当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度初めにおいては、新型コロナウイルス感染者数は減少傾向にありましたが、昨年7月からの第5波また本年1月からのオミクロン株の感染拡大による第6波の影響により、まん延防止等重点措置の適用地域が全国に拡大し、個人消費の回復にブレーキがかかり、景気回復も足踏み状況が続きました。現状につきましては、比較的重症化リスクの低い変異株の感染が主流となり、また感染拡大も落ち着いたことで個人消費の持ち直しを中心とした緩やかな回復途上にあります。一方、ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する各国の経済制裁が原油や原材料価格の一段の高騰を招き、物価上昇圧力が企業収益の圧迫要因になりつつあります。
橋梁・鉄骨業界におきましては、橋梁の発注量は前連結会計年度をやや上回りましたが、発注金額ベースでは新設工事と補修工事がほぼ半々となり、新設工事においては依然として熾烈な受注競争が続いております。一方、鉄骨の発注量は前連結会計年度を上回る水準となりましたが、鋼材価格を始めとする原材料価格は引き続き高水準で推移していることに加え、納期のタイト化も顕著となっていることから、企業収益が圧迫されることが懸念されます。
このような厳しい事業環境のなか、技術力と提案力の向上に努めつつ鋭意受注活動に注力した結果、当連結会計年度の受注高は総額514億2百万円(前期比51.9%増)と大幅に増加しましたが、売上高は、総額295億5千2百万円(同2.4%減)にとどまりました。
損益につきましては、大型橋梁工事が竣工したことによる追加変更獲得及び設備投資効果などによる生産性向上などにより、営業利益15億1千万円(同231.0%増)となり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業外収益、特別利益があったことなどにより、それぞれ18億3百万円(同118.4%増)、13億4千5百万円(同73.3%増)を確保いたしました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は3千7百万円減少し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益へ与える影響は軽微であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
― 橋梁事業―
当連結会計年度の受注高は、国土交通省近畿地方整備局・大和御所道路橿原高田IC・D3ランプ橋上部他工事、中日本高速道路株式会社・東海環状自動車道山県インターチェンジCランプ橋他3橋(鋼上部工)工事他の工事で217億3百万円(前期比54.8%増)となりました。
売上高は、国土交通省近畿地方整備局・伯母峯峠道路2号橋橋梁上部工事、国土交通省中部地方整備局・令和元年度23号北玉垣高架橋鋼上部工事他の工事で123億7千4百万円(同6.0%減)となり、これにより受注残高は255億3千1百万円(同57.6%増)となっております。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は7千1百百万円減少し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益へ与える影響は軽微であります。
― 鉄骨事業―
当連結会計年度の受注高は、(仮称)新宿南口計画新築工事、日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業新築工事他の工事で293億8千2百万円(前期比52.3%増)となりました。
売上高は、大型再開発工事にかかる売上などで164億8千7百万円(同4.5%増)となり、これにより受注残高は312億2千4百万円(同70.1%増)となっております。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3千4百万円増加し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益へ与える影響は軽微であります。
― インフラ環境事業―
風力発電等による環境事業、インフラを中心とした海外事業における当連結会計年度の受注高は、3億1千6百万円(前期比39.2%減)、売上高は1億3千万円(同83.9%減)となり、これにより受注残高は2億3百万円(同1,013.3%増)となっております。
― 不動産事業―
当社グループは、大阪市西淀川区にある大阪事業所の未利用地部分等について賃貸による不動産事業を行っており、当連結会計年度における不動産事業の売上高は4億1千4百万円(前期比1.9%増)となっております。
― その他―
当社グループは、その他の事業として印刷事業等を行っており、当連結会計年度におけるその他の売上高は、1億4千4百万円(前期比17.1%増)となっております。
当連結会計年度末における総資産は525億2千6百万円(前連結会計年度末比25億8千2百万円増加)となりました。
資産の部では、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産が9億3千万円減少したものの、現金預金が34億1千1百万円増加したことなどにより流動資産は316億円(同28億6千8百万円増加)となりました。固定資産は209億2千5百万円(同2億8千5百万円減少)となりました。
負債の部では、支払手形・工事未払金が10億円増加したことなどにより流動負債は138億4千7百万円(同20億5千万円増加)となりました。固定負債は91億3千5百万円(同9億7千万円減少)となり、負債合計は229億8千2百万円(同10億7千9百万円増加)となりました。
純資産の部では、利益剰余金が9億9千9百万円増加したことなどにより純資産は295億4千3百万円(同15億2百万円増加)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ34億1千1百万円増加し123億3千8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は48億1千6百万円(前連結会計年度34億9千1百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益19億2千2百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果得られた資金は3千7百万円(前連結会計年度25億1千6百万円の支出)となりました。これは固定資産取得による支出2億7百万円があったものの、投資有価証券の売却による収入1億4千2百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は14億4千6百万円(前連結会計年度6億8千6百万円の支出)となりました。これは社債発行による収入14億7千7百万円があったものの、社債償還による支出21億6千万円があったことなどによるものであります。
(注) 上記生産高は請負契約高に生産進捗率を乗じて算出しております。
(注) 1.売上高に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として橋梁は工事の総発注量は前連結会計年度をやや上回りましたが、発注金額ベースでは新設工事と補修工事がほぼ半々となり、新設工事においては依然として熾烈な受注競争が続いております。
一方、鉄骨の発注量は前連結会計年度を上回る水準となりましたが、鋼材価格を始めとする原材料価格は引き続き高水準で推移していることに加え、納期のタイト化も顕著となっていることから、企業収益が圧迫されることが懸念されます。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
橋梁事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおり受注高217億3百万円、売上高123億7千4百万円、受注残高255億3千1百万円となっており、セグメント利益は15億4千4百万円、セグメント資産は119億7千4百万円であります。今後も安定した受注と収益率の向上を図ってまいります。
鉄骨事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおり受注高293億8千2百万円、売上高164億8千7百万円、受注残高312億2千4百万円となっており、セグメント利益は12億3千6百万円、セグメント資産は161億6千4百万円であります。今後も安定した受注と設備投資等による生産性の向上による収益率の向上を図ってまいります。
インフラ環境事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおり受注高3億1千6百万円、売上高1億3千万円、受注残高2億3百万円となっており、セグメント損失は2億3百万円、セグメント資産は10億3千4百万円であります。今後は受注の拡大と設備投資等による生産性の向上による収益率の向上を図ってまいります。
不動産事業の経営成績は(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおり売上高4億1千4百万円となっており、セグメント利益は3億1千万円、セグメント資産は12億5千万円であります。今後も安定した収益が見込めますが、一部該当資産の老朽化対策が必要となります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金状況は、営業活動におけるキャッシュ・フローは48億1千6百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益19億2千2百万円があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは3千7百万円の支出となりました。これは、固定資産取得による支出2億7百万円があったものの、投資有価証券の売却による収入1億4千2百万円があったことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは14億4千6百万円の支出となりました。これは社債発行による収入14億7千7百万円があったものの、社債償還による支出21億6千万円があったことなどによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は123億3千8百万円(前連結会計年度末比34億1千1百万円増加)となりました。
なお、当社は取引銀行5行と総額50億円のコミットメント契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、種々の見積りが必要になります。これらの見積りは当社グループが現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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