事業の内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、連結子会社31社、非連結子会社2社、関連会社8社、その他の関係会社1社により構成されております。当社グループは、「人に人らしい仕事を。」というミッションのもと、国内外の広告業界において、広告主の広告価値最大化、媒体社の収益最大化を目指し、広告・マーケティング事業、投資事業及びその他事業のそれぞれの事業領域の拡大をしてまいりました。

 

(広告・マーケティング事業)

 当社グループの広告・マーケティング事業は主にDSP(注1)領域及びSSP(注2)領域への事業展開を行っております。

 DSP領域においては、広告主がもつ自社(広告主)サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データなどのビッグデータを当社開発の解析ソフトウェアにより分析するプライベートDMP(注3)「MOTHER」を用いて、インターネット広告におけるリアルタイム広告枠取引を行うDSP「Red」及び「FreakOut」における広告配信効果の最大化を実現しております。一方、SSP領域においては、媒体社に対する収益化の向上を目的として、デジタル広告をより美しく、ユーザーにとって役に立つ情報や興味深いコンテンツに進化させるネイティブ広告プラットフォームサービスを国内外で展開しております。

 さらに、DSP領域を中心とする従来のサービスで培ってきたノウハウ・経験を活かし、動画・Connected TV領域を中心とするプレミアム媒体社への独自広告配信プラットフォーム開発・運用支援を目的としたプロダクト「Scarlet」(従来の「Red for Publishers」をリブランディング)を提供しております。これにより、媒体社は広告配信による収益最大化を本プロダクトに委ね、本来リソースを注ぐべきコンテンツの充実や集客に専念することが可能になると共に、広告主へ向けてもプレミアムな媒体社の広告枠を当社DSP「Red」を通じて買い付けることによって、従来からの目的であった広告価値の最大化のさらなる追求が可能となります。また、Playwire,LLCにおいても、北米を中心とする英語圏において、プレミアムな媒体社の収益を、機械学習を通じて最適化・最大化することを可能にするプロダクトを提供しております。

 また、当事業年度から動画領域での新たな取り組みとして、次世代型のYouTube広告配信ソリューション「GP」を開始しました。「GP」は、高度なブランドセーフティ機能を搭載した新世代の動画コンテクスチュアルターゲティングを可能とするプロダクトであり、独自の高い動画解析技術を用いてYouTubeでの動画広告配信を最適化し、広告主のブランドイメージを守り、関連性の高い動画への配信を行うことで広告効果を最大化します。

 このように当社グループは、広告主の広告効果の最大化及び媒体社に対する収益化の向上を実現しており、広告・マーケティング事業が当社の成長を牽引しております。

 

(1)DSP領域について

① DSPの概要

 DSPとは広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告の買い付けをし、配信するプラットフォームです。具体的には、広告主や広告代理店が、RTB(注4)技術を活用し独自のアルゴリズムにより、アドエクスチェンジ(注5)やSSP、あるいはアドネットワークなどに対して、ユーザーの広告1インプレッションごとに最適な自動入札取引・広告配信を行なうプラットフォームです。

 広告主はあらかじめDSPを通じて広告を見て欲しい対象者の属性、入札の上限額を決めておき、広告主の要望にあうユーザーが見つかった場合に瞬時に入札が行われます。そして、最も高い価格を提示した広告が媒体に配信される仕組みとなっております。

 従来、広告主は、ターゲットであるユーザーが閲覧すると思われるサイトを想定して、特定の広告枠を予め決められた価格で買い付けておりましたが、DSPを用いることにより、広告主は広告を配信したいユーザーをリアルタイムで判断し、入札による適切な価格で広告を配信することができるため、広告主にとって広告の費用対効果を高めることが可能となります。

 

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② RTBの概要

 RTBとは、インプレッション(広告の表示回数)ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法です。RTBは、ディスプレイ広告(注6)をこれまでのような純広告の枠売りではなく、1インプレッションごとにアクセスしてきたユーザーの属性を解析し、「特定の属性を持ったユーザーへの広告」として1インプレッションごとに入札方式で売買を行なうシステムです。

 RTB技術の活用により、広告主は従来の特定サイトの広告枠を予め決定された価格で購入する純広告や、検索キーワードに関連した検索連動型広告(注7)では難しかった、潜在的な消費者層の開拓や興味・関心をもってもらうための効果的な広告配信による認知施策が可能となります。

 

[純広告取引とRTB取引の違い]

 

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[RTBの流れと販売形態]

<RTBの流れ>

① インターネットユーザーが広告枠のあるウェブサイトに来訪した瞬間に、広告枠を管理するアドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワーク(注8)などから、複数のDSP事業者に来訪ユーザーの情報と広告枠情報(入札リクエスト)が送信され、

② 各DSP事業者はデータベースを解析し、入札を実行します。

③ 広告枠のオークションの結果、競り勝ったDSP事業者は広告枠の配信を行います。

④ 当社では、オークションが成立した瞬間にSSP等から広告枠を仕入れ、広告枠の入札価額に一定のマージンを載せて販売価額を決定し、広告枠の配信を行います。

<販売形態>

⑤ 直接販売:広告主に対して直接サービスを提供する形態で、当社が配信設定、運用からレポート(配信結果や運用方法の改善提案等の報告書・提案書)作成までを実施しています。

⑥ 代理店販売:広告代理店を通じて広告主に対してサービスを提供する形態で、当社が配信設定、運用からレポート作成までを実施しています。

⑦ OEM代理店販売:広告代理店とOEM代理店契約を締結し、「Red」及び「FreakOut」を広告代理店に対してOEM提供する形態です。OEM先が、自社ブランドとしてDSP事業を運営するため、配信設定、運用からレポート作成などはOEM先が実施しています。

 

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(2)当社グループが提供するDSP「Red」及び「FreakOut」について

① 多様な配信手法によるターゲティング技術

 「Red」及び「FreakOut」は広告主にとって有望な見込顧客にターゲティングするために、多様な配信手法を備えています。

 具体的には、「知らない人(潜在層)」には知ってもらうための「オーディエンス拡張」等の配信手法を用いた潜在層ターゲティング、「既に知っている人(興味層)」には欲しいと思ってもらうための「キーワードマッチ」等の配信手法を用いた興味関心層ターゲティング、「欲しいと思った人(顕在層)」にはコンバージョン(注9)してもらうための「リターゲティング」等の配信手法を用いた顕在層ターゲティングを行い、消費者の行動プロセスに応じてターゲティングした広告配信を実現しています。

 

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② 広告枠在庫について

 DSP事業を行うためには、買付可能な広告枠を確保していることが前提となります。「Red」及び「FreakOut」は国内で事業を行う主要なSSP、アドエクスチェンジと接続し、多くの広告枠在庫にアクセスすることが可能であります。また、「Scarlet」により、優良な媒体社の広告枠在庫へ当社は優先的にアクセスすることが可能となります。

 

③ OEM提供について

 当社グループは、広告代理店や媒体社等に対して、「Red」及び「FreakOut」をOEM提供しております。

 OEM提供先にとっては、サーバコストや開発難易度の点から独自でDSPを開発し、新規参入することが難しいため、当社グループのDSP基本機能とインフラ提供を利用することで、早期に新規参入が可能になります。

 なお、OEM提供先に対して、RTBによるディスプレイ広告運用や設計スキル及び「Red」及び「FreakOut」の機能理解度が一定のレベルに達していることを当社グループが保証する認定パートナー制度を実施しております。

 

 

(投資事業)

 当社グループは、グローバル展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための投資事業を行っております。

 

(その他事業)

 国内外のグループにおける経営管理機能・新規事業等の提供を行っております。新規事業では、インターネット広告市場以外の分野において、当社グループの技術資産であるデータ解析基盤、機械学習エンジンを活用することで、あらゆる領域において当社のミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、各事業を行っております。

 

(注)1.DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)

広告主側から見た広告効率の最大化を支援するシステム。RTBの技術を活用し、広告主や広告代理店がSSP等を対象に、ユーザーの1視聴毎に、広告枠に対してリアルタイムに最適な自動入札取引・広告配信を行うシステムを提供するプラットフォーム

 

2.SSP(サプライサイド・プラットフォーム)

媒体社側から見た広告効果の最大化を支援するシステム。媒体社が広告枠を管理及び販売する際に使用するプラットフォームであり、DSPのリアルタイムな入札に対応する技術をもつ

 

3.DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)

広告主がもつ自社サイトへのアクセスデータ、広告配信データ、会員データなどのデータを管理及び解析し、メール配信や分析調査などの様々なデータ活用チャネルと連携し利用可能にする、データ統合管理ツール

 

4.RTB(リアルタイムビッディング)

ウェブサイトに来訪したユーザーの1視聴毎にリアルタイムにインターネット広告の入札が行われる仕組み

 

5.アドエクスチェンジ
広告枠のオープンなマーケットプレイス。媒体社、アドネットワーク、DSP、SSPなどは、このマーケットプレイスを通じて広告枠を売買することができる

 

6.ディスプレイ広告

ウェブサイトに表示される広告で、画像やFlash、動画などによる広告

 

7.検索連動型広告

ユーザーが検索エンジンに入力した検索キーワードに関連した広告を配信・表示する広告配信方法

 

8.アドネットワーク

複数の媒体サイトの広告枠を束ねてネットワーク化し、広告販売や広告配信を一元的に管理して、収益化を実現するモデル

 

9.コンバージョン

会員登録や資料請求、商品購入など広告主の望む行動を起こすこと

 

 

[事業系統図]

 以上の事項を事業系統図に示すと次のとおりであります。

 

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 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

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