(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施により厳しい状況が続くなか、ワクチン接種の普及などにより緩やかながらも回復に向けた動きが見られるようになりました。しかしながら、新たな変異株の発生による感染再拡大リスクや原材料価格の上昇、原油価格の高騰などにより先行き不透明な状況で推移いたしました。また、世界経済につきましても、同様に変異株による一部の地域での感染再拡大や、ロシアのウクライナ侵攻により、先行きの不透明感は一層高まることとなりました。
このような状況のなか、金属製品事業につきましては、販売拡大、ブランドイメージ及び認知度向上を目指した取り組みに注力しながら、販売では、顧客ニーズ把握の効率化を目指したマーケティングオートメーション活用や、より訴求力を高めるホームページ制作に取り組んでまいりました。また、製品開発においては、製販一体となり、あらゆる産業の様々な環境を想定したユーザー目線に立ち、より一層の作業効率向上を目指し、既存製品のラインナップ拡充も含めた新製品の開発に注力してまいりました。さらには、生産設備更新による生産効率向上、コストダウンの取り組みなど、収益の安定化に取り組んでまいりました。
一方、環境関連事業につきましては、依然として厳しい事業環境が継続するなか、制度改正等による事業環境の変化を見据えた商材の充実などにも注力し、収益確保に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比8.9%増の7,957百万円(前連結会計年度は、7,305百万円)となりました。また利益面につきましては、効率的な事業活動に取り組み、利益確保に努めましたが、売上高の増加により、営業利益は前連結会計年度比23.5%増の691百万円(前連結会計年度は、559百万円)、経常利益は前連結会計年度比25.6%増の610百万円(前連結会計年度は、486百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比28.4%増の414百万円(前連結会計年度は、322百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
〔金属製品事業〕
多彩な製品群により、幅広い産業で使用される当社製品において、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続くなか、国内販売において、作業工具の分野では、豊富なラインナップとユーザー目線で付加された自動調整機構を備えたプライヤなどの新製品発売によりレンチ類の売上が順調に推移いたしました。産業機器の分野では、早送り機能を追加した治具パーツ類など、機械加工において作業効率に優れた治工具類の売上が順調に推移いたしました。
海外市場では、当社の主要市場である韓国やワクチン接種が進んだ地域などにおいて景気に持ち直しの動きがみられたものの、新たな変異株による一部の地域での感染再拡大やウクライナ情勢等により先行き不透明な状況が続くなかで、韓国では現地法人の強みを活かした営業活動に取り組み、その他の地域においても安全性と日本企業の製品であることをアピールポイントとしながら、吊クランプ類の積極的なプロモーション展開や、顧客との緊密なコミュニケーションにより信頼関係を構築しながら粘り強い営業活動に取り組んだ結果、海外において売上は堅調に推移いたしました。
これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比12.2%増の5,192百万円(前連結会計年度は、4,628百万円)、セグメント利益は前連結会計年度比12.7%増の972百万円(前連結会計年度は、863百万円)となりました。
〔環境関連事業〕
固定価格買取制度(FIT)から新たな制度であるフィードインプレミアム(FIP)への改正等による事業環境の変化はあるものの、制度改正等による厳しい事業環境のなか、より筋肉質な事業体制を構築すべく、太陽光発電事業のノウハウを活かしたフィービジネス推進を図るとともに、太陽光発電所の施工や関連機器の販売に取り組みました。 また、発電所事業の仕掛案件の進捗もあり、売上高、利益ともに前年を上回りました。なお、売電部門では、大阪府南河内郡河南町及び柏原市に設置しています3ヵ所の発電所が順調に稼働しており、収益の安定化に寄与しています。
これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比3.3%増の2,765百万円(前連結会計年度は、2,676百万円)、セグメント利益は前連結会計年度比2.2%増の94百万円(前連結会計年度は、92百万円)となりました。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度比17.1%減の12,311百万円(前連結会計年度は、14,852百万円)、となり前連結会計年度末に比べ2,541百万円減少しました。
この主な要因は、流動資産では、受取手形及び売掛金の減少723百万円、商品及び製品の減少569百万円、前渡金の減少547百万円、未収入金の減少493百万円、現金及び預金の減少463百万円、仕掛品の増加248百万円、固定資産では、建物及び構築物の減少31百万円等であります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度比49.7%減の2,823百万円(前連結会計年度は、5,613百万円)となり前連結会計年度末に比べ2,789百万円減少しました。
この主な要因は、流動負債では、短期借入金の減少1,520百万円、支払手形及び買掛金の減少685百万円、未払金の減少603百万円、未払法人税等の増加54百万円等であり、固定負債では、長期借入金の減少99百万円等であります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度比2.7%増の9,487百万円(前連結会計年度は、9,238百万円)となり前連結会計年度末に比べ248百万円増加しました。
この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加414百万円、配当金の支払いによる減少122百万円、自己株式の増加26百万円、その他有価証券評価差額金の減少14百万円等であります。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,555 |
△414 |
1,969 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△217 |
△497 |
280 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,809 |
1,545 |
△3,355 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
2,116 |
1,478 |
637 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,652 |
2,116 |
△463 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,652百万円となりました。当連結
会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、仕入債務の減少685百万円、法人税等の支払額179百万円等により資金の減少がありました
が、売上債権の減少723百万円、税金等調整前当期純利益609百万円、前渡金の減少547百万円、未収入金の減少493
百万円等により1,555百万円資金が増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、有形固定資産の取得による支出202百万円及び無形固定資産の取得による支出13百万円等
により、217百万円資金が減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、短期借入金の減少1,520百万円、配当金の支払額122百万円、長期借入金の返済による支出
114百万円等により1,809百万円資金が減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
金属製品事業 |
4,736,334 |
6.5 |
環境関連事業 |
- |
- |
合計 |
4,736,334 |
6.5 |
(注)1 金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 環境関連事業における生産はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
金属製品事業 |
227,749 |
△0.3 |
環境関連事業 |
2,184,106 |
+25.7 |
合計 |
2,411,855 |
+22.7 |
(注)1 各セグメントの金額にはセグメント間取引を含んでおります。
2 金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載は行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
金属製品事業 |
5,192,252 |
12.2 |
環境関連事業 |
2,765,213 |
3.3 |
合計 |
7,957,465 |
8.9 |
(注)1 各セグメントの金額にはセグメント間取引を含んでおります。
2 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
トラスコ中山㈱ |
1,291,522 |
17.7 |
1,394,020 |
17.5 |
㈱山善 |
937,252 |
12.8 |
1,010,465 |
12.7 |
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は7,957百万円(前年同期比8.9%増)となりました。セグメント別の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当連結会計年度の売上総利益は1,939百万円(前年同期比3.5%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響などにより営業活動が制限された結果、販売が厳しい状況となり、売上総利益率は前連結会計年度より1.3ポイント下降し24.4%となりました。
当連結会計年度の営業利益は691百万円(前年同期比23.5%増)となりました。旅費交通費及び荷造発送費の減少等により販売費及び一般管理費が1,248百万円(前年同期比5.1%減)となりましたが、コロナ禍による売上低迷にともない、営業利益率は前連結会計年度より1.0ポイント上昇し8.7%となりました。
当連結会計年度の経常利益は610百万円(前年同期比25.6%増)となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、売上割引等により△80百万円(前年同期は△73百万円)となりました。
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は固定資産除売却損等により609百万円(前年同期比26.7%増)となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入費、その他の製造費用、販売費及び一般管理費、連結子会社が環境関連商品を仕入れるための購入費等の営業費用によるものであります。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、当社グループは、①売上高経常利益率9.2%以上、②ROE(自己資本利益率)・EPS(1株当たり当期純利益金額)・自己資本比率の向上を目標としております。
当連結会計年度におきましては、主に新型コロナウィルス感染拡大が経営成績に大きな影響をもたらしたことにより、売上高経常利益率、ROE及び自己資本比率は前期と比較して減少致しました。
全ての指標について目標を達成するため、さらなる企業価値向上に努めてまいります。
(参考)売上高経常利益率、ROE(自己資本利益率)・EPS(1株当たり当期純利益金額)・自己資本比率の状況
(連結) |
売上高経常利益率 |
ROE (自己資本利益率) |
EPS (1株当たり当期純利益金額) |
自己資本比率 |
2021年3月期 |
6.7% |
3.5% |
158.15円 |
62.2% |
2022年3月期 |
7.7% |
4.4% |
203.92円 |
77.1% |
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