(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、様々な経済活動の自粛や制限が生じました。ワクチン接種の進展等により一旦は再開されつつあった経済活動も、新たな変異株による感染拡大への懸念やウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、原燃料価格の上昇等、依然として先行きは不透明な状況にあります。
当社におきましては、2021年4月から各地域で順次発出された緊急事態宣言により一部事業所において臨時休業となったものの、6月21日以降は各種感染防止策を徹底しつつ全国で営業を継続いたしました。しかしながら、感染症は収束の兆しを見せず、当社事業への影響も払拭出来ない状況が続く事となりました。
企画課外活動につきましては、緊急事態宣言発出中は、自社施設内で行う練習会等の比較的開催費用が掛からないイベントを中心に実施する事で収益確保に努め、2021年12月の緊急事態宣言等の解除後はスキー教室、選手強化合宿等、宿泊を伴うイベントを一部再開する等、自社施設外のイベントを地域の感染状況に応じて実施しました。
その他の営業施策につきましては、大人会員集客を強化すべく、自社開発の水中バイク「Jパドルバイク」に水中トランポリン、水中ウォーキングプログラムを合わせた、オリジナルの水中運動プログラム「バイポリン&ウォーク」の提供に向け、各地域で水中運動スキルアップ研修会の実施と事業所での体験会等の販促を進めてまいりました。
なお、「Jパドルバイク」につきましては、2022年1月に国内特許を取得いたしました。
また、2022年4月に新設を予定する、中高生を対象とした、楽しく水泳に取り組むことで仲間づくりを支援し、ストレス解消により勉強への集中力を高める事などをコンセプトとしたクラス「JSS部」の販促を行い、小学校卒業を機に退会する傾向がある高学年の在籍延長と、既にスイミングを卒業された元会員に対する再入会へ向けた取り組みを進めました。
選手強化面におきましては、2021年7月に開催された東京2020オリンピック競技大会の競泳部門では白井璃緒選手(東洋大学/JSS宝塚)が出場、飛込部門においては、玉井陸斗選手(JSS宝塚)、荒井祭里選手(JSS宝塚)、板橋美波選手(JSS宝塚)、伊藤洸輝選手(JSS宝塚)が出場し、玉井陸斗選手が高飛込で7位入賞、荒井祭里選手と板橋美波選手のペアがシンクロ高飛込で6位入賞、伊藤洸輝選手がシンクロ高飛込で8位入賞となりました。
また、2022年2月に開催された、翼JAPANダイビングカップにおいて、玉井陸斗選手(JSS宝塚)が高飛込で優勝、3m飛板飛込で4位、板橋美波選手(JSS宝塚)が高飛込で優勝、荒井祭里選手(JSS宝塚)が高飛込で3位、また同選手と板橋美波選手のペアが10mシンクロナイズドで優勝、伊藤洸輝選手(JSS宝塚)が3m飛板飛込で3位、また同選手と伊熊扇李選手(JSS宝塚)のペアが3mシンクロナイズドで優勝しました。
2022年3月に開催された競泳国際大会日本代表選手選考会において、難波実夢選手(JSS/近畿大学)が200m自由形で優勝、400m自由形で優勝、800m自由形で優勝、1,500m自由形で優勝し、4冠達成となりました。
事業所につきましては、2022年1月にJSSスイミングスクール中川(名古屋市中川区)の新築移転が完了しました。
発達支援事業(JSS水夢)につきましては、2014年9月の開設以来JSSスイミングスクール八尾(大阪府八尾市)内にて児童発達支援および放課後等デイサービス事業を通じ、子供達に対する個別支援を行う事で地域に貢献しておりましたが、2021年4月にJSS山本スイミングスクール(大阪府八尾市)の隣接地へ移転を行うとともに事業面積を拡大し、以降も利用者数が増加する等、順調な運営を行いました。
日本テレビホールディングス株式会社との業務提携の状況につきましては、同社100%子会社である株式会社ティップネス(以下「ティップネス」)との協業について、両社のノウハウ・経営資源を持ち寄ることで、両社の企業価値向上に資する効果的なシナジーを創出すべく、以下の施策を進めてまいりました。
<ティップネスとの主な協業内容> 〇オンラインフィットネス配信サービス「トルチャ」の提供 ティップネスが持つオンラインフィットネス配信サービス「トルチャ」を当社会員およびその家族向けに提供し、顧客満足度向上とコロナ禍における施設に頼らない収益確保策の一つとしました。 〇JSSキッズファミリープラン 両社が近隣に商圏を持つ事業所において当社子供会員の家族が割引価格でティップネスの事業所を利用出来る「JSSキッズファミリープラン」を設定し、顧客満足度向上につながるものとしました。 〇水中バイク、水中トランポリン体験会の実施 当社開発の水中バイクおよび水中トランポリン、水中ウォーキングプログラムを合わせた、オリジナル性の高い水中運動プログラムの体験会をティップネスの事業所にて実施。ティップネス大人会員へ当社の新たな大人向けプログラムを提供する事で、当社に対する意見を収集し、更なるサービス力の向上を図り、今後の社外販売に向けた取り組みといたしました。 〇協業会議および分科会の定期開催 当社とティップネスとの情報交換の機会として、協業会議および各業務、テーマに沿ったより細分的な会議体としての分科会を実施しております。 〇その他 商材や備品、電力等エネルギーの共同購入によるコスト削減や人事採用の情報交換等、両社の強みとスケールメリットを活かした様々な分野におけるシナジー効果を生み出す取り組みを協議し、実施するとともに、更なる施策の準備を進めてまいりました。 |
このような営業施策により、当事業年度末の会員数は90,906人(前期比0.6%増)となりました。子供、大人別会員内訳では、子供会員数が81,383人(前期比1.3%増)、大人会員数が9,523人(前期比4.8%減)となっております。
以上の結果、当事業年度の売上高は7,550百万円(前期比16.3%増)、営業利益は289百万円(前期比255.4%増)、経常利益は285百万円(前期比216.7%増)、当期純利益は112百万円(前年同期は440百万円の当期純損失)となりました。
なお、当社はスイミングスクール運営事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ225百万円増加し、7,256百万円となりました。これは主に、現金及び預金が355百万円増加したことによるものであります。
負債合計は、前事業年度末に比べ143百万円増加し、4,795百万円となりました。これは主に、流動負債の1年内返済予定の長期借入金が185百万円増加した一方で、固定負債の長期借入金が78百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は、前事業年度末に比べ81百万円増加し、2,460百万円となりました。これは主に、利益剰余金が当期純利益の計上等により81百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、355百万円増加し、当事業年度末は1,304百万円となりました。当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により得られた資金は719百万円となりました。これは主に、減価償却費258百万
円、税引前当期純利益176百万円によるものであります。また、前事業年度に比べ得られた資金は1,157百万円増
加しておりますが、主に税引前当期純利益が692百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により使用した資金は222百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取
得による支出228百万円によるものであります。また、前事業年度に比べ使用した資金は126百万円減少しており
ますが、主に有形固定資産の取得による支出が152百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により使用した資金は141百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済
による支出393百万円、短期借入金の純減少額が200百万円となった一方で、長期借入れによる収入が500百万円
となったことによるものであります。また、前事業年度に比べ得られた資金は1,235百万円減少しております
が、主に長期借入れによる収入が780百万円、短期借入金の純減少額が400百万円減少したことによるものであり
ます。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は、スイミングスクールの運営を主たる事業としているため、生産及び受注の実績については記載しておりません。
a. 販売実績
当社は、スイミングスクール運営事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。
売上種類別 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
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直営事業収入 (千円) |
6,022,216 |
114.1 |
受託事業収入 (千円) |
689,980 |
114.5 |
|
企画課外売上収入 (千円) |
240,035 |
221.4 |
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スイミングスクール運営収入(千円) |
6,952,232 |
116.1 |
|
|
直営商品売上 (千円) |
255,952 |
107.8 |
その他商品売上 (千円) |
307,893 |
132.9 |
|
商品売上 (千円) |
563,846 |
120.2 |
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その他の営業収入 (千円) |
33,978 |
92.5 |
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合計(千円) |
7,550,057 |
116.3 |
(2)経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、事業年度末における財政状態、報告期間における経営成績及び開示に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社はこれらの見積り・予測について、過去の実績や現在の状況を考慮し、合理的と考えられる基準に基づき判断しております。しかしながら、見積り・予測は不確実性が伴うため、実際の結果と大きく異なる可能性があります。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損損失)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
② 財政状態の分析
a. 流動資産
当事業年度末における流動資産の残高は、1,577百万円となり、前事業年度末と比べて310百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が355百万円増加したことによるものであります。
b. 固定資産
当事業年度末における固定資産の残高は、5,679百万円となり、前事業年度末と比べて84百万円の減少となりました。これは主に、有形固定資産が46百万円、投資その他の資産が31百万円減少したことによるものであります。
c. 流動負債
当事業年度末における流動負債の残高は、2,238百万円となり、前事業年度末に比べて218百万円の増加となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が185百万円増加したことによるものであります。
d. 固定負債
当事業年度末における固定負債の残高は、2,556百万円となり、前事業年度末に比べて74百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が78百万円減少したことによるものであります。
e. 純資産
当事業年度末における純資産の残高は、2,460百万円となり、前事業年度末に比べて81百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が当期純利益の計上等により81百万円増加したことによるものであります。
③ 経営成績の分析
a. 売上高
当事業年度における売上高は、7,550百万円となり、前事業年度と比べて1,055百万円の増加となりました。これは主に、スイミングスクール運営収入が963百万円、商品売上高が94百万円増加したことによるものであります。
b. 売上原価
当事業年度における売上原価は6,386百万円となり、前事業年度と比べて865百万円の増加となりました。これは主に、スイミングスクール運営原価及びその他売上原価が783百万円増加したことによるものであります。
c. 売上総利益
上記の結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度と比べて190百万円増加し、1,163百万円となり、売上高総利益率は15.4%となりました。
d. 販売費及び一般管理費
当事業年度における販売費及び一般管理費は874百万円となり、前事業年度と比べて17百万円の減少となりました。これは主に、給料及び手当が28百万円減少したことによるものであります。
e. 営業利益
上記の結果、当事業年度における営業利益は289百万円となり、前事業年度と比べて208百万円の増加となりました。
f. 営業外収益
当事業年度における営業外収益は12百万円となり、前事業年度と比べて4百万円の減少となりました。これは主に、受取利息が3百万円減少したことによるものであります。
g. 営業外費用
当事業年度における営業外費用は16百万円となり、前事業年度と比べて8百万円の増加となりました。これは主に、解約違約金が5百万円増加したことによるものであります。
h. 経常利益
上記の結果、当事業年度における経常利益は285百万円となり、前事業年度と比べて195百万円の増加となりました。
i. 当期純利益
新型コロナウイルス感染症による損失65百万円、減損損失39百万円等を計上した結果、特別損失が108百万円となり、税引前当期純利益は176百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税38百万円、法人税等調整額25百万円を計上しております。
以上の結果、当事業年度における当期純利益は112百万円となり、前事業年度と比べて553百万円の増加となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主力であるスイミングスクール事業については、医療制度改革の中で2008年4月から健診・保健指導の義務化が実施されるなど、国民の健康意識の高まりとともにスイミングに対するニーズも拡大する方向にありますが、国内経済動向、個人消費、流行、原油価格等の外的要因が変動することにより大きく影響を受けます。
また、同業他社による多店舗展開、異業種からの参入など競争はより激しくなってきており、出店地域における当社の優位性の確保状況により影響を受けます。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社は、総合フィットネスを展開する同業他社と差別化を図るため、スイミングスクール事業を「教育」として指導教本及び水中健康運動教本等の創業以来の指導経験を織り込んだ各種マニュアルや教本に基づく専門性の高い指導を実施し、当社ブランド力の強化と各事業所の収益力向上を進めております。今後の見通しについては、直営事業所として低コスト運営が可能なコンパクトタイプ施設(会員数1,000名程度)の展開を進め、買収、合併等を利用した事業譲受や既存施設の新築移転も含め、年間2事業所程度の出店を計画しております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要の主なものは、スイミングスクール事業の指導者の人件費、水道光熱費等の販売費及び一般管理費であり、また、設備資金需要としては新規事業所の開設費用及びプール施設の維持管理に関する設備投資資金であります。
そのような資金需要を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。
また、資金の流動性に関しては、現在の複数の金融機関からの借入は円滑に行われており、十分な借入余力があり、流動性の補完にも対応が可能となっております。
当事業年度における資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは719百万円の現金及び現金同等物を取得しております。投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、主に有形固定資産の取得による支出228百万円がありました。財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、主に長期借入れによる収入500百万円、長期借入金の返済による支出393百万円がありました。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,304百万円となり、前事業年度末と比べて355百万円増加しました。
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