(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及や政府の各種政策等によって新規感染者が減少し、一時的に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、原油や原材料価格の高騰、さらには地政学的リスクの顕在化等によって、景気の先行きは依然として予断を許さない不透明かつ不安定な状況が続いております。
当社グループの関連する建築業界におきましては、新設住宅着工戸数が持ち直しの傾向にあったほか、民間非居住建築物においても事務所や工場などを中心に回復の動きが見られました。他方、原材料価格の高騰をはじめ、物流費や建設労働者不足による人件費の上昇、さらにはコロナ禍の影響によって工事の遅延や延期を余儀なくされるなど、経営環境は依然として厳しい状況にありました。
こうした状況の中で当社グループは、最終年度を迎えた中期3ヵ年経営計画「SANYO VISION 73」の達成を目指し、“持続的な成長に向けたNEXT STAGEへの挑戦”をグループスローガンに、あらゆる戦略・施策にチャレンジしてまいりました。具体的には、現下の社会的課題である「安心・安全」「環境・省エネ」「耐震・防災」をキーワードとした新製品開発に注力するとともに、川上戦略である設計指定活動の強化や成長戦略商品の拡販及び製造コストの抑制と内製化の推進にグループの総力を挙げて取り組んでまいりました。また、CSR活動の一環として、ESG対応やSDGsへの取組み、人材の育成・確保及びITの有効活用など、持続的な成長に向けた経営基盤の強化にも全力を傾注してまいりました。
なお、新製品の開発状況としましては、既に全国の劇場や音響ホール、商業施設、学校講堂などに納入実績のある準構造化天井下地「SZG」のバリエーションとして、複雑な天井への施工性を向上させた新製品「SZGJ」を発売いたしました。そして、地震対策用天井として質量2㎏/㎡以下のプール天井「SZプール天井TMX」に意匠性・施工性を向上させた「SZプール天井 TMXⅡ」を順次開発し、SZシーリングシリーズの充実を図ってまいりました。また、倉庫業法における強度基準2500N/㎡及び石膏ボードメーカー取得の耐火認定に対応可能な建築用鋼製壁下地「High SICS 2500TWS」を開発し、市場投入を図りました。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、工事の遅延や延期など長引くコロナ禍の影響を受け、全体の売上高は24,533百万円(前期比4.5%減)となりました。また、利益面におきましては、コストアップへの対応や販管費の削減に注力してまいりましたが、売上高の低下に伴う売上総利益の減少分を補えず営業利益は866百万円(前期比34.2%減)、経常利益においては1,084百万円(前期比29.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は735百万円(前期比28.4%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
ア 三洋工業
主力製品群である軽量壁天井下地につきましては、新設住宅着工戸数が持ち直し傾向にあることに加え、ビ
ル及び商業施設用の一般製品においても受注量が増大したことなどから、軽量壁天井下地全体の売上高は増加い
たしました。
また、床システムにつきましては、主力製品である学校体育館などスポーツ施設用の鋼製床下地材製品をはじめ、再生木材を使用したデッキシステム、エコマーク商品の置敷式OAフロアが堅調に推移しましたが、マンシ ョンなど集合住宅用の遮音二重床製品やその他床関連製品等が落ち込んだことなどから、床システム全体の売上高は減少いたしました。
アルミ建材につきましては、主力製品であるエキスパンション・ジョイントカバーや、手摺が伸長しましたが、アルミ笠木やスパンドレルなどが伸び悩んだことなどから、アルミ建材全体の売上高は減少いたしました。
この結果、売上高は19,792百万円(前期比3.1%減)、セグメント利益は643百万円(前期比33.1%減)となりました。
イ システム子会社
当社の子会社であるシステム会社(株式会社三洋工業九州システムほか)におきましては、主力製品である鋼製床下地材製品を中心に設計指定活動や提案営業に積極的に取り組んでまいりましたが、コロナ禍の影響によって工事の遅延や見直し等があったことなどから、システム子会社全体の売上高は5,408百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益は45百万円(前期比61.6%減)となりました。
ウ その他
その他につきましては、売上高802百万円(前期比3.1%増)、セグメント利益48百万円(前期比55.0%増)となりました。
財政状態の状況については、次のとおりであります。
ア.資産・負債の状況
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び預金、電子記録債権が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,006百万円増加し、26,239百万円となりました。
負債につきましては、主に未払消費税等や未払法人税等が減少した一方、電子記録債務が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ396百万円増加し、9,096百万円となりました。
イ.純資産の状況
当連結会計年度末の純資産は、主に配当金の支出があったものの、収益認識会計基準の適用により利益剰余金の期首残高が増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ609百万円増加し、純資産合計は17,143百万円となりました。この結果、自己資本比率は65.3%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、6,445百万円となり、前連結会 計年度末に比べ698百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,292百万円(前連結会計年度は1,467百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,083百万円、減価償却費452百万円、棚卸資産の増加額467百万円、
仕入債務の増加額991百万円、法人税等の支払額436百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は315百万円(前連結会計年度は231百万円の使用)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出211百万円、無形固定資産の取得による支出102百万円などによ
るものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は278百万円(前連結会計年度は243百万円の使用)となりました。
これは、主に配当金の支払額255百万円などによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社は、運転資金及び設備投資資金につきまして、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等からの借入金により資金調達をしております。資金計画につきましては基本的に営業活動により得られた資金を有効活用し有利子負債の削減を図ることとしております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、システム子会社につきましては、三洋工業より購入した製品の販売を行っており、生産は行っておりません。
(注) 金額は実際原価によっております。
当社グループは受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 販売実績の100分の10を超える主要な販売先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び経営成績に重要な影響を与える要因
2021年度における当社グループの経営環境は、長期化するコロナ禍の影響に加え、原材料価格の高騰や物流費及び建設労働者不足による人件費の上昇等も相まって、厳しい状況で推移いたしました。こうした状況の中で当社グループは、最終年度を迎えた中期3ヵ年経営計画「SANYO VISION 73」の達成に向け、基本経営戦略である「社会動向や市場ニーズを捉えた価値創造による収益性の向上」「戦略的コストダウンと品質確保による内製化の推進」「持続的な成長に向けた経営基盤の強化」及び「グループ企業の連携による収益力の強化」に全力で取り組み、収益性の改革にチャレンジしてまいりました。具体的には、「安心・安全」「環境・省エネ」「耐震・防災」といった社会的な課題をテーマとした新製品開発に注力するとともに、成長戦略商品の販売強化と製造コストの抑制及び内製化の推進等にグループの総力を傾注してまいりました。また、ESG対応やSDGsへの取組み、人材の育成・確保及びITの有効活用など、持続的な成長に向けた経営基盤の強化にも積極的に取り組んでまいりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、長引くコロナ禍の影響によって工事の遅延や見直し等の影響を受け、売上高は前期比1,157百万円減の24,533百万円(前期比4.5%減)となりました。また、利益面においては、原材料価格等の高騰によるコストアップへの対応や販管費の削減に注力してまいりましたが、売上高の低下に伴う売上総利益の減少分をカバーすることができず、営業利益は前期比449百万円減の866百万円(前期比34.2%減)、経常利益においては前期比456百万円減の1,084百万円(前期比29.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比291百万円減の735百万円(前期比28.4%減)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、土木を除く建設投資額の多寡、原材料価格の動向、市場ニーズの変化、同業他社との競争、法改正や各種補助金の有無、自然災害の発生、その他、新型コロナウイルスなど各種感染症の拡大による影響などが挙げられます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、固定資産の能力増強及び合理化などによる購入費用のほか、仕入商品や製造経費、また販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入等を基本としており、設備投資や長期運転資金の調
達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は999百万円、現金及び現
金同等物の残高は6,445百万円となっております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
ア.三洋工業
財政状態におきましては、自己資本比率が50%を超えていることから、健全な財務体質であると認識しておりますが、企業維持への財務体質の構築を念頭に置きつつ、内部留保が経営資本等に有効活用されるよう随時検討し、収益性の向上が図れる持続可能な経営体質を目指してまいります。
なお、経営成績につきましては、コロナ禍の影響によって、三つの主力製品群のうち、床システムとアルミ建材が低調であったことなどから、売上高は前期比634百万円減の19,792百万円(前期比3.1%減)となりました。また、セグメント利益においては、コスト抑制や販管費等の削減に努めたものの、前期比317百万円減の643百万円(前期比33.1%減)となりました。
イ.システム子会社
財政状態におきましては、資金の確保及び安全性等の観点から、財務体質に特段問題はないものと認識しておりますが、必要に応じて適切な設備投資を行い、設計指定活動の更なる強化と人材育成等を通じて、業績の回復に努めてまいります。
なお、経営成績につきましては、主力製品である鋼製床下地材製品を中心に設計指定活動や提案営業に積極的に取り組んでまいりましたが、コロナ禍を背景に工事の遅延や見直し等の影響を受けたことによって、システム子会社全体の売上高は前期比571百万円減の5,408百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益は前期比72百万円減の45百万円(前期比61.6%減)となりました。
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