業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

① 業績

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、ワクチンの普及や政府による経済対策の効果により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きが続きました。しかしながら、変異株による感染リスクの再拡大やウクライナ危機の発生による市況価格の更なる高騰など、先行きは依然として不透明な状況であります。

当社は、“専門家をもっと身近に”を経営理念として、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」および税務相談ポータルサイト「税理士ドットコム」等を通じたインターネットメディアの運営、ならびにWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」をはじめとしたIT・ソリューションサービスの提供を行ってまいりました。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は6,877百万円前年同期比29.3%増)、営業利益1,139百万円前年同期比560.2%増)、経常利益1,149百万円前年同期比530.6%増)、当期純利益702百万円前年同期比986.1%増)となりました。

 

報告セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

(メディア事業)

メディア事業では、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」および税務相談ポータルサイト「税理士ドットコム」等を通じたインターネットメディアの運営を行っております。

「弁護士ドットコム」では、ユーザーに向けた有益なコンテンツの提供やユーザビリティの向上に注力するとともに、身近な話題を弁護士が法的観点から解説するオウンドメディア「弁護士ドットコムニュース」の記事配信による認知度向上に努めました。その結果、2022年3月における月間サイト訪問者数は1,064万人(前年同月比9.2%減)、当事業年度末時点の会員登録弁護士数が22,170人(前年同月比2.2%増)、そのうち、弁護士支援サービスの有料会員登録弁護士数が5,210人(前年同月比0.2%減)、「弁護士ドットコム」の有料会員サービスの有料会員数が181,188人(前年同月比9.8%増)となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は3,754百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は1,506百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

 

(IT・ソリューション事業)

IT・ソリューション事業では、Web完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」をはじめとしたIT・ソリューションサービスの提供を行っております。

「クラウドサイン」では、積極的な人材採用による開発体制・営業体制の強化および各種媒体への広告出稿等を通じて、ユーザビリティの向上、認知度の向上、および顧客基盤の拡大に努めました。その結果、当事業年度の契約送信件数は4,387,683件(前年同期比63.6%増)となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は3,123百万円(前年同期比84.2%増)、セグメント利益は532百万円(前年同期は324百万円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ218百万円増加し、当事業年度末は1,676百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得た資金は1,155百万円前事業年度は569百万円の収入)となりました。主な要因は、売上債権の増加額241百万円、未払金の減少額115百万円、および法人税等の支払額52百万円があったものの、税引前当期純利益1,144百万円の計上、減価償却費217百万円の計上、および未払消費税等の増加額88百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は436百万円前事業年度は310百万円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出390百万円、敷金の差入による支出44百万円、および有形固定資産の取得による支出26百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は500百万円前事業年度は0百万円の収入)となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出501百万円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社の業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

b.受注実績

当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

メディア事業

3,754

3.6

IT・ソリューション事業

3,123

84.2

合計

6,877

29.3

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 財政状態の分析

当事業年度末の総資産は3,812百万円となり、前事業年度末と比較して709百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金、売掛金、およびソフトウエアが増加したこと等によるものであります。

(流動資産)

当事業年度末の流動資産は、2,897百万円となり、前事業年度末と比較して479百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が増加(前事業年度末比218百万円増加)および売掛金が増加(前事業年度末比241百万円増加)したこと等によるものであります。

(固定資産)

当事業年度末の固定資産は、914百万円となり、前事業年度末と比較して230百万円の増加となりました。これは主にソフトウエアが増加(前事業年度末比148百万円増加)および繰延税金資産が増加(前事業年度末比35百万円増加)したこと等によるものであります。

(流動負債)

当事業年度末の流動負債は、1,413百万円となり、前事業年度末と比較して507百万円の増加となりました。これは主に未払金が減少(前事業年度末比124百万円減少)、未払法人税等が増加(前事業年度末比438百万円増加)、および未払消費税等が増加(前事業年度末比87百万円増加)したこと等によるものであります。

(純資産)

当事業年度末の純資産は、2,398百万円となり、前事業年度末と比較して202百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が増加(前事業年度末比702百万円増加)および自己株式が増加(前事業年度末比500百万円増加)したこと等によるものであります。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

売上高は6,877百万円前年同期比29.3%増)となりました。これは主に、Web完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」の有料導入企業数および送信件数が順調に推移したこと等によるものであります。

(売上総利益)

売上原価は1,090百万円前年同期比34.6%増)となりました。これは主に、ソフトウエアの開発や制作に係る人件費や経費が増加した一方で、ソフトウエアの開発や制作の進行に伴いソフトウエア仮勘定への振替えを行ったこと等によるものであります。

この結果、売上総利益は5,787百万円前年同期比28.4%増)となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費は4,647百万円(前年同期比7.2%増)となりました。これは主に、従業員の増加に伴う人件費の増加および販売手数料の増加等によるものであります。

この結果、営業利益は1,139百万円前年同期比560.2%増)となりました。

(経常利益)

当事業年度の経常利益は、1,149百万円前年同期比530.6%増)となりました。

(当期純利益)

法人税等は、442百万円(前年同期比609.8%増)となりました。

この結果、当期純利益は702百万円前年同期比986.1%増)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費や外注費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、運転資金につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で対応しております。

なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,676百万円であります。

 

 キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

81.5

82.9

84.5

70.8

62.9

時価ベースの自己資本比率(%)

2,397.4

4,331.0

3,729.6

6,250.5

2,293.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

 

 自己資本比率:自己資本/総資産
 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
(注2)キャッシュ・フロー対有利子負債比率については、有利子負債が存在しないため、記載しておりません。
(注3)インタレスト・カバレッジ・レシオについては、利払いがないため、記載しておりません。
 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通り、事業環境、事業内容、事業運営体制、システムリスク、法的規制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手および分析を行い、現在および将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。

 

⑦ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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