課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

<社是>

技術を大切に 人を大切に 地球を大切に

<経営理念>

世の中が必要とするもの、世の中に価値があると認められるものを生み出すことで、社会に貢献し、企業としての価値を高め、長期的な発展と、すべてのステークホルダーの満足を目指す。

<長期ビジョン>

ESG経営の推進によりお客様や社会とともに持続的に成長し、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続け、2030年に経常利益200億円を目指す。

 

① 経営理念

当社の創業者である田熊常吉は、1912年の「タクマ式汽罐(ボイラ)」発明により国内産業の発展に大きく貢献しました。1938年にはボイラを通じて社会へ貢献するという「汽罐報国」の精神を掲げ当社を創業。以来、当社グループは、この精神を継承し、あらゆる種類のボイラを手がけるとともに、ボイラで培った技術を活かして廃棄物処理プラントや水処理プラントなどの環境衛生分野へ進出し、エネルギーの活用と環境保全の分野を中心に事業を広げ、社会の発展と課題の解決に貢献してまいりました。当社グループの経営理念はこの創業の精神にあり、事業活動を通じて社会の長期的、持続的な発展に貢献することが、当社グループの変わらぬ価値観です。

 

② 長期ビジョン(Vision2030)

グローバルでは気候変動問題の深刻化、また、新興国を中心に人口増加・都市化の急速な進展による衛生環境の悪化や、エネルギー需要の増加などが懸念されます。一方、国内においては人口減少・高齢化による内需の縮小、人材・担い手不足や財政の逼迫、インフラの老朽化などが懸念されており、将来に向けて持続可能な社会をいかに実現していくかが重要な課題です。このような中長期のトレンド・社会課題を踏まえ、当社グループは中長期の経営の指針として「長期ビジョン(Vision2030)」を策定しております。

当社グループは本ビジョンの下、事業活動を通じてお客様や社会の課題を解決することでESGに関する重要課題に取り組み持続的な成長を目指す、ESG経営を推進します。このESG経営の核となる事業活動の展開に際しては、当社グループの強みであるエネルギーの活用や環境保全に関する技術・ノウハウと、長期にわたるアフターサービス等を通じて培われたお客様との信頼関係を基に、「お客様の良きパートナー」となり、不屈の発明家精神を継承した当社グループの「イノベーション」によって生み出された有益な技術・サービスを通じて、再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にお客様や社会の課題を解決いたします。この事業活動を通じてESGに関する重要課題に取り組み、お客様や社会とともに持続的に成長することで、2030年に経常利益200億円を目指してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

第13次中期経営計画(2021~2023年度)

当社グループは、Vision 2030の実現に向けたファーストステップとして、2021年4月よりタクマグループ第13次中期経営計画(2021~2023年度)をスタートさせました。第13次中計では、前中計までに構築した経営基盤・事業基盤をベースに、さらなる成長への布石を打つことをテーマとしております。

[第13次中計の基本方針]

経営基盤の強化により、各事業において従来のビジネスの一層の強化を図ると同時に、将来の環境変化への対応を加速させる。これらの事業活動を通じてESG経営を推進し、お客様や社会とともに持続的な成長を目指す。

 


a. ESG経営の推進

当社グループは、第13次中計の策定にあたり、Vision 2030で掲げたESG経営の推進による「お客様や社会とともに持続的な成長」を実現していくため、様々なESG課題について、ステークホルダーにとっての重要度と、自社にとっての重要度の双方の観点から整理し、当社グループが優先的に取り組むべき7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。

 

<重要課題(マテリアリティ)>

Environment(環境)

気候変動対策への貢献

資源・環境保全

Social(社会)

お客様・地域との信頼関係の一層の強化

パートナーシップとイノベーションの推進

人材の活躍促進

安全と健康の確保

Governance(企業統治)

コーポレートガバナンスの強化

 

マテリアリティに対する具体的な取り組み・目標とその進捗については、CSR報告書等を通じて情報発信してまいります。

 

b. 経営基盤の強化

デジタル技術の急速な進展や2050年カーボンニュートラルなど、環境変化のスピードが加速するなか、それらの変化を先取りし、さらなる成長を実現していくため、人材、デジタル技術等への積極的な資源配分・投資により経営基盤の強化を図ります。この取り組みを通じて、従来のビジネスの一層の強化と将来の環境変化への対応を加速させていきます。

 

c. 数値目標

Vision 2030で掲げた2030年度の経常利益200億円に向けて、第13次中計はそのファーストステップとして着実な成長を目指すものとし、数値目標として、計画期間(3か年)累計の連結経常利益360億円を設定しております。

 

 

(3) 経営環境

自然災害の甚大化等、気候変動の影響が顕在化しつつあるなか、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーへの期待はますます高まっており、また、公共インフラの老朽化に伴う更新・延命化需要など、当社グループの主要事業領域においては、足元では引き続き堅調な需要が存在しております。一方、中長期的には人口減少・高齢化等の社会構造の変化に伴う需要の変化、行政サービスの外部化(民間活用)の進展による包括委託の増加や、地域課題解決に向けたニーズの高度化・多様化など、事業環境は大きく変化していくものと認識しております。

なお、足元のセグメント毎の事業環境は以下のとおりでありますが、新型コロナウイルス感染症の社会・経済への影響が今後拡大・深刻化した場合には、需要減退・発注延期に伴う新規受注の減少、受注済案件の納期延長に伴う売上の減少等の影響が生じる可能性があります。

 

[環境・エネルギー(国内)事業]

自治体向けのごみ処理プラント、下水処理プラント及び民間事業者向けのバイオマス発電プラント等の建設(EPC事業)並びにそれらのプラントのメンテナンス、運転管理、運営、新電力事業等のアフターサービスを主要な事業としております。

EPC事業は、環境規制等の法規制、自治体・民間事業者への助成政策など国の政策や、公共投資・民間設備投資の動向などの影響を受けやすく、中長期的に需要が大きく変動する傾向にあります。一方、メンテナンス等のアフターサービス事業は、プラントの稼働後20~30年間のライフサイクルにわたって安定した需要が見込まれます。

EPC事業は、足元では引き続き需要は旺盛で、ごみ処理プラントでは老朽化に伴う更新・延命化需要、下水処理では汚泥焼却プラントの更新における省エネ・創エネ型への転換需要、また、民間事業者向けでは電力の固定価格買取制度を活用したバイオマス発電プラントや廃プラスチック類を燃料とする発電プラントなどの需要が存在しており、当面は引き続き堅調に推移するものと見込んでおります。また、アフターサービス事業では、ごみ処理におけるプラント運営の包括委託の増加、下水道事業における包括委託へ向けた動き、民間事業者向け当社納入プラントの増加によるアフターサービス対象プラントの増加や運営委託ニーズなど、今後の需要拡大が期待されます。

 

[環境・エネルギー(海外)事業]

海外におけるバイオマス発電プラント、廃棄物発電プラントの建設及びメンテナンスを主要な事業とし、現地法人を有するタイ国並びに台湾を拠点に、東南アジアを中心に事業展開を進めております。

東南アジアでは豊富なバイオマス資源を背景に引き続きバイオマス発電プラントの需要が見込まれ、中長期的にも高い市場ポテンシャルを有しておりますが、主力のバガス燃焼プラントではインド、中国メーカーとの厳しい競争環境が継続しております。また、都市化の進展により廃棄物発電のニーズは高まっているものの、制度・基準の未整備や政府の資金不足などにより安定的な市場を形成するまでには至っておりません。

 

[民生熱エネルギー事業]

商業施設や工場などの熱源装置として利用される小型貫流ボイラ、真空式温水機など、汎用ボイラの製造、販売、メンテナンスを主要な事業としております。

国内の汎用ボイラ市場は成熟市場であるものの、更新需要を中心に引き続き一定の需要が見込まれており、また、海外では東南アジアを中心に需要の拡大が見込まれております。

 

[設備・システム事業]

空調設備、給排水設備など建築設備の設計・施工と、クリーン機器、洗浄装置など半導体産業用設備の製造、販売、メンテナンスを主要な事業としております。

建築需要は一時的な落ち込みが見られるものの中長期的には堅調に推移すると見込まれており、また、半導体製造装置市場も短期的には変動しながらも中長期的には拡大が期待されます。

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