(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴う新規感染者数の
減少や各種政策の効果等により、持ち直しの動きがみられたものの、新たな変異株の感染拡大が懸念され、依然と
して先行きは不透明な状況が続いております。
広告業界においては、株式会社電通が2022年2月に発表した「2021年日本の広告費」によると、2021年(1~12
月)の日本の総広告費は6兆7,998億円(前年比10.4%増)と新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和したこと
で、広告市場は大きく回復し、二桁成長となりました。その中でも、インターネット広告費が2兆7,052億円(同
21.4%増)と成長を続け、マスコミ四媒体広告費を超える結果となりました。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略
をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、デジタルサービスを中心に実効性の高いサービ
スの強化を進め、当社グループが有する既存顧客を中心に積極的に展開しました。
さらに、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をサポートする新しいサービス分野に
も積極的に取り組み、時代の先を見据えたサービスを提供すべく、2021年3月には、ディーエムソリューションズ
株式会社と合弁でパフォーマンスマーケティング事業を展開するPerformance Technologies株式会社を設立し、潜
在ニーズの掘り起こしから新規顧客獲得までを一気通貫で行う市場創造型のデジタルマーケティングを提供してお
ります。2021年4月には、サイバーセキュリティ事業を展開する株式会社サイバーセキュリティバンクにて、従業
員のセキュリティ意識向上を図るためのトレーニングサービス「情報漏えい防ぐくん」の提供を開始しておりま
す。2021年5月には、広告業界のEコマースサイトをコンセプトに掲げた、モノを広める時に必要な手法を成功事
例から選べる新サービス「ヒロメル」の提供を開始しております。2021年9月には、タクシーサイネージ事業を展
開する株式会社ニューステクノロジーにて、喫煙所ブランド「THE TOBACCO」を運営するマーケティング会社の株
式会社コソドと共同で、新たに東京都内のオフィスビルと連携した喫煙所サイネージメディア「THE SMOKING ROOM
VISION BREAK」の提供を開始しております。2021年11月には、採用/就職活動の入口を動画で完結することによ
り、スピーディなマッチングを実現する採用プラットフォーム「JOBTV for新卒」のβ版提供を開始しておりま
す。2022年3月には、九州支社を開設し、九州エリアの企業へのPRサポートを強化しております。また、ライバ
ーマネジメント事業を展開する株式会社Liver Bankにて、SNS同時配信やデータ分析が簡単に行えるライブコマー
スツール「自社でライブコマースできるくん」の提供を開始しております。2022年4月には、インフルエンサーマ
ーケティング事業を展開する株式会社Starbankにて、月額利用契約でタレントの肖像素材が利用できるサブスクリ
プションサービス「TALENT BANK」の提供を開始しております。
また、当社グループが近年M&A等により取得した事業分野のうち株式会社あしたのチームが手掛けるHR事業につ
いては、事業体制の整備と最適化に取り組んだ効果が着実に表れ、第2四半期連結会計期間から継続して黒字化を
達成し、通期においても事業取得後初の黒字化として営業利益236百万円を確保し、当社グループの業績に大きく
貢献する要因となりました。
一方、投資活動においては、保有資産の効率化および財務体質の強化を図ることを目的に、当社グループの保有
株式を売却したことにより投資有価証券売却益を642百万円計上しましたが、新型コロナウイルスの影響を受けた
一部の投資先を中心に投資有価証券評価損を745百万円計上しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は47,351百万円(前年同期比27.0%増)、営業利益は5,248百万円(前年同
期比126.8%増)、経常利益は5,201百万円(前年同期比85.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,071百万
円(前年同期比325.4%増)となりました。
なお、当社グループがインベストメントベンチャー事業として行うベンチャー企業等への出資活動において、出
資先に対してPRおよびIRもあわせたサポートを提供し、その結果として、株式会社Waqooが2021年6月29日に、
BCC株式会社が2021年7月6日に、株式会社リベロおよび株式会社ROBOT PAYMENTが2021年9月28日に、株式会社ラ
ストワンマイルが2021年11月24日に、株式会社メンタルヘルステクノロジーズが2022年3月28日に、セカンドサイ
トアナリティカ株式会社が2022年4月4日に、いずれも東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、持分法適用会社でありました株式会社サイバーセキュリティバンクは、従来「HR事業」としておりましたが、報告セグメントの見直しを行い、「PR・広告事業」に変更しております。
・PR・広告事業
PR・広告事業においては、主にコンサルティングを基本とする戦略PRサービスの提供およびタクシーの車内
に設置するタブレットを活用したIoTサイネージサービスによる広告販売などを提供しております。断続的な緊急
事態宣言の発令により、企業のマーケティング活動が一部制限されるなど影響が出ておりましたが、前連結会計年
度から取り組んだオンラインを活用したPRイベントやSNSを活用したライブコマース支援などデジタル領域にお
ける新しいサービスを積極的に展開したこと等により、海外事業が新型コロナウイルスの影響を受け業績が落ち込
む中でも、国内事業が業績を力強く牽引し、過去最高の売上高を更新しました。
以上の結果、PR・広告事業における売上高は25,965百万円(前年同期比46.3%増)、営業利益は2,125百万円
(同83.3%増)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」を
はじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載しており、コロナ禍でも社会インフラとして
多くの企業に活用され、2022年2月には利用企業社数が65,000社を突破し、年度を通し売上高、営業利益ともに
高い成長を遂げました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は4,854百万円(前年同期比28.9%増)、営業利益は1,834
百万円(同40.9%増)となりました。
・ビデオリリース配信事業
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、前連結会計年度から取り組んでいた動画を活用して企業
のマーケティング課題を解決するコンサルティング型営業への転換の効果が表れ、新型コロナウイルスの影響を大
きく受ける中でも、第2四半期連結会計期間まで営業黒字を確保しておりましたが、断続的な緊急事態宣言の発令
により、営業活動が大きく制限され、見込み顧客の獲得件数が伸びなかったことから、第3四半期連結会計期間以
降は営業赤字となりました。その状況下の中でも今後の成長を見据え、2022年1月には、コロナ禍におけるコミュ
ニケーション手法の変化による課題に対応するため、顧客の営業活動をDX化する支援サービス「Sales Video Analytics」の提供を開始し、新規事業の創出に取り組みました。
以上の結果、ビデオリリース配信事業における売上高は1,361百万円(前年同期比1.7%増)、営業損失は72百万
円(前年同期は157百万円の営業損失)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業は、第3四半期連結会計期間に広告
宣伝費を積極的に投下した効果が表れ、当第4四半期連結会計期間は新規獲得顧客数が増加し、四半期連結会計期
間における過去最高の売上高を更新し、通期においても過去最高の売上高および営業利益を更新しました。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は12,326百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益
は774百万円(同8.1%増)となりました。
・メディア事業
株式会社スマートメディアが手掛けるメディア事業は、オウンドメディア構築サービスの販売が順調に推移しま
したが、今後の成長を見据えSaaS型CMSの機能拡充を図る先行投資を実施したことにより、営業赤字となりまし
た。
以上の結果、メディア事業における売上高は907百万円(前年同期比5.1%増)、営業損失は22百万円(前年同期
は103百万円の営業利益)となりました。
・HR事業
株式会社あしたのチームが手掛けるHR事業は、前連結会計年度に生じた会計処理問題の再発防止策として、「ク
ラウドシステムの無期限使用権」の販売を終了したことにより、前連結会計年度と比べ、売上高は減少しました
が、断続的に緊急事態宣言が発令される中でも、SaaS型商材の販売が順調に推移していることに加え、前連結会計
年度から取り組んでいる事業体制の整備と最適化の効果が表れ、第2四半期連結会計期間から継続して黒字化を達
成し、通期においても営業黒字となりました。
以上の結果、HR事業における売上高は2,513百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は236百万円(前年同期は905百万円の営業損失)となりました。
・ファンド事業
株式会社100キャピタルが手掛けるファンド事業は、100キャピタル第1号投資事業有限責任組合で保有している
株式において、新型コロナウイルスの影響を受けた一部の投資先を中心に投資有価証券評価損を計上しましたが、
保有株式を一部売却したことにより、売却益が営業利益の増加に寄与しました。
以上の結果、ファンド事業における売上高は467百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益は376百万円(前年同
期比267.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は13,522百万円と、前連結会計年度末に比較して2,670百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は4,672百万円となりました(前連結会計年度比119.5%増)。これは主に、税金等調
整前当期純利益の計上5,116百万円、減価償却費の計上566百万円、投資有価証券評価損の計上745百万円、仕入債
務の増加額745百万円による増加、及び投資有価証券売却益の計上618百万円、売上債権の増加額1,301百万円、法
人税等の支払額1,794百万円による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は1,002百万円となりました(前連結会計年度は644百万円の収入)。これは主に、敷
金及び保証金の回収による収入235百万円、投資有価証券の売却による収入770百万円、及び有形固定資産の取得に
よる支出591百万円、敷金及び保証金の差入による支出305百万円、関係会社株式の取得による支出404百万円、投
資有価証券の取得による支出535百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は1,060百万円となりました(前連結会計年度は209百万円の収入)。これは主に、長期借入れによる収入860百万円、及び短期借入金の純減額645百万円、長期借入金の返済による支出848百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの主たる業務は、PR・広告事業であるため、生産に該当する事項はありません。
b.受注実績
当社グループの主たる業務であるPR・広告事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
事業の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
PR・広告事業(百万円) |
25,763 |
147.4% |
プレスリリース配信事業(百万円) |
4,695 |
129.9% |
ビデオリリース配信事業(百万円) |
1,054 |
96.5% |
ダイレクトマーケティング事業 (百万円) |
12,201 |
107.7% |
メディア事業(百万円) |
660 |
110.2% |
HR事業(百万円) |
2,513 |
93.8% |
ファンド事業(百万円) |
462 |
96.8% |
合 計(百万円) |
47,351 |
127.0% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,518百万円増加し、31,575百万円となりました。
流動資産におきましては、当連結会計年度末残高は22,241百万円と前連結会計年度末に比べ3,831百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が2,662百万円、受取手形及び売掛金が1,394百万円増加したことが主な要因となります。
固定資産におきましては、当連結会計年度末残高は9,333百万円と前連結会計年度末に比べ2,313百万円の減少となりました。これは、投資有価証券が2,650百万円減少したことが主な要因となります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ194百万円増加し、15,397百万円となりました。
流動負債におきましては、当連結会計年度末残高は10,820百万円と前連結会計年度末に比べ1,889百万円の増加となりました。これは、短期借入金が638百万円減少した一方で、買掛金が788百万円、1年内返済予定の長期借入金が759百万円増加したことが主な要因となります。
固定負債におきましては、当連結会計年度末残高は4,576百万円と前連結会計年度末に比べ1,695百万円の減少となりました。これは、長期借入金が728百万円、繰延税金負債が812百万円減少したことが主な要因となります。
b.経営成績の分析
(営業利益の状況)
営業利益の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益の状況)
営業利益が前連結会計年度に比べ2,934百万円増加した一方で、投資有価証券売却益を642百万円、投資有価証券評価損を745百万円計上しております。
これらを主な要因として、経常利益は前連結会計年度に比べ2,403百万円増加の5,201百万円(前連結会計年度比85.9%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
法人税等合計を1,914百万円、非支配株主に帰属する当期純利益を1,130百万円計上しております。
これを主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,071百万円(前連結会計年度比325.4%増)となりました。
当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として営業利益を重視しておりますが、当社グループが取り組むインベストメントベンチャー事業に関連して経常利益もあわせて重要な経営指標と位置づけております。
当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ2,934百万円増加し5,248百万円(前連結会計年度比126.8%増)、また、経常利益は前連結会計年度に比べ2,403百万円増加し5,201百万円(同85.9%増)となりました。
なお、2023年2月期第1四半期より、投資を事業化し、投資にかかる会計処理について主たる事業として変更するため、2023年2月期以降は『営業利益』をより重視し、指標の達成に向けて取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当連結会計年度における現金及び預金は13,522百万円、短期借入金は335百万円、長期借入金(一年内返済予定を含む)は4,885百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、注記事項(追加情報)に記載されているとおりです。
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