研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、一般サッシからカーテンウォールまで総合外装メーカーとして一貫した商品開発を行っております。多様化する顧客ニーズへの対応と安全・安心社会実現に向けた開発をテーマに掲げ、さらには、環境負荷低減、高耐久化技術を取り入れた新商品開発に注力しております。
 当社の研究開発は、技術本部管轄の商品開発部、技術管理部、性能研究部、研究開発部により推進しており、研究開発スタッフは、全体で79名にのぼり、これは全従業員数の約2.7%に当たっております。
 また、次世代素材分野開拓に向け、連結子会社の不二ライトメタル㈱の製品本部、資材本部が研究開発に注力しております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、1,303百万円となっております。

 

[建材]

 市場では、2021年度の新設住宅着工戸数は約85.6万戸と前年度の約81.5万戸に対し5年ぶりに5%の増加となりましたが、シンクタンクでは移動世帯数の減少、平均築年数の伸長、名目のGDPの成長減速等により、2030年には約65万戸との予測が出されており、更なる市場競争の激化が予想されます。

 また、政策においては2050年までにCO2排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現に向け、2030年には2013年度比で46%の削減目標が掲げられました。この目標に対しては単にCO2の排出量を削減するだけでは困難であり、エネルギー源については太陽光発電など再生可能エネルギーの大幅な普及促進、水素やアンモニウムガスによる火力発電に関する技術開発などエネルギーミックスに関連する法整備などを含めた変革が求められています。

 2021年4月1日には改正建築物省エネ法が施行され、中規模(300㎡)以上の事務所ビルや商業ビルの新築工事に対しては、現行の省エネ基準適合が義務化されています。国土交通省では省エネ基準の適用対象を拡大するため、法規制を視野に入れた検討会を設置しており、省エネルギー住宅について従来から指摘されている外壁の高断熱化、高遮熱性開口部、高効率の空調設備などの新たな基準や既存ストック対策、再生可能エネルギーや非利用エネルギーの利用拡大などを継続的に検討すると共に、住宅・建築物における省エネ強化策として高断熱建材の普及に向けた取組みである「建材トップランナー制度」の省エネルギー性能の目標基準値見直し、「窓の断熱表示制度」に加え、住宅・建築物ストックの省エネ改修を対象とする支援事業などの施策が実施・検討されています。

 ビル建材の開発におきましては、住宅・建築物の省エネルギー対策を受け、高断熱サッシ商品のアルミ樹脂複合構造「FNS-Ⅱ100R」のバリエーション(個別防火連段窓およびコーナー窓、高耐風圧、高遮音対応)を追加し、更に高い評価を頂いており、CO2排出量の削減と建物の省エネルギー化に貢献しています。

 また、事務所ビル、商業ビルに対応したカーテンウォール商品の個別防火対応も進み、商品のバリエーションは更に充実しています。

 住宅建材の開発におきましては、次世代用高断熱サッシ商品名「SAJサッシ」に廉価型のアルミ樹脂複合サッシを追加し、対応範囲の拡大を行いました。

 また、防火設備として取り付けられる「インナー防火スクリーン」は、開口部には既存の商品を活用でき、様々な建築デザインに対応できる商品としてバリエーションは更に充実しています。

 光建材事業においては室内の壁・天井の間接照明を工業化し、デザイン性、施工性に優れた『アルビームインテリア』を発売しました。また、『アルビームインテリア』は(一社)日本アルミニウム協会が主催する「2021年度日本アルミニウム協会賞」において、アルミニウムの需要拡大に貢献のあった製品等に贈られる「開発奨励賞」を受賞しました。

 特需事業におきましては、ユニットハウスを利用したオフグリッドハウスを開発し、レンタル事業者様に出荷を開始しております。

 なお、建材事業に係る研究開発費は1,202百万円であります。

 

[形材外販]

 連結子会社の不二ライトメタルにおいて、2002年より研究開発をスタートしました次世代耐熱マグネシウム合金(KUMADAI耐熱マグネシウム合金)は、RIMCOF技術研究組合にて共同開発に成功しました航空機用マグネシウム合金を自動車等輸送機器への適用に向け邁進しております。

 難燃性マグネシウム合金は、高速鉄道の車両用素材開発を「革新的新構造材料等技術開発」にて進め、新幹線試験車両の床パネルを製作し、その性能試験が実施されました。

 医療デバイスの基材として期待されます生体吸収性マグネシウム合金は、素材作製から加工までの自社内一貫製造供給(溶解・鋳造押出引抜)設備にて素材の製作を行い、研究機関及び医療機器開発メーカーと共に医療デバイスの実用化推進を行っております。

 なお、形材外販事業に係る研究開発費は101百万円であります。

 

 当社グループの研究開発活動の責任部署である技術本部は、「ISO9001品質マネジメントシステム」及び「ISO17025試験品質マネジメントシステム」を取得しており、商品開発設計ならびに試験検証プロセスにおいて品質に拘り、高品質な商品を提供しております。なお、試験所では、資源を有効に活用するため、社外から依頼される試験を有償にて実施しております。また、試験方法のデジタル化にも取り組み、最新の測定技術であるモーションキャプチャを使った試験方法を開発、2021年度はISO17025の認定の範囲を拡大しました。

 文化シヤッターとの共同開発で、防災・減災商品や、断熱性と防火性を両立させる環境配慮対応商品に加え、日射遮蔽、通風対応での熱負荷低減対応等サッシとシャッターの相互の専門分野を活用した商品など、開口部への新しい価値の提供を目指し研究を進めております。今後もさらに一層の品質向上を目指し、お客様にご満足のいただける商品を提供するとともに、環境に配慮した商品の研究開発に努めてまいります。

 

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