業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

前連結会計年度末に比べ、流動資産は1,423,322千円増加し13,300,904千円、固定資産は256,210千円減少し5,130,646千円、資産合計は1,167,111千円増加し18,431,551千円となりました。

また、流動負債は687,221千円増加し8,018,656千円、固定負債は245,937千円減少し928,577千円、負債合計は441,284千円増加し8,947,233千円となりました。

純資産は前連結会計年度末に比べ725,827千円増加し9,484,317千円となりました。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は21,070,268千円(前期比22.9%増)、売上総利益は3,349,402千円(前期比48.6%増)となりました。営業利益は1,072,646千円(前期比627.4%増)、経常利益は1,165,283千円(前期比229.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は669,695千円(前期比493.9%増)となりました。

 

セグメント情報を記載していないため、事業部門別の経営成績を示すと次のとおりであります。

まず、みがき棒鋼部門におきましては、販売数量は71千トンとなり、売上高は14,246,266千円(前期比25.8%増)となりました。

次に、冷間圧造用鋼線部門におきましては、販売数量は42千トンとなり、売上高は6,824,002千円(前期比17.3%増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,969,585千円となり、前連結会計年度末に比べ601,853千円減少いたしました。

 

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は259,447千円(前連結会計年度比△1,762,797千円)となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,349,192千円及び売上債権の増加618,071千円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益1,155,595千円及び仕入債務の増加745,913千円並びに減価償却費494,527千円により資金が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は200,190千円(前連結会計年度比△49,445千円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が203,181千円あったことによるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は661,110千円(前連結会計年度は231,626千円の調達)となりました。これは主に、短期借入金の純減365,640千円及び長期借入金の返済216,588千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業の単一セグメントでありますので、セグメント情報に代えて事業部門別情報を記載いたします。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

9,942,071

31.9

冷間圧造用鋼線部門

6,160,605

16.0

合  計(千円)

16,102,676

25.3

(注)金額は製造原価により表示しております。

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

2,026,986

17.7

冷間圧造用鋼線部門

5,739

30.7

合  計(千円)

2,032,725

17.8

(注)金額は仕入金額により表示しております。

c.受注状況

当連結会計年度の受注状況を示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比(%)

受注残高

(千円)

前年同期比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

 

 

冷間圧造用鋼線部門

6,847,510

17.4

110,419

27.0

合    計

6,847,510

17.4

110,419

27.0

(注)1.みがき棒鋼部門は、見込み生産をしておりますので記載しておりません。

2.金額は、販売金額によっております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

みがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線事業

 

 

みがき棒鋼部門

14,246,266

25.8

冷間圧造用鋼線部門

6,824,002

17.3

合  計(千円)

21,070,268

22.9

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日鉄物産株式会社

1,916,064

11.2

2,211,408

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

a.流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は13,300,904千円となり、前連結会計年度末比1,423,322円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が601,853千円減少いたしましたが、電子記録債権が456,528千円、商品及び製品が419,656千円、原材料及び貯蔵品が867,361千円それぞれ増加したことによるものであります。

b.固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は5,130,646千円となり、前連結会計年度末比256,210千円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が251,401千円減少したことによるものであります。

なお、当連結会計年度における設備投資の総額は252,906千円であり、また、減価償却実施額は494,527千円であります。

c.流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は8,018,656千円となり、前連結会計年度末比687,221千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が365,640千円減少いたしましたが、支払手形及び買掛金が685,406千円、未払法人税等が337,013千円それぞれ増加したことによるものであります。

d.固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は928,577千円となり、前連結会計年度末比245,937千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が174,966千円、債務保証損失引当金が60,333千円それぞれ減少したことによるものであります。

なお、有利子負債の残高は総額で2,412,838千円となり、前連結会計年度末比586,288千円減少いたしました。

 

 

e.純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は9,484,317千円となり、前連結会計年度末比725,827千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が633,428千円、非支配株主持分が92,416千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(経営成績の分析)

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス変異株による感染拡大及び年度末のロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの影響により依然として先行き不透明な状況が続きました。

わが国のみがき棒鋼及び冷間圧造用鋼線業界(当業界)の主要需要家である自動車業界におきましては、新型コロナウイルスの影響により半導体や東南アジアからの部品の調達に支障が生じたため、生産の一部遅延などの影響が発生いたしました。建産機業界におきましては、概ね回復傾向が続きました。その結果、2021年暦年における当業界の生産量は1,743千トンと前年に比し309千トン増加いたしました(前年比21.6%増)。

一方で各種原料の高騰を受け、鋼材価格は2度の値上げにより35千円/トンの価格上昇となり、また、電力などのエネルギー及び副資材も大幅な値上げとなりました。

このような経営環境下、当社グループは全社を挙げて販売数量の拡大、固定費の抑制及び生産性の向上を推し進めるとともに、鋼材価格の値上げに伴う販売価格の改定及び加工賃是正に努めて収益の確保に取り組みました。

これらの結果、販売数量は拡大し113千トン(前期比11.3%増)、売上高は21,070,268千円(同22.9%増)と増収となり、損益につきましては、売上高の増加とトン当たり製造経費の減少に伴い、営業利益は1,072,646千円(同627.4%増)、経常利益は1,165,283千円(同229.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は669,695千円(同493.9%増)と増益となりました。

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当連結会計年度における収益、財務体質の各目標とそれに対する実績は次のとおりです。

 

2021年度(実績)

 

2021年度(目標)

売上高経常利益率(ROS)

5.5%

 

2.7%

自己資本比率

47.6%

 

48.5%

 

当社グループは、主要需要家である自動車業界の生産活動が一部低迷したものの、建産機業界は回復傾向が続いたことから販売数量は拡大したことなどから、売上高の増加とトン当たり製造経費の減少に伴い収益が改善した結果、売上高経常利益率は目標を大きく上回りました。

なお、自己資本比率につきましては、仕入債務などが増加したことから、自己資本比率は目標を下回りました。

株主還元につきましては、剰余金の配当は「連結配当性向年間30%」を目標としております。2021年度の連結配当性向は29.8%と目標をほぼ達成いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

「(1)経営成績等の状況の概要  ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

第73期

第74期

第75期

第76期

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

43.1

49.3

47.2

47.6

時価ベースの自己資本比率(%)

16.3

11.1

14.0

20.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.8

5.6

1.5

9.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

149.6

63.2

282.9

42.9

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値(もしくは最終気配値)×期末発行済株式数(自己株式数を除く。)により算出しております。

3.キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

c.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,412,838千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,969,585千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断、減損の兆候の判定等について、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 

 

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