(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及等に伴い行動制限が緩和され、個人消費や製造業をはじめとした企業収益に持ち直しの動きが見られました。一方で、オミクロン株の感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした地政学リスクの高まりに伴うエネルギー・資源価格の高騰、急激な円安進行など、依然として先行きは不透明な状況となっております。
当社グループにおいては、中国ロックダウンの影響による取引先の減産を受けて、貴金属の取扱い数量は前期をやや下回りました。主要製品のうち、貴金属の価格は米国金利の大幅な利上げ見通しを受け、ドル建て価格は軟調に推移いたしましたが、米国長期金利の上昇に伴う円安ドル高の影響で円建て価格が上昇したことにより前期を上回りました。銅の価格は電動車や再生可能エネルギー等の脱炭素関連需要の拡大や円安の影響を受け、前期を上回る水準となりました。
このような事業環境の中、当社グループは資源循環型社会の実現を見据えた取り組みをより拡充し、新規事業の確立及び経営基盤の強化に努めました。既存事業では新型コロナウイルス感染者数減少に伴い、対面での営業活動を再開し、取引先とのリレーション強化や独自技術を武器とした新規開拓に注力することにより、電子部品・デバイス工業分野における取引拡大に努めました。
新規事業では、リチウムイオン電池(以下、LiB:Lithium-ion Battery)再生事業の研究開発及び事業化に引き続き注力し、より効率的な製品化プロセスの確立を目指した実証実験を行っております。なお、事業スキーム構築を目的とした事業パートナーとの連携につきましては、現在も大きな枠組みの形成に向けて、複数企業とアライアンス締結に向けた交渉を継続しております。
当連結会計年度の連結業績は売上高8,592,871千円(対前期6.5%増)、営業利益815,840千円(同94.5%増)、経常利益776,106千円(同74.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益622,150千円(同64.9%増)となりました。LiB再生事業の研究開発規模の拡大に伴い、研究開発費等の経費は増加いたしましたが、主要製品価格が前期を上回ったことにより、増収増益となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりです。なお、各セグメントの金額については、セグメント間取引を含んでおります。
(貴金属事業)
貴金属の取扱い数量は前期をやや下回りましたが、主要製品価格が前期を上回ったことにより、売上高は7,246,174千円(対前期3.3%増)の増収となりました。セグメント利益は主要製品価格が前期を上回ったことや、事業戦略の見直し実施により利益率改善が図られたことで、590,601千円(同127.9%増)の増益となりました。
(環境事業)
銅の販売価格が前期を上回ったことに加え、主力製品である銅ペレット及び無機薬品の販売数量が増加したことで、売上高は1,148,885千円(同27.9%増)、一過性の全社費用の増加によりセグメント利益は139,562千円(同6.5%減)の増収減益となりました。
(システム事業)
注力してきた販促活動の効果により、主力製品である品質管理システムの販売が増加したことで、売上高は179,221千円(同26.5%増)、セグメント利益は33,417千円(同155.2%増)の増収増益となりました。
(その他)
その他に含まれる運輸事業等は、連結グループ内の受注が減少したことに加え、経費が増加したことで、売上高は301,649千円(同1.4%減)、セグメント利益は12,524千円(同47.4%減)の減収減益となりました。
②財政状態の状況
(資産の部)
前連結会計年度末に比べて760,644千円増加し、7,885,620千円となりました。
主な要因は、現金及び預金が291,984千円、棚卸資産が93,538千円、建物及び構築物(純額)が254,663千円、建設仮勘定が128,738千円増加したことです。
(負債の部)
前連結会計年度末に比べて179,930千円増加し、3,767,401千円となりました。
主な要因は、買掛金が30,392千円、未払法人税等が110,076千円、賞与引当金が21,318千円、借入金地金が100,555千円、長期未払金が40,001千円増加し、借入金が118,370千円減少したことです。
(純資産の部)
前連結会計年度末に比べて580,714千円増加し、4,118,218千円となりました。
主な要因は、利益剰余金が581,680千円増加したことです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ291,984千円増加し、1,346,414千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、838,034千円の収入となりました(前期は399,315千円の収入)。
この主な内訳は、税金等調整前当期純利益が802,030千円、減価償却費が232,650千円、棚卸資産の増加額が93,538千円、法人税等の支払額が63,387千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、369,970千円の支出となりました(前期は279,876千円の支出)。
この主な内訳は、有形固定資産の取得による支出が589,789千円、その他(投資)の収入が229,328千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、179,186千円の支出となりました(前期は274,760千円の支出)。
この主な内訳は、短期借入金の純減額が528,151千円、長期借入金の返済による支出が92,194千円、長期借入れによる収入が500,000千円、配当金の支払額が40,171千円です。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりです。
|
2020年9月期 |
2021年9月期 |
2022年9月期 |
自己資本比率(%) |
45.0 |
49.4 |
51.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
51.0 |
104.7 |
107.8 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
3.9 |
5.6 |
2.6 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
30.0 |
23.3 |
59.9 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
貴金属事業(千円) |
7,336,640 |
80.7 |
環境事業(千円) |
1,034,273 |
125.0 |
システム事業(千円) |
179,221 |
126.5 |
報告セグメント計(千円) |
8,550,135 |
85.0 |
その他(千円) |
18,678 |
137.0 |
合計(千円) |
8,568,814 |
85.0 |
(注)金額は販売価格により、セグメント間の取引は含んでおりません。
b.受注実績
貴金属事業、環境事業ともに回収量に応じて生産しているため該当事項はありません。システム事業においては、受注生産を行っております。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
システム事業 |
140,138 |
73.2 |
35,994 |
48.4 |
(注)セグメント間の取引は含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
貴金属事業(千円) |
7,246,174 |
103.3 |
環境事業(千円) |
1,148,796 |
127.9 |
システム事業(千円) |
179,221 |
126.5 |
報告セグメント計(千円) |
8,574,192 |
106.4 |
その他(千円) |
18,678 |
137.0 |
合計(千円) |
8,592,871 |
106.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
三菱商事RtMジャパン株式会社 |
1,750,998 |
21.7 |
1,598,371 |
18.6 |
住商マテリアル株式会社 |
- |
- |
1,334,580 |
15.5 |
JX金属商事株式会社 |
- |
- |
977,705 |
11.4 |
田中貴金属工業株式会社 |
1,780,260 |
22.1 |
962,350 |
11.2 |
3.前連結会計年度の住商マテリアル株式会社及びJX金属商事株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は売上高8,592,871千円(対前期6.5%増)、営業利益815,840千円(同94.5%増)、経常利益776,106千円(同74.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益622,150千円(同64.9%増)となりました。LiB再生事業の研究開発規模の拡大に伴い、研究開発費等の経費は増加いたしましたが、主要製品価格が前期を上回ったことにより、増収増益となりました。
なお、セグメント別の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループは貴金属、非鉄金属を主な製品として取り扱っているため、金属相場及び為替相場による影響を受ける可能性があります。また、当社の取引先の多くは電子部品・デバイス工業分野に属しており、この分野の景況の変化に伴い、当社の業績も連動する可能性があります。
その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「2[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、貴金属事業における材料仕入資金並びに製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、主に研究開発投資及び設備投資によるものです。
当社グループの事業運営上で必要な資金の確保は、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としつつ、資金使途を踏まえ、調達する時点で最も効率的かつ安定的と判断される方法により資金調達を行っていく方針です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、この連結財務諸表の作成に当たって、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
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