業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、ワクチン接種の促進など新型コロナウイルス感染症拡大防止策が進むことにより、停止していた経済活動が徐々に再開され、持ち直しの動きも期待されましたが、オミクロン株の感染拡大に加え、家計所得の伸び悩みや生活必需品の物価上昇等も加わり、個人消費を取り巻く環境は厳しい状況が続き、先行きは依然として不透明な状況にあります。

 このような状況下、当社グループにおいては、一部の事業部門において在宅勤務を引き続き実施し、事態の長期化に備えつつ、当社社員が顧客先に常駐し、技術ソリューションを提供する「デジタル人材事業」、ゲーム・各種システム開発などを請け負う「受託開発事業」、当社が保有するゲームタイトル等の使用許諾を行う「コンテンツプロパティ事業」を展開し、取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は7,231,671千円(前年同期比16.1%増)、営業利益は592,095千円(前年同期比15.8%減)、経常利益は714,087千円(前年同期比4.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は452,636千円(前年同期比7.9%減)となりました。

 

次に事業別状況について説明致します。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

(a)デジタル人材事業

 デジタル人材事業は、主にゲーム・スマートフォンアプリ・WEB・IT企業などに対し、プログラミング・グラフィック開発スキルを持った当社社員(クリエイター&エンジニア)が直接顧客企業に常駐し、派遣契約または請負契約にて開発業務を行っております。

 当連結会計年度においては、2021年8月より開始したテレビCM、動画広告などの販促効果が寄与し、新規及び既存案件における受注が好調に推移いたしました。なお、稼働プロジェクト数は7,197(前年同期稼働プロジェクト数は5,951)となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は4,822,613千円(前年同期比23.9%増)、セグメント利益は752,554千円(前年同期比9.8%減)となりました。

 

(b)受託開発事業

 受託開発事業は、主にデジタル人材事業を通じて顧客から持ち込まれるスマートフォンアプリ開発案件、クラウドプラットフォーム構築、CRM(Customer Relationship Management)構築~導入~運用など、案件を持ち帰り形式にて受託し、納品するサービスを提供しております。案件種別としては、「新規」「保守」「保守開発」「EPARK事業」の4つに大別されます。

 子会社の株式会社EPARKテクノロジーズ、株式会社エクスラボ及びEXTREME VIETNAM Co.,Ltd.についても当該事業に含まれます。

 当連結会計年度においては、EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.において新規案件受注が想定通り進捗しなかった影響により、セグメント損失が発生いたしました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は2,565,995千円(前年同期比14.1%増)、セグメント損失は52,519千円(前連結会計年度はセグメント損失121,493千円)となりました。

 

(c)コンテンツプロパティ事業

 コンテンツプロパティ事業は、当社が保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用し、様々な事業展開を行うセグメントであり、具体的には、ゲーム運営のほかに、当社が保有するゲームタイトルまたはキャラクターなどを様々な商材へ使用許諾を行うライセンス事業が含まれております。

 当連結会計年度においては、当社がライセンス許諾したスマートフォン版ゲームアプリ『ラングリッサー』の運営により、ライセンス許諾先である香港紫龍互娯有限公司及び上海紫舜信息技術有限公司を通じてゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益が発生いたしました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は491,919千円(前年同期比14.7%減)、セグメント利益は439,517千円(前年同期比15.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末と比べ64,949千円減少し、1,731,399千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果獲得した資金は449,690千円(前連結会計年度は846,027千円の収入)となりました。これは、主に売上債権149,407千円の増加、法人税等の支払額290,443千円などがあったものの、未払金の増加113,525千円、税金等調整前当期純利益653,430千円などにより資金獲得したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は316,787千円(前連結会計年度は358,092千円の支出)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入310,032千円があったものの、関係会社株式の取得による支出130,000千円、投資有価証券の取得による支出444,105千円及び無形固定資産の取得による支出39,376千円などにより資金使用したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は243,570千円(前連結会計年度は313,310千円の支出)となりました。これは、主に短期借入金の返済100,000千円、配当金の支払額98,097千円などにより資金使用したことによるものであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、業務委託にかかる外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、事務管理系ソフトウェアにかかる無形固定資産の取得によるものであります。

当社グループは、運転資金及び設備資金については、自己資金を基本としております。また、金融上のリスクに対応するため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結することで手許流動性を確保しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当社グループで行う各事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(b)受注実績

当社グループの受注は、デジタル人材事業及び受託開発事業におけるものでありますが、当該事業では、その形態から受注金額と販売金額がほぼ同等となるため、記載を省略しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デジタル人材事業

4,187,047

22.4%

受託開発事業

2,552,703

14.3%

コンテンツプロパティ事業

491,919

△14.7%

合計

7,231,671

16.1%

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

   至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社アイフラッグ

841,408

11.6

株式会社EPARK

コンサルティング

759,344

12.2

140,585

1.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。

 

① 会計上の見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性の存在により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、5,030,716千円となり、前連結会計年度比282,860千円の増加(前連結会計年度比6.0%増)となりました。これは主に、現金及び預金が107,168千円、のれんが70,499千円それぞれ減少した一方、売掛金が149,407千円、投資有価証券が160,901千円及び関係会社株式135,486千円が増加したことによるものです。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、1,206,687千円となり、前連結会計年度比125,051千円の減少(前連結会計年度比9.4%減)となりました。これは主に、短期借入金100,000千円、1年以内償還予定の社債18,000千円及び長期借入金28,560千円、並びに、未払法人税等95,073千円がそれぞれ減少した一方、未払金が113,247千円増加したことによるものです。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、3,824,028千円となり、前連結会計年度比407,912千円の増加(前連結会計年度比11.9%増)となりました。これは主に、配当による支払98,097千円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が354,426千円増加したことによるものです。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は7,231,671千円(前年同期比16.1%増)となり、前連結会計年度に比べて1,000,998千円増加いたしました。セグメント別の経営成績についての分析は以下の通りであります。

 

(デジタル人材事業)

主力事業であるデジタル人材事業における売上高は、前年同期比23.9%の増加となりました。

年間プロジェクト稼働数は、7,197となり、前年度実績5,951から1,246増加いたしました。稼働単価については、2022年3月度実績において672千円となり、前年度3月度実績668千円から4千円の増加となりました。

当事業における重要業績評価指標は、「クリエイター&エンジニア社員数」「稼働単価」「稼働率」であります。当連結会計年度における「クリエイター&エンジニア社員数」は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一巡し、採用活動を本格的に再開したこと、テレビCM投下による企業知名度の向上効果などから、一定程度の期中採用を確保できました。また、2021年8月よりサービスを開始した「エクストリームフリーランス」によるフリーランス人材の獲得、協力会社による要員調達プロジェクトの増加といった要素が、当セグメントにおけるプロジェクト稼働数増加へ貢献いたしました。「稼働単価」については、前事業年度に引き続き上昇いたしました。これは、通年取り組んだ不採算プロジェクトの終了、各クリエイター&エンジニアの能力・経験等に合致した最適な顧客提案等の施策を実施したことによります。また、顧客要望によるテレワークの実施に伴い、社員へ支給する通勤手当(数万円)をテレワーク手当(数千円)に変更したことから、1プロジェクト当たりの利益率が副次的に上昇しました。一方、テレビCM投下による広告宣伝費の増加、協力会社による要員調達プロジェクトの増加によって、セグメント全体の利益率は低下致しました。

「稼働率」については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一巡し、前期において発生した一部クリエイター&エンジニアの非稼働(休業)がなくなり、休職などの特段の事情を除き、稼働率は100%となりました。

本事業は創業来順調に成長してきた事業セグメントであり、デジタルクリエイターカンパニーとして、技術者が集結するクラスター集団化を推し進めつつ、デジタルクリエイターという新しい職能ポジションの確立を実現し、様々な企業に当社のソリューションを提供し、唯一無二の人材サービスを提供することを引き続き目指してまいります。

 

(受託開発事業)

受託開発事業における売上高は、前年同期比14.1%の増加となりました。

当社受託開発部門、株式会社EPARKテクノロジーズ、株式会社エクスラボ、EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.からなる当該事業は、株式会社EPARKテクノロジーズの売上高が一定の貢献をいたしました。当社受託開発部門においては、保守案件を中心にゲーム系顧客からの新規・追加開発案件を受注しました。株式会社エクスラボについては、設立3期目となり、顧客基盤が徐々に安定してきたこともあり、一定の営業利益を確保できました。EXTREME VIETNAM Co.,Ltd.については、新型コロナウイルス感染症の影響による日本からの新規案件の受注が停滞したことにより、現地の稼働率が低下し、赤字を計上することになりました。

売上高が増加となった要因は、株式会社EPARKテクノロジーズの主要顧客であるEPARKグループ各社からの受注が順調に推移したことによるものです。特に、会員プラットフォームシステムの刷新など、株式会社EPARKテクノロジーズが得意とする開発分野における案件受注がコンスタントに受注できたことが売上高増加の要因となりました。

当社といたしましては、デジタル人材事業を基盤事業としながら、人材派遣に留まらない開発案件については、当社受託開発部門または株式会社エクスラボを活用し、開発案件に関する幅広なソリューション提供を行うことで売上高及びグループ全体の利益向上につながるものとして、今後も注力していきたいと考えております。株式会社EPARKテクノロジーズについては、現在においては受注の大部分がEPARK関連の業務となっておりますが、大規模システムの構築、運用、保守において必要となる高い開発レベルを強みに、今後はEPARK以外の開発案件の受託を実現することで、当該事業は更なる成長を実現することができると考えております。

 

(コンテンツプロパティ事業)

コンテンツプロパティ事業における売上高は、前年同期比14.7%の減少となりました。

当社がライセンス許諾したスマートフォン版ゲームアプリ『ラングリッサー』の運営により、ライセンス許諾先である香港紫龍互娯有限公司及び上海紫舜信息技術有限公司を通じてゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益が発生いたしました。配信地域は、東アジア(日本・中国・韓国・香港・台湾・マカオ)、東南アジア(タイ・シンガポール・インドネシア・マレーシア)、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)、欧米諸国(アメリカ・カナダ・EU加盟国)、トルコ、ロシアなどグローバルな配信網に成長しております。

当事業年度においては、中国・台湾・日本・韓国などのサービス主要地域においてサービス開始からおよそ3年が経過し、ロイヤルティ収益が対前期比で減少となりました。

当社といたしましては、ライセンス許諾というビジネスモデルであるため、ライセンス許諾先の事業運営状況等の変化、サービス提供地域における各種法規制の改廃等などの事象発生に留意しつつ、ライセンス許諾先との連携を強め、事業運営に係る各種協力、他社知的財産とのコラボレーション等などの販売促進へ繋がる施策取り組みなどへの協力、広報活動の強化などにより、収益の継続化に引き続き努めていきたいと考えております。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、5,353,308千円となりました。主な内訳は、給料手当1,696,306千円、支払手数料520,904千円及び外注加工費2,410,747千円であります。

この結果、売上総利益は1,878,363千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、1,286,267千円となりました。主な内訳は、役員報酬98,286千円、給料手当325,299千円及び地代家賃96,512千円であります。

この結果、営業利益は592,095千円となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は、127,651千円となりました。主な内訳は、為替差益53,988千円、有価証券利息44,480千円であります。営業外費用は、5,658千円となりました。主な内訳は、支払利息1,666千円であります。

この結果、経常利益は714,087千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は182,791千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は452,636千円となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは事業活動のための適切な資金を確保し、資金の流動性を確保するとともに、健全な財政状態を目指すための安定的な営業キャッシュ・フローの創出が資本財源の最優先事項として考えております。

当連結会計年度においては、営業活動により449,690千円の資金収入を得た一方で、投資活動による支出は316,787千円、財務活動による支出は243,570千円となりました。デジタル人材事業及びコンテンツプロパティ事業による安定的な営業キャッシュ・フローをベースに、投資支出として余剰資金を定期預金・投資有価証券等の取得などに充て、財務支出として長期借入金の返済などを行いました。

デジタル人材事業における堅実なビジネスモデル及びラングリッサー関連のロイヤルティ収益により、盤石なキャッシュポジションを確立しており、現預金、流動性の高い投資有価証券(高格付外債等)の保有残高は、当連結会計年度末時点において3,156,419千円と潤沢な状況にあると考えております。

このような状況を勘案し、現時点では新たな資金の調達を行う計画はありません。

 

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