当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの経営環境は、日本や中国など一部の地域で需要の回復傾向も見られましたが、米中貿易摩擦の長期化や新型コロナウィルス感染症の再拡大、世界的な半導体不足や原材料価格の高騰による影響などにより、依然として先行き不透明で厳しい状況が続きました。また、これらの状況が継続し、影響が長期化することも懸念されております。
このような状況の下、当社グループでは本年を初年度とする中期経営計画「PROGRESS 2023」をスタートさせ、目標達成に向けて各種施策に取り組んでおります。また、新型コロナウイルス感染症への対応につきましても、国内及び海外(中国、アメリカなど7ヶ国13拠点)の各拠点において、引き続き従業員の感染リスクの低減と安全確保を図りながら、お客様への供給責任を果たすべく事業活動を実施しております。
当連結会計年度の業績は、自動車・産業機器用製品などの成長分野での需要が回復傾向にありましたが、直近では半導体不足による自動車メーカーの減産影響、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による工場の稼働制限に伴う生産・販売への影響、また、銅価格の高騰や世界的なコンテナ不足による物流費の高止まり等の影響を大きく受けました。そのような状況の中、自動車・産業機器用製品などの分野での製品開発・新規開拓の促進などに取り組んできた結果、ワイヤーハーネス部門、ハーネス加工用機械・部品部門の売上が増加し、売上高は前年及び当初計画を上回りました。
利益面では、売上高の増加に加え、販売品種構成の良化、積極的な原価低減活動及び販管費の抑制などに取り組みました。一方で、銅価格や物流費の影響に加え、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による工場の稼働制限に伴う生産・販売への影響、半導体不足による自動車メーカーの減産影響等はあったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前年及び当初計画を上回りました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は36,952百万円(前期比17.7%増)、営業利益は1,104百万円(同45.1%増)となり、経常利益は1,287百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,017百万円(同94.1%増)となりました。
当連結会計年度の業績予想との比較は次のとおりであります。
2.業績予想比につきましては、2021年2月5日公表の当初業績予想と比較をしております。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(注)増減率につきましては、表示単位未満を四捨五入しております。
1. 日本
当連結会計年度は、自動車・産業機器用製品などの成長分野での需要が回復傾向にありましたが、直近では東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による海外工場の稼働制限の影響、また銅価格の高騰や物流費の増加の影響を大きく受けており、引き続き材料調達における影響の長期化も懸念されております。そのような状況の中、自動車・産業機器用製品などの分野での製品開発・新規開拓の促進に取り組んできた結果、ワイヤーハーネス部門、ハーネス加工用機械・部品部門の売上が増加し、売上高は21,435百万円(前期比21.5%増)となりました。
銅価格や物流費の影響に加え、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による海外工場の稼働制限に伴う影響はあったものの、売上高の増加に加え、販売品種構成の良化、積極的な原価低減活動及び販管費の抑制に取り組んだ結果、営業利益は641百万円(前期比762.7%増)となりました。
2. 欧米
当連結会計年度は、半導体不足による自動車メーカーの減産の影響が顕著となり、自動車用製品などのワイヤーハーネス部門の売上への影響がありました。引き続き、半導体不足や物流費の影響の長期化も懸念されております。一方で、前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響でメキシコ工場の閉鎖があったため前期比では増収となり、売上高は8,190百万円(前期比12.7%増)となりました。
利益面では、世界的なコンテナ不足による物流費の増加、銅価格等材料高騰に加え、自動車メーカーの減産による販売への影響などにより、営業損失は179百万円(前期は57百万円の営業利益)となりました。
3. アジア(日本を除く)
当連結会計年度は、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による海外工場の稼働制限の影響がありました。引き続き、新たな変異株等による感染再拡大のリスクも懸念されております。一方で、中国市場などの地域で需要の回復が見られるなど、自動車・産業機器用製品などのワイヤーハーネス部門の売上が堅調に推移し、売上高は7,326百万円(前期比13.1%増)となりました。
東南アジアでの新型コロナウイルス感染症再拡大による工場の稼働制限に伴う影響はあったものの、売上高の増加に加え、積極的な原価低減活動及び生産効率化による量産効果などにより、営業利益は731百万円(前期比16.3%増)となりました。
(注)構成比・増減率につきましては、表示単位未満を四捨五入しております。
1. 新エネルギー部門
当該部門は、太陽光発電配線ユニット及び周辺機器、環境・省エネに係る機器向けのワイヤーハーネスが含まれております。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響等により、太陽光発電関連製品の需要の減少が続き、前年を下回る販売となりました。一方で新エネルギー分野での新規システム開発、販売促進などの施策を進めましたが、前年及び当初計画を下回る売上高3,248百万円(前期比8.4%減)となりました。
2. ワイヤーハーネス部門
当該部門は、自動車部品向け、産業用機器向け、情報通信機器向け、家庭用電化製品向けなどのワイヤーハーネスであります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響や半導体不足による自動車メーカーの減産の影響等がありましたが、自動車・産業機器用製品などの分野での製品開発・新規開拓の促進に取り組んだ結果、前年及び当初計画を上回る売上高24,282百万円(前期比18.5%増)となりました。
3. 電線部門
当該部門は、汎用電線、情報・通信・計装用コントロールケーブル及びその他特殊ケーブルであります。
当連結会計年度は、日本国内での産業機器向け電線の需要の持ち直しや、銅価格の上昇もあり、売上高は前年及び当初計画を上回る2,809百万円(前期比30.6%増)となりました。
4. ハーネス加工用機械・部品部門
当該部門は、連結子会社ユニオンマシナリ株式会社の事業のうち、電気機器、電子機器、産業機械及びそれらの部品であります。
当連結会計年度は、自動車関連・産業機械分野などでの需要が堅調に推移し、前年及び当初計画を上回る売上高6,612百万円(前期比27.1%増)となりました。
当連結会計年度の業績予想との比較は次のとおりであります。
(注)1.構成比・増減率につきましては、表示単位未満を四捨五入しております。
2.業績予想比につきましては、2021年2月5日公表の当初業績予想と比較をしております。
財政状態の状況は次のとおりであります。
<資産>
資産合計は、32,940百万円(前期末比5,043百万円増)となりました。主に、受取手形及び売掛金1,626百万円、たな卸資産2,553百万円、有形固定資産559百万円及び投資有価証券が1,094百万円増加いたしましたが、現金及び預金が1,011百万円減少いたしました。
<負債>
負債合計は、14,647百万円(前期末比2,829百万円増)となりました。主に、支払手形及び買掛金2,190百万円及び繰延税金負債が303百万円増加いたしました。
<純資産>
純資産合計は、18,292百万円(前期末比2,213百万円増)となりました。主に、当期純利益などにより利益剰余金869百万円、その他有価証券評価差額金686百万円、及び為替換算調整勘定が886百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、4,370百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,011百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、180百万円の収入(前期は2,289百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,238百万円、減価償却費789百万円、売上債権の増加1,355百万円、たな卸資産の増加2,375百万円及び仕入債務の増加1,995百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、883百万円の支出(前期は774百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出729百万円及び投資有価証券の取得による支出106百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、601百万円の支出(前期は105百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の調達603百万円、長期借入金の返済による支出328百万円、短期借入金の純増減額263百万円の減少、配当金の支払額146百万円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出313百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、新エネルギー関連製品、ワイヤーハーネス製品、電線製品、ハーネス加工用機械・部品について大部分見込生産を行っております。受注生産の金額は僅少であるため記載を省略いたします。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績などの連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
<売上高>
売上高は、36,952百万円(前期比5,563百万円増)となりました。増加の要因などは、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
<売上原価、販売費及び一般管理費>
売上原価は、30,690百万円(前期比4,766百万円増)となりました。増加の要因などは、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。なお、売上総利益率は、16.9%(前期比0.5ポイント減)となっております。
販売費及び一般管理費は、5,157百万円(前期比453百万円増)となりました。増加の要因は、主に荷造運送費が増加したことによるものであります。なお、営業利益率は、3.0%(前期比0.6ポイント増)となっております。
<営業外損益>
営業外収益は、302百万円(前期比74百万円減)となりました。減少の要因は、主に為替差益39百万円及び関係会社清算益31百万円を計上した一方で、助成金収入が192百万円減少したことによるものであります。営業外費用は、120百万円(前期比35百万円減)となりました。減少の要因は、主に為替差損55百万円が減少したことによるものであります。また、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、182百万円となりました。なお、経常利益率は、3.5%(前期比0.4ポイント増)となっております。
<特別損益>
特別利益12百万円(前期比8百万円増)は、固定資産売却益12百万円によるものであります。特別損失60百万円(前期比305百万円減)は、感染症関連損失44百万円及び固定資産処分損15百万円によるものであります。特別利益から特別損失を差し引いた純額は、△48百万円となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
税金等調整前当期純利益は、1,238百万円(前期比618百万円増)となり、法人税、住民税及び事業税250百万円、繰延税金資産の増加による法人税等調整額△20百万円及び非支配株主に帰属する当期純損失9百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,017百万円(前期比493百万円増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益率は、2.8%(前期比1.1ポイント増)となっております。
なお、セグメント別の売上高の分析は、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販管費などの営業費用ならびに設備の新設、更新に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入金などで対応しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は3,950百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,370百万円であります。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社は、2021年を初年度として2023年度までの3ヶ年の新中期経営計画「PROGRESS2023」を策定し、最終年度である2023年度においては、売上高380億円、営業利益15億円、営業利益率4.0%、ROE6.9%を目標として掲げております。
初年度にあたる当連結会計年度におきましては、売上高36,952百万円、営業利益1,104百万円、営業利益率3.0%、ROE6.1%となりました。
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