業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進む等感染拡大の防止に向けた動きがみられるものの、新たな変異株発生により予断を許さない状況が続いております。加えて、半導体等の供給制約の長期化や原油価格の高騰等による生産活動にかかる懸念事項も生じております。

こうした中、不動産市場については、グリーン住宅ポイント制度や住宅ローン減税延長等の住宅取得の支援制度の充実、低金利の継続、及びテレワークの普及による新たな住宅需要の出現等により、新築、中古とも好調を維持しております。こうしたことから、住宅ローンの新規貸出件数は安定的に推移しております。

このような事業環境の中、当社グループにおいては、金融機関向けの住宅ローン実行に係るサービスの利用件数が順調に推移するとともに、不動産事業者向け非対面決済サービスの受注件数が増加し、更に建築事業者向けではグリーン住宅ポイント制度の取扱いサービス件数が大幅に増加いたしました。

この結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、エスクローサービス事業、BPO事業、不動産オークション事業の全ての事業セグメントで堅調に推移し、売上高は3,552,931千円(前年同期比15.6%増)、営業利益は614,350千円(前年同期比24.8%増)、経常利益は619,225千円(前年同期比12.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は406,614千円(前年同期比11.8%増)となりました。

 

(エスクローサービス事業)

エスクローサービス事業においては、士業専門家、金融機関、不動産事業者及び建築事業者に対し、不動産取引の利便性、安全性の向上に寄与する各種支援システム等により、業務の効率化に資する各種サービスを提供しております。また、連結子会社の株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託における信託サービス、相続手続き代行サービスでは決済の安全性確保、財産保全等のニーズに対応しております。

当連結会計年度においては、金融機関の住宅ローンの新規貸出件数が安定的に推移したことにより受注が増加いたしました。また、不動産取引の非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」についても前年と比較して利用件数が大幅に増加いたしました。

以上の結果、セグメント売上高は1,026,525千円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益は729,359千円(前年同期比0.4%増)となりました。

 

(BPO事業)

BPO事業においては、金融機関における住宅ローン融資に係る事務受託等によりクライアントの業務課題を解決するためのサービスを提供しております。また、連結子会社の株式会社中央グループでは、建築・開発設計サービス、士業専門家への業務支援サービスや建築事業者向け各種コンサルティングサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、特に建築事業者向けサービスにおいてグリーン住宅ポイント制度に係る取引先からの受注が伸長いたしました。

以上の結果、セグメント売上高は2,003,510千円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益は445,904千円(前年同期比10.5%増)となりました。

 

(不動産オークション事業)

不動産オークション事業においては、連結子会社の株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託にて、主に税理士等の士業専門家からの相談に応じ、不動産の調査から取引決済まで安全性の高い不動産取引の機会の場を提供しております。これにより売買後のトラブルや紛争を未然に回避することができるほか、取引価格については入札方式を採用することによって透明性の高い価格形成が可能となり、不動産取引の利便性、安全性の向上に寄与しております。

当連結会計年度においては、新規案件に加え、これまで新型コロナウイルス感染症の長期化の影響で先送りとなっていた案件の成約が進みました。

以上の結果、セグメント売上高は522,896千円(前年同期比179.1%増)、セグメント利益は134,781千円(前年同期比2,415.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,666,884千円となり、前連結会計年度末と比較して40,302千円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの収入は408,758千円(前連結会計年度は414,951千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が619,225千円となった一方、法人税等の支払225,495千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの支出は185,795千円(前連結会計年度は110,214千円の収入)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出161,355千円、有形固定資産の取得による支出18,771千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの支出は182,660千円(前連結会計年度は69,156千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額173,219千円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣等であり、生産活動を行っていないため、生産実績については記載しておりません。

 

b.受注実績

当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣等であり、受注生産を行っていないため、受注実績については記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エスクローサービス

1,026,525

7.4

BPO

2,003,510

3.8

不動産オークション

522,896

179.1

合計

3,552,931

15.6

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

住信SBIネット銀行株式会社

350,704

11.4

392,846

11.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,373,952千円となり、前連結会計年度末と比較して69,252千円の増加となりました。これは主に、売掛金が136,593千円増加した一方、現金及び預金が59,697千円減少したことによるものです。固定資産は719,863千円となり、前連結会計年度末と比較して203,924千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエア開発等により無形固定資産が95,008千円、長期預金が100,000千円、繰延税金資産が32,152千円増加した一方、投資有価証券が39,901千円減少したことによるものです。

この結果、総資産は4,093,815千円となり、前連結会計年度末と比較して273,177千円の増加となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は579,264千円となり、前連結会計年度末と比較して44,025千円の増加となりました。これは主に、賞与引当金が24,413千円、未払金等のその他が24,648千円増加したことによるものです。固定負債は135,262千円となり、前連結会計年度末と比較して4,873千円の増加となりました。

この結果、負債合計は714,527千円となり、前連結会計年度末と比較して48,899千円の増加となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は3,379,288千円となり、前連結会計年度末と比較して224,277千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が233,265千円増加したことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は82.5%(前連結会計年度末は82.6%)となりました。

 

b.経営成績等の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は3,552,931千円となり、前連結会計年度と比較して480,064千円の増加(前年同期比15.6%増)となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は1,670,106千円となり、前連結会計年度と比較して228,992千円の増加(前年同期比15.9%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴うものです。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,055,755千円となり、前連結会計年度と比較して107,074千円の増加(前年同期比11.3%増)となりました。これは主に、人件費の増加や業務委託費の増加によるものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は614,350千円となり、前連結会計年度と比較して121,917千円の増加(前年同期比24.8%増)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は619,225千円となり、前連結会計年度と比較して69,537千円の増加(前年同期比12.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は406,614千円となり、前連結会計年度と比較して42,863千円の増加(前年同期比11.8%増)となりました。

 

c.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

事業セグメントごとの経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、事業の維持・拡大のための人財、システム及び設備投資等であります。なお、その資金については自己資金により賄うことを基本とし、金融機関からの借入は行わない方針でおります。

 

e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等を「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりとしています。

当連結会計年度におきましては、自己資本比率は82.5%、ROEは12.4%、売上高営業利益率は17.3%、連結配当性向は42.7%となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力の向上と強固な資本構成の維持に注力し、目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

 

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