事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経理成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中における将来に係る事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業展開のための人員確保について

当社は精神疾患を持つ方への訪問看護を展開するにあたり、事業所及び営業所(出張所含む)数の拡大に伴う看護師の積極的な採用を行い、組織体制の強化及び利用者ニーズの高い住居提供サービス等を充実させ、地域周辺のコミュニケーションを進めていくことで、事業間の相乗効果を図っていく方針であります。

求職している看護師の中で、精神科に従事した経験を有する看護師を見出すことには限界があると考えられます。当社では、精神科が初めての看護師でも安心して働けるようにOJT制度による木目細かい育成を行い、管理職に対するマネジメント研修を行うなど社内教育体制等を整えて、安定した看護師の人員確保に努めております。しかし、今後、安定した看護師の採用及び看護師の確保が行えない場合や、当社人員計画と大幅に乖離した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は多職種の連携による質の高いサービスの提供を目指し、作業療法士、精神保健福祉士などの専門職の拡充を計画的に進めております。これら専門職の確保が計画から大幅に乖離する場合にも、同様に経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 訪問看護事業に関する法的規制について

①  訪問看護の医療及び介護報酬に係るリスク

当社は、「医療保険制度」「介護保険制度」それぞれに基づく訪問看護を行っております。医療保険制度に基づく診療報酬は、2年に1回、介護保険制度に基づく介護報酬は、3年に1回改定が行われます。

2020年度では診療報酬の改定が実施されましたが、在宅医療にとっては大きな変動は無く、当社にとっては、ほとんど影響のない内容でした。しかし、今後診療報酬及び介護報酬の見直しにより大幅な下方の改定が行われた場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、次回の改定は介護報酬は2021年度、診療報酬は2022年度が予定されております。

②  訪問看護事業に必要な指定に係るリスク

当社は訪問看護の事業を行うために、介護保険法に基づく「指定居宅サービス事業者」の指定を都道府県知事から受けております。また、医療保険の訪問看護を行うために、健康保険法に基づく「指定訪問看護事業者」の指定を受けております。それぞれの指定には、従業者の資格要件、人員要件、設備要件及び運営要件が規定されており、これらの規定に従って事業を遂行する必要があります。訪問看護事業に必要な指定に関しましては、以下の通りとなっております。

(許認可等の状況)

取得

所管官庁

許認可名称

許認可内容

有効期限

主な許認可取消事由

当社
各事業所

都道府県

指定居宅サービス事業者

介護保険法の訪問看護

6年毎の更新

介護保険法  第77条(指定の取消し等)

指定居宅介護予防サービス事業者

介護保険法の介護予防
訪問看護

介護保険法  第84条(指定の取消し等)

厚生労働省
地方厚生局

指定訪問看護事業者

健康保険法の訪問看護

健康保険法  第95条(指定の取消し等)

 

 

当社では、看護師の入退職及び事業所及び営業所(出張所含む)の開設・移転時に、居宅事業本部からの情報を受けて管理本部が必要な準備・手続きをしていくという内部牽制によって、基準の確認及び変更に必要な届出を怠らないように細心の注意を払っております。しかし、万が一、これら基準を遵守できなかった場合や診療報酬及び介護報酬等を不正に請求した場合などにおいては、指定の取消または停止処分を受ける可能性があり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  自立支援医療(公費負担医療)に係るリスク

当社は、精神疾患を持つ方を対象とした訪問看護を行っております。心身障がい者等が、心身の障がいの状態の軽減を図れるよう障害者総合支援法による自立支援医療(公費負担医療)を提供するため、当社は障害者総合支援法に基づく「指定自立支援医療機関(精神通院医療)」の指定を都道府県知事から受けており、当社の利用者の大半が「障害者総合支援法」の制度の適用を受けております。

当社は「訪問看護事業に必要な指定に係るリスク」で記載しました通り、社内において細心の注意を払い管理しておりますが、万が一「指定居宅サービス事業者」または、「指定訪問看護事業者」の指定要件が満たせなくなった場合、利用者に対して自立支援医療(公費負担医療)を提供できず訪問看護利用料の利用者負担割合が増し、利用者が訪問看護を利用しにくくなり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、自立支援医療(公費負担医療)の制度改定が行われた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 訴訟リスクについて

当社の看護師は、主治医の指示書に基づき訪問看護を行っております。また、当社は訪問看護を提供する看護師に対して、社内及び外部機関を利用した徹底した教育研修を実施し、多様な状況に対応出来るためのマニュアルの整備等により、事故の発生防止や緊急事態に対応出来るように取り組んでおります。

しかし、利用者の病状悪化等による訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じた場合には、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 個人情報の漏洩について

当社は事業を運営するにあたり、利用者あるいはその家族の重要な個人情報を取り扱っております。当社は、情報管理につきまして情報漏洩防止の厳重な対策を講じていますが、万が一システム等から情報が流出するなどして、当社の信用が低下した場合には、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 風評等の影響について

当社の事業は、利用者やその家族のみならず地域住民や行政・医療機関に係る方々からの信頼のもとに成り立つものと認識しております。当社の従業員には企業理念を浸透させ、安定的かつ質の高い訪問看護を提供するよう指導、教育を行っています。しかしながら従業員の不祥事等何らかの事象の発生や、当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合には、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 大規模な災害や感染症流行の影響について

当社は全国的に事業所及び営業所(出張所含む)を開設し事業展開を行っておりますが、大規模な地震、台風等災害の発生により事業所及び営業所(出張所含む)や看護師並びに利用者が損害を被った場合、また、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等の感染症の流行により看護師並びに利用者が感染した場合等、訪問活動が出来ない事態が生じることで経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(7)利益還元について

当社は将来に向けた事業の拡大に向け、必要な人材の確保・育成及び事業所及び営業所の新規開設にかかる設備投資を行うため、また迅速な経営に備える為、内部留保の充実が重要であると認識しております。しかし、株主に対する利益還元として配当を行うことも重要な経営課題であると認識しており、2015年12月期より期末配当を実施いたしております。今後も、財務状態及び経営成績を勘案しながら配当の実施を行っていく方針であります。しかしながら、当社の業績が計画通り進展しない場合他、当社の業績が悪化した場合等には、継続的に配当を行えない可能性があります。

 

 

(8)新規事業所等開設時の先行コスト負担について

新たな訪問看護事業所の出店に際しては、介護保険法に基づく「指定居宅サービス事業者」の指定を都道府県知事から受ける必要があります。この指定を受けるためには指定の2ヶ月前までに申請を行うこととなりますが、申請時において所定の人員基準、設備基準及び運営基準を満たしている必要があります。このため、新規出店の際には基準を満たすための先行投資を伴うことから、新規出店が集中する場合には、各種費用負担の増加が当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在、当社では年度当たりの出店数は20前後で推移しており、新規出店に係る先行投資による影響は軽微であります。

 

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