当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しておりますが、売上高、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益への影響はそれぞれ91千円の増加と軽微である為、当該会計基準等を遡った適用はせずに前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が徐々に緩和されておりますが、依然として厳しい状況で推移いたしました。先行きについては、新型コロナウイルスの感染対策により経済社会活動が正常化に向かう一方で、ウクライナ情勢等の影響による原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等により、引き続き厳しい状況が続くと予想されます。
当社グループの属する宅配食市場におきましては、高齢化社会の進展、単身世帯の増加、夫婦共働き世帯の増加を背景に堅調に推移しております。また、新型コロナウイルスによる外出の自粛や飲食店の休業及び営業縮小の影響を受け、消費者からの需要の増加と共に飲食店における新たな収益源としての重要性も増しております。今後の先行きについては十分に注視する必要がありますが、フードデリバリーの潜在需要は十分に成長余地があり、今後も堅調に推移すると考えております。また、このような近年のフードデリバリー需要の高まりから宅配代行サービスが急速に発展しており、市場規模が拡大すると共にその競争は年々激しくなっております。
このような状況の下、当社グループは「ご家庭での生活を『もっと美味しく、もっと便利に』」を実現するために、「誰もがご自宅にいながらにして享受できる、より便利で快適な新しいライフスタイルの創出」に貢献していく「次世代ホームネット戦略」を基本戦略として、事業活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、2020年4月に初めて発令された緊急事態宣言による特需効果がなくなったことで第1四半期の売上高は減少しておりますが、日常利用としてのフードデリバリー需要の増加を背景に、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」の売上が堅調に推移したこと等により、売上高は前連結会計年度と比べて増加しております。一方で、新型コロナウイルスや資源価格上昇の影響等によって仕入環境は厳しい状況で推移しており、売上原価は前連結会計年度と比べて増加しております。また、新ブランドの開発やシステム投資などを行った事により、販売費及び一般管理費は増加しております。これらの活動により、営業利益は前連結会計年度と比べ減少いたしました。
営業外損益においては、連結子会社である投資事業有限責任組合が保有する投資有価証券の売却益及び投資有価証券評価損を計上しております。
なお、当連結会計年度におきましては、直営店舗の保有する資産等を減損損失として計上しております。
その結果、当連結会計年度の業績は売上高25,703百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益1,943百万円(前年同期比19.7%減)、経常利益1,999百万円(前年同期比17.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,246百万円(前年同期比16.7%減)となりました。
財政状態においては、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ869百万円減少し、11,444百万円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ846百万円減少し、4,087百万円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23百万円減少し、7,356百万円となりました。
主な活動状況は以下のとおりです。
当連結会計年度末におけるFCを含むチェーン全体の店舗数は760店舗(直営267店舗、FC店493店舗)、拠点数は378拠点(直営107拠点、FC271拠点)となりました。
店舗数・拠点数の推移は、以下のとおりであります。
[店舗数の推移]
(注)1.区分変更における直営店舗の増加は、主にFC店舗が閉店したエリアに直営店舗が出店したことによるものであり、FC店舗の増加とは、直営店舗の加盟企業への売却によるものです。
2.来店型の和食レストラン及び宅配サービス「DEKITATE」の店舗数は、直営の「その他」に記載しております。
[拠点数の推移]
b.各ブランドの状況
商品戦略としましては、期間限定商品として、宅配寿司「銀のさら」では、人気の高い「大生エビ」、「トロサーモン」、「ピュアレッドサーモン」、「大トロ」を使用した商品を提供いたしました。また、公式サイト限定で販売するスペシャル商品として、「いま!これ!勝負ネタ」シリーズを数量限定・期間限定で提供しております。4月には、水産資源の保護活動支援を目的に、完全養殖技術の研究を行っている近畿大学水産研究所とのコラボレーション企画として「近大生まれマグロ」と「近大生まれ鮮熟真鯛」を、9月には"ブリ"と"ヒラマサ"のハイブリッド魚「近大生まれのブリヒラ」、1月には完全養殖真鯛に地元の名産フルーツ愛南ゴールドのエキスを隅々まで行き渡らせた「近大生まれ愛南ゴールド真鯛」を使用した商品を提供いたしました。
宅配御膳「釜寅」においては、7月には山梨県の極上うなぎ「温泉ワインうなぎ」を使用した商品を、8月には熟成肉専門店「格之進」とコラボレーションし、大人気商品の「格之進ハンバーグ」を楽しめるオリジナル釜飯を提供、1月には仔牛の牛タンを使用した「厚切り牛タン釜飯」を販売いたしました。
なお、新型コロナウイルスや資源価格の上昇等、仕入環境の悪化を受けて10月より一部商品価格の値上げ及びメニュー改定を実施、3月には価格改定を行っております。
販売戦略としましては、自社電子ポイント「デリポイント」を活用することで、さらなる利用機会を創出するため、繁忙期や機会点において戦略的にポイント発行を行い、その効果を検証しております。5月には、公式WEBサイト・アプリ会員数が300万人を突破したことを記念して、「デリポイント」を還元する3種類のお得なキャンペーンの実施、6月には「父の日デリポイント半額還元」キャンペーンを実施、9月には「祝 敬老の日 デリポイント半額還元」キャンペーンの実施、10月には「銀のさら秋祭り」としてデリポイントキャンペーンやプレゼント企画を実施、2月にはお客様への感謝の気持ちを込めた「創業祭キャンペーン」を実施するなど、WEB会員、顧客に向けた販売促進及び認知度向上のための施策を実施いたしました。
また、「銀のさら」においては、年末年始を含む12・1月が、年間において一番お客様のご利用数が多く、収益を獲得できる時期であるため、高級食材を使用した期間限定桶の提供、早期WEB予約の受付、期間限定桶の注文・予約でデリポイントが貰える年末年始限定のキャンペーンを実施するなど、お客様満足度・利便性及び収益性の向上、新規顧客の獲得に取り組んでまいりました。
既存顧客に向けては、顧客属性にあわせた計画的なDMの実施、メールマガジンの配信、LINE公式アカウントからの情報発信、公式アプリからのプッシュ通知等、CRM(※)の確立に向けた活動を行っております。また、新たに他社のポータルサイトを活用して顧客接点を増やし、利便性の向上と新たな顧客の獲得を図るべく検証を進めております。
※Customer Relationship Managementの略。顧客接点での情報を統合管理し、顧客との長期的な関係性を構築、製品・サービスの継続的な利用を促すことで収益の拡大を図るマーケティング手法。
宅配寿司「銀のさら」においては、テイクアウト併設型店舗の出店を推進しております。従来のデリバリーでの注文に加え、テイクアウトでの需要に応えることで、利便性の向上と新たな顧客層の開拓を進めてまいります。また、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」の世界観をそのままに、高級感あふれる店内で「銀のさら」、「釜寅」の食事をお楽しみいただける、来店型の和食レストラン「銀のさら」の検証を進めております。
提携レストランの宅配代行サービス「ファインダイン」においては、当社の強みであるデリバリーネットワークを活かして、都心部のオフィスや商業施設等へ向けた独自のデリバリーサービスの検証を行っております。販売促進においては、毎月お得なクーポンや情報を配信するなど、新規顧客の獲得とリピート利用の促進を目的とした各種施策を実施しております。
なお、「ファインダイン」においては一部店舗を閉店しております。経営資源を集中することで、オリジナルブランドの強化を中心とした当社グループ全体の収益性の向上に努めてまいります。
また、4月より肉メニューを中心とした宅配サービス「DEKITATE」を開始いたしました。「専門店の美味しさをご自宅でも!」をコンセプトに、牛タン、とんかつ、炭火焼肉、鰻等といった商品を提供し、検証を進めております。
なお、当社グループでは、お客様や従業員、そのご家族の安心・安全を最優先し、感染予防の様々な取り組みを行った上で、店舗営業を継続しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末より1,256百万円減少し、4,144百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,214百万円の収入となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,951百万円、非資金項目である減価償却費342百万円を計上した一方で、法人税等の支払額1,006百万円が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、714百万円の支出となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出503百万円、無形固定資産の取得による支出151百万円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,761百万円の支出となりました。
主な内訳は、自己株式の取得による支出999百万円、長期借入金の返済による支出440百万円、配当金の支払いによる支出320百万円が生じたことによるものであります。
当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、実際仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮説の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、25,703百万円(前年同期比1.3%増)となりました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が2021年9月まで継続して発令されたことなどにより、日常でのご利用を始めとする個人のデリバリー需要が増加いたしました。緊急事態宣言の解除後は、デリバリーの一時的な特需効果がなくなっておりますが、自社電子ポイント「デリポイント」の発行による利用機会の創出、即時配送の強化、WEB注文促進の各種施策の効果等により、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」の売上は堅調に推移しております。このような背景のもと、積極的なデリポイント施策による値引等の影響により直営店舗売上は減少しておりますが、加盟店からのロイヤルティ収入、食材販売収入等が増加したことで売上高は増加いたしました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、13,151百万円(前年同期比4.2%増)となりました。店舗売上高の増加に伴い食材や販促物等の仕入れが増えたこと、および資源価格の高騰やウクライナ情勢に伴う仕入環境の変化により、食材の仕入価格が上昇したことによるものであります。なお、原価率におきましては、前年同期比1.4%増となっております。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、10,607百万円(前年同期比2.6%増)となりました。直営店舗において配達時間短縮のための人的投資を行ったことや、自社基幹システムへの投資、売上の最大化を図る事を目的として戦略的にマーケティング費用を増やしたことにより、販売費及び一般管理費は増加いたしました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外損益は、営業外収益が118百万円(前年同期比24.7%減)、営業外費用が62百万円(前年同期比57.4%減)となりました。連結子会社である投資事業有限責任組合が保有する投資有価証券の売却益及び投資有価証券評価損等を計上しております。
(特別損益)
当連結会計年度における特別損益は、特別利益が9百万円(前年同期比46.0%増)となりました。また、特別損失が57百万円(前年同期比51.3%減)となりました。当連結会計年度におきましては、直営店舗の保有する資産等を減損損失として計上しております。
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。
売上高においては、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が解除されたことで、デリバリーの一時的な特需効果がなくなっておりますが、デリポイントをはじめとした各種施策の実施により堅調に推移いたしました。これにより、計画に対し7百万円の減少(0.0%減)となりました。
経常利益においては、資源価格の高騰に伴う仕入価格の上昇等により、計画に対し201百万円の減少(9.2%減)となりました。
なお、2022年3月期の計画数値は、2022年1月27日に発表した修正予想を使用しております。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末における資産、負債、及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,168百万円減少し、7,313百万円(前連結会計年度末残高8,482百万円)となりました。これは主として、現金及び預金が1,256百万円減少した一方で、売掛金が67百万円、未収入金36百万円、商品及び製品が14百万円増加したことによるものであります。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べて298百万円増加し、4,130百万円(前連結会計年度末残高3,832百万円)となりました。これは主として、建物及び構築物が154百万円、投資有価証券132百万円、工具、器具及び備品が100百万円増加した一方で、繰延税金資産が90百万円減少したことによるものであります。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて486百万円減少し、3,554百万円(前連結会計年度末残高4,040百万円)となりました。これは主として、未払法人税等が395百万円、未払消費税等が164百万円減少した一方で、契約負債が306百万円増加したことによるものであります。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べて360百万円減少し、533百万円(前連結会計年度末残高893百万円)となりました。これは主として、長期借入金が389百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて23百万円減少し、7,356百万円(前連結会計年度末残高7,380百万円)となりました。これは主として、自己株式取得により自己株式が999百万円増加、配当金321百万円の実施により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益1,246百万円の計上、新株式の発行による22百万円増加したことによるものであります。
c.キャッシュ・フローの状況についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、食材の仕入れのほか、販売用商材の購入費用等、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、配当金の支払、運転資金及び設備投資資金等であります。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度における有利子負債(借入金)の残高は392百万円となっております。
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