当連結会計年度(以下、「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
当期末の流動資産は、前連結会計年度(以下、「前期」という。)末に比べ埼玉県熊谷市に保有していた土地の売却による減少があった一方、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権の増加、棚卸資産の増加などから、860億8百万円(前期末比202億16百万円増)となりました。
現金及び現金同等物の増加は、当期末にかけて売上債権の回収が進んだことや設備投資に伴う借入金の増加などによるものであります。営業債権及びその他の債権の増加は、主に中国セグメントにおいて前期末に比べ当期末にかけて主力得意先の生産が増加したことに起因しております。
当期末の非流動資産は、前期末に比べ有形固定資産や持分法で会計処理されている投資が増加したことなどから、1,079億71百万円(前期末比97億87百万円増)となりました。
有形固定資産の増加は、日本において九州に新工場を設置したこと、中国セグメントにおいて生産能力拡大を目的とした設備投資を積極的に行ったことなどによるものであります。
当期末の負債合計は、生産変動等に起因して営業債務が増加したこと、また子会社への増資や日本及び中国セグメントでの設備投資等に伴い借入金が増加したことにより、1,183億73百万円(前期末比267億24百万円増)となりました。
当期末の資本合計は、利益剰余金の減少がありましたが、為替相場の円安によるその他の資本の構成要素が良化したことなどにより、756億6百万円(前期末比32億80百万円増)となりました。
当社グループはIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、セグメント情報に財政状態を記載しておりませんので、該当事項はございません。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済は欧米を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進み防疫と経済活動が両立され、段階的な正常化が見られた一方、新興国においては新たな変異株により感染が再拡大したことで経済活動が抑制されるなど、依然として国や地域ごとに景気回復の度合いに差がみられました。また、年度末にかけてはロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の上昇や円安の急激な進行が見られたほか、足元では中国における強硬なゼロコロナ政策による経済活動の下振れが懸念されるなど、世界経済の先行きはなお見通しにくい状況が続いております。
自動車業界においても、新型コロナウイルス感染拡大や世界的な半導体不足等による供給制限が続き、各完成車メーカーが減産を強いられ、生産の完全回復には時間を要する状況にあります。また、ロシアに対する各国による経済制裁や規制が自動車市場に与える影響についても、予断を許さない状況にあります。
このような環境下、当社グループは、第6次中期事業計画の経営方針である「H-oneグループ全員のホスピタリティと「Think Value」で価値ある商品・サービスを追求し、すべてのステークホルダーの期待と喜びにつなげる」に沿って、これまでに培った技術力やグローバル展開を活かし、取引先開拓をはじめとする受注拡大に努めてまいりました。
当連結会計年度における主な実績といたしまして、2021年11月に大分県豊後高田市において豊後高田工場が稼働を開始し、国内有数の自動車産業集積地域である九州での事業拡大を図り、海外事業においては中国広東省肇慶市に肇慶愛機汽車配件有限公司を2022年1月に設立し、得意先である中国新興 EV メーカーとの取引を拡大させるなど積極的な事業展開を進めてまいりました。
そのような中での当連結会計年度の経営成績は、主力得意先向けの自動車フレームの生産台数が前期に比べて約10.4%減少したものの、為替相場が前年同期に比べ円安水準にあったことなどにより売上収益は1,705億88百万円(前期比4.1%増)となりました。利益面では、労務費をはじめとした製造コストの増加により、売上総利益は137億25百万円(同18.2%減)となり、その他の費用において北米セグメントで減損損失(40億68百万円)を計上したことから、営業損失は40億46百万円(前期は営業利益37億32百万円)となりました。また、支払利息の減少とともに為替差益が生じたことによる金融損益の改善、持分法による投資利益の改善などがありましたが、税引前損失は37億14百万円(前期は税引前利益34億23百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は13億90百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期利益28億38百万円)となりました。
主力得意先向けの自動車フレームの生産が前期に比べて減少したとともに、試作売上や金型取引が減少したことを主因に売上収益は432億86百万円(前期比3.9%減)となりましたが、埼玉県熊谷市に保有していた土地の売却益や受取配当金の増加、為替差益が増加したことなどから税引前利益は28億92百万円(同1.8%増)となりました。
円安効果はあったものの、主力得意先向けの自動車フレームの生産量が半導体調達の問題などにより前期に比べて減少したことなどから、売上収益は576億42百万円(前期比0.8%減)となりました。売上収益の減少に加え、労務費をはじめとする製造原価の増加や減損損失を計上したことにより、税引前損失は83億22百万円(前期は税引前損失21億35百万円)となりました。
主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期に比べて減少しましたが、為替水準が円安に推移したことなどから売上収益は563億66百万円(前期比4.5%増)となりました。税引前利益は、生産機種ミックスの変動や競争激化による利益幅の減少などにより税引前利益は32億84百万円(同46.8%減)となりました。
なお、第4四半期連結会計期間から肇慶愛機汽車配件有限公司を連結子会社に含めております。
円安効果に加え、主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前年比増加したことなどから、売上収益は226億79百万円(前期比51.8%増)、税引前利益は2億15百万円(前期は税引前損失20億14百万円)となりました。
アジア・大洋州セグメントは、3ヶ国(タイ、インド、インドネシア)の連結子会社と持分法適用会社1社で構成されておりますが、主力得意先向けの自動車フレームの生産量が各国とも通期で前期を上回り、黒字化となりました。
当社グループでは、従来より利益指標としては税引前利益を重視しており、第6次中期事業計画(2020年4月~2023年3月)における目標とする経営指標(KPI)として、以下のとおり連結会計年度毎の売上収益税引前利益率目標を定めております。
2021年3月期 売上収益税引前利益率 ― %
2022年3月期 売上収益税引前利益率 4.0%
2023年3月期 売上収益税引前利益率 5.0%
2022年3月期の実績につきましては、前記「a.事業全体の状況」のとおり売上収益税引前利益率は△2.2%(前期比4.3ポイント減)となりました。
当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり経営戦略の推進及び課題への対処を通じて、第6次中期事業計画において売上収益税引前利益率の達成に鋭意取り組んでまいります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税引前損失の計上、営業債権及びその他の債権の増加、棚卸資産の増加、有形固定資産の取得による支出などによる資金の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費、営業債務の増加、長期借入れによる収入の増加などによる資金の増加要因によって71億88百万円(前期比35億92百万円増)となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前期に比べて88億63百万円(60.8%)減少の57億13百万円となりました。これは主に税引前損失の計上や棚卸資産が増加したことなどによるものであります。
投資活動の結果支出した資金は、前期に比べて70億53百万円(57.7%)増加の192億69百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
財務活動の結果稼得した資金は、148億89百万円(前期は116億46百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金と長期借入れによる収入の増加によるものであります。
当期のフリー・キャッシュ・フローは135億55百万円のマイナスとなりました。当期は税引前損失の計上や棚卸資産が増加したことに加え、積極的な将来投資を行ったことによるものであります。財務活動では設備投資に伴う借入金が増加し、148億89百万円の資金を稼得した結果、当期末の現金及び現金同等物は前期に比べて35億92百万円(99.9%)増加の71億88百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、上記「(4)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
翌連結会計年度は、生産関連設備の更新など一定の設備投資(後記 「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください)を予定しております。これに加えて、引き続き、新型コロナウイルスに伴う不測の事態への備えも考慮しながら、必要に応じて借入金による資金調達を行い、十分な手元流動性を確保してまいります。
(キャッシュ・フローに関する補足情報)
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