課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「長年にわたるゆるぎない品質の確かさで顧客との信頼関係を築く」という企業理念の堅持と、前中期経営計画の「再生と創造」の基本方針は継続してまいります。さらに、今後の見通しが立てづらい経営環境において、柔軟で強靭な企業体質を実現するためには、主力事業の基盤強化と合わせて、「入札だけに頼らない企業体をつくる」という多角化戦略が以前に増して重要と考えます。この基本方針のもと、グループ企業として安定した経営、持続的な成長を目指してまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、3か年ごとに「瀧上グループ中期経営計画」を策定し、各事業セグメント別及びグループ各社の部門別に個別目標の設定と具体的な活動計画を策定し、新中期経営計画(対象期間:2022年3月期~2024年3月期)としております。この中期経営計画では、前中期経営計画の「再生と創造」の基本方針は継続しながら、2022年3月期~2024年3月期を対象とした新たな中期経営計画を策定し、コロナ禍を契機とする社会環境の大きな変化に対応可能な「柔軟で強靭」な企業体質の実現をスローガンに掲げ、橋梁事業の拡充強化を中核としながらも、今後確実に増え続ける保全事業への対応と民間大型案件への対応可能な鉄骨事業の体制構築を図ります。あわせて、海外事業と不動産事業にもこれまでと同様「入札だけに頼らない企業体づくり」のために注力していきます。さらには、働き方改革も待ったなしであり、技能労働者減少を見据えた担い手の確保及びデジタル技術の活用促進などがより求められると考えております。当社グループは、中期経営計画に掲げる諸施策の着実な取り組みを通じて、経営目標達成と企業価値向上を目指しております。

新中期経営計画の初年度となります2022年3月期におきましては、連結売上高15,420百万円、営業損失115百万円、経常利益238百万円を計画値としておりましたが、結果は連結売上高14,678百万円(計画比4.8%減)、営業損失197百万円(計画比71.3%減)、経常利益219百万円(計画比8.0%減)となり、すべての項目で目標未達の結果となりました。主な要因としては、国土交通省案件等の好採算案件の受注が不振であったことにより、結果として高速道路案件や民間鉄骨案件の受注にシフトしたことで、全体の採算性を低下させたことと、一部の案件で期初に計画した生産工程が工期延長により繰り下がったことで、総じて利益率の低下を招く結果となりました。

新中期経営計画の2年目となる2022年度に向けてのアクションとしましては、土木・建築技術者等の採用活動を強化し、経営資源の根幹となる必要人員の確保をしつつ、工場稼働をコロナ禍前の水準までに回復させ、生産効率を向上させることにより、固定費負担の軽減と低下した採算性の回復に努めてまいります。また、国土交通省が掲げる建設業人件費3%UP施策も推進し、従業員のさらなる士気向上をはかるとともに、収益率を確保した受注確保を同時に進めてまいります。

 

(3)経営環境

経営環境につきましては、国内では新型コロナウイルス感染症の発生から2年超となり、未だに新たな変異株の出現が継続しておりますが、国内においては、高いワクチン接種率と海外で開発された経口薬の導入などにより、一刻も早い事態の改善が望まれます。

今後の経営環境につきましては、国内建設市場においては、民間設備投資が回復基調にあるとともに、公共投資に関しても将来を見据えた国土強靭化やインフラ老朽化対策など引き続き堅調に推移すると見込まれるものの、受注競争の激化や主要資材の高騰等による厳しい状況は続くと思われます。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

①新設橋梁事業

新設橋梁事業につきましては、国土強靭化に関して大都市圏環状道路や代替道路ネットワークの整備が必要とされ、大阪湾岸線西伸部などの大規模プロジェクトが予定されています。しかし、厳しい受注競争が続くため、発注量に影響されず安定した受注を確保することが課題です。

②橋梁保全事業

橋梁保全事業につきましては、国土強靭化に関してインフラ老朽化対策が必要とされ、高速道路の床版取り替えや橋梁の耐震補強が拡大すると考えられます。特に大規模な保全工事においては高度で総合的な技術力が求められるため、対応する体制づくりが課題となります。

③鉄骨鉄構事業

鉄骨鉄構事業につきましては、都市再開発プロジェクトは継続される予定であるものの、ポストコロナにおいて働き方などの変化によるオフィス需要に注意が必要です。また、当社が得意としてきた発電所等のエネルギー関連施設建設は、カーボンフリーへの取り組みにより火力から風力等の再生可能エネルギーに転換されていくと思われます。このような変化を注視しつつ、民間の大型開発案件への対応力強化が課題となります。

④デジタル化及び働き方改革

上記の①~③の取り組み課題に共通するリスクは人材不足です。我が国の労働者人口は既に減少し始めており、働き方改革により女性と高齢者の労働参加率を高める取り組みがなされています。しかし、絶対的な人口不足や労働者人口自体の高齢化が進んでおり、ロボットやデジタル化の活用が省力化、省人化対策として期待されています。当社グループにおきましても、働き方改革による人材確保やロボット・デジタル技術の活用促進が課題です。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

橋梁・鉄骨業界を取り巻く経営環境が一層の厳しさを増していくなか、当社グループといたしましては、企業競争力の強化に努め、適正な受注量の確保を重要な施策と位置付け、売上高、利益面でバランスの取れた収益力を目指しており、中期経営計画では、売上高及び営業利益を目標指標としております。

 

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