプリを使用したリモート営業を行う等、移動を制限された中でも積極的な営業活動を行ってまいりました。また固定費の削減にも積極的に取り組んでおり、在庫置場の見直し等に努めてまいりましたが、販売費及び一般管理費は10百万円増加の816百万円(前期805百万円)となりました。その結果、営業損失2百万円(前期営業利益19百万円)となりました。
経常利益は、営業外収益が3百万円減少の43百万円(前期46百万円)となったこと、また営業外費用は4百万円増加の18百万円(前期14百万円)となったことにより、経常利益22百万円(前期51百万円の利益)となりました。
当期純利益は、損害賠償引当金繰入12百万円を計上したこと等により、当期純損失1百万円(前期1百万円の利益)となりました。
財政状態におきましては、前事業年度末に比し純資産が19百万円の減少、総資産が495百万円増加した結果、自己資本比率は47.7%と4.0ポイントの減少となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前述の(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
当社は、事業運営上の必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,308百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産に対する評価性引当額等、会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、財務諸表等に反映されております。
これらの見積りについては、継続して評価、見直しを行っていますが、自然災害、感染症の感染拡大等予期せぬ事態が発生し、経済活動に多大な影響を与える等の環境の変化により、実際の結果は見積りと異なることがあります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社は、中長期的な経営計画等に係る具体的な目標数値は定めておりませんが、企業価値の向上を意識した経営を推進すべく「自己資本当期純利益率(ROE)」を経営指標として採用しております。
当事業年度におけるROEは、当期純損失のため算出しておりません(前事業年度0.0%)。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している事やロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー資源価格が上昇し仕入コストも上昇しております。そのため、販売価格の改定や工場稼働率の向上及び歩留の改善を徹底してまいりましたが、上昇したコストを回収することができなかったことが要因であります。今後も引き続き、製造工場における生産効率の向上を追及するなど、当該指標の向上に取り組んでまいります。
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