当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社のグループ会社である㈱レコフデータが集計し公表している統計データによると、国内企業が関係し公表されたM&A件数は、2021年(1-12月)時点で4,280件(前年同期比14.7%増)と、コロナ禍でありながら過去最多を更新しております。2022年(1-9月)につきましては3,272件(前年同期比3.6%増)と引き続き増加傾向にあります。
このようにM&Aマーケットが堅調に拡大する中、社会課題となった中堅・中小企業の事業承継問題の解決策としてのM&Aは一層注目度が高まっており、M&Aは多くの経営者にとって重要な選択肢として広く認知されております。
官民の連携も強化されており、中小企業庁は2021年4月に「中小M&A推進計画」を策定し、2021年8月にはM&A支援機関の登録制度を開始しており、多数の民間仲介事業者が登録されております。
また、M&A仲介上場5社(株式会社日本M&Aセンター、株式会社ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社オンデック、名南M&A株式会社)の各代表者を理事として、一般社団法人M&A仲介協会が設立されており、業界一丸となって健全なM&Aによる社会貢献を目指しております。
マーケットが拡大する中で大手金融機関、地方銀行、新規参入といった競合も増加しておりますが、M&A専門企業として蓄積してきた国内M&Aマーケットにおける高い専門性と実績を生かし、M&Aを通じ持続可能な日本経済へ寄与するべく、良質なM&A案件を創出してまいります。
当社グループの経営成績は、売上高は前年同期比で5,545百万円(36.6%)の増加となる20,706百万円となりました。これは、前年同期比で大型案件の成約件数が増加したことが主な要因となっております。
売上原価は、売上高の増加により、賞与引当金を含むインセンティブ賞与及び外注費が増加したことを主な要因として、前年同期比1,682百万円(31.2%)の増加となる7,073百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費、賞与、役員賞与引当金繰入額、支払手数料、租税公課、株主優待費用、雑費の増加が主な要因となり、前年同期比721百万円(22.6%)の増加となる3,919百万円となりました。
その結果、営業利益は前年同期比3,140百万円(47.8%)の増加となる9,713百万円、経常利益は前年同期比3,178百万円(48.2%)の増加となる9,766百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比2,482百万円(57.6%)の増加となる6,794百万円となりました。
なお、2022年9月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用しておりますが、当連結会計年度における説明の前年同期比増減額及び増減率は当該会計基準適用前の前連結会計年度の数値を用いて比較しております。
当社グループの成約案件状況、ならびに当社及び㈱レコフの成約案件状況の内訳は次のとおりとなります。
成約件数(連結)
成約件数(単体)
なお、当社グループにおける報告セグメントはM&A関連サービス事業の単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
当社グループの財政状態の状況は次のとおりです。
当連結会計年度末の流動資産は、前年同期と比較して8,996百万円(32.5%)増加し36,717百万円となりました。これは主に現金及び預金が8,406百万円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前年同期と比較して120百万円(3.9%)増加し3,196百万円となりました。これは主に繰延税金資産が424百万円増加したことに対し、のれんが193百万円減少したこと、商標権が33百万円減少したこと、建物附属設備(純額)が70百万円減少したことによるものです。
(流動負債)
流動負債は、前年同期と比較して1,731百万円(36.9%)増加し6,422百万円となりました。これは主に、未払法人税等が736百万円増加したこと、未払消費税等が205百万円増加したこと、未払金が660百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
固定負債は、前年同期と比較して628百万円(237.5%)増加し892百万円となりました。これは主に、賞与引当金が562百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前年同期と比較して6,756百万円(26.1%)増加し32,598百万円となりました。これは主に、利益剰余金が6,768百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は31,668百万円と前年同期と比較して8,406百万円(36.14%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,505百万円(前年同期は6,014百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益を9,766百万円計上したこと、未払金が655百万円増加したこと、賞与引当金が567百万円増加したこと、売上債権が563百万円増加したこと、法人税等の支払いが2,700百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は91百万円(前年同期は913百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が45百万円、無形固定資産の取得による支出が39百万円それぞれあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は12百万円(前年同期は798百万円の収入)となりました。これは短期借入金の返済による支出が30百万円あったことと第10回新株予約権の行使による収入が17百万円あったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)当社グループは、M&A関連サービス事業及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、次の文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
なお、連結財務諸表等の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりです。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際し、将来の課税所得を十分に検討し回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。このため、将来の経営環境の悪化等により課税所得の見積り額が減少した場合には、繰延税金資産が減少し税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しております。
その資産性の評価については、子会社の業績及び事業計画を検討し、判断しておりますが、将来において経営環境の悪化等により当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合、評価の切り下げを行う可能性があります。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルスによる影響は軽微であると判断し見積りを行っております。
当社は中堅・中小企業のM&Aマーケットをメインターゲットとし、引き続き当社の認知度向上とブランディングを目的としたプロモーション活動を行ってまいりました。
重要な指標であるコンサルタント採用については0.8%増と苦戦いたしましたが、積極的な営業活動の結果、成約件数は前年同期の155件から171件と16件増加し、さらには、報酬総額が1億円を超える大型案件の成約数も34件から44件と10件増加したことで、当社単体売上高は過去最高となる17,810百万円となりました。一方で、当社で経営意思決定上のひとつの指標としている営業利益率については、当事業年度においては大型案件の成約件数の増加による売上高の増加などに起因して50.6%となりました。
MBOやクロスボーダー案件、中堅・中小企業のM&Aマーケットまで幅広くカバーする㈱レコフでは、新たな営業活動KPI管理制度を導入し、積極的な営業活動を全社的に行った結果、前年同期比11件の増加となる28件となり、売上高は前年同期比133.3%の増加となる2,517百万円となりました。
M&A関連データや情報発信を通じて、M&A市場全体の発展を促進することを使命として活動する㈱レコフデータでは、前事業年度より開始している研修事業が時節に合わせたオンライン形式での開催を実施することで事業継続できており、主力のデータベース事業も好調な成果を挙げました。日本で唯一のM&A専門誌でありWEBメディアでもある「MARR」事業も好調なアクセスを記録し、一層のコンテンツの拡充を図るなど、新規顧客層の獲得に力を入れたことから、売上高は前事業年度と比べて増収となっております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、市場環境、競合の状況あるいは法整備の影響など、様々な要因が挙げられます。
これらの要因によって成約案件の数や単価が減少した場合、経営成績に影響を与える場合があります。その他の要因については「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」に記載しております。
当社グループの運転資金、設備投資資金といった主な資金需要は自己資金により調達しており、一年以内に満期となる定期預金などで一部運用しておりますが、投機的な金融商品は保有しておらず、時宜に応じて機動的な成長投資を行うことができるよう、資金の流動性を維持する方針としております。
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