経営成績等の概要
(1)経営成績
当期におけるわが国経済は、海外経済の停滞が続くなか、先行き景気不透明感が強まる展開となっております。
こうした中で、当社は受注・生産・管理部門の力を結集して受注活動を推進めるとともに、引き続きコスト削減に努め、収益力の改善・向上に取り組んでまいりました。
受注状況につきましては、当期の受注高は、米中貿易摩擦等景気の先行き不安を背景に企業の設備投資意欲減退の影響を受け、新規大型物件の受注が引き続き伸び悩んでおり、一定の引き合いはあるものの前期(51億57百万円)から9億80百万円と後退しております。受注残高につきましては、前期末(39億65百万円)に比べ減少しておりますが、令和5年納期予定の大型機械工事物件19億6百万円(前期受注物件)により26億97百万円の大台を確保できており、これからの売上増加に期待しているところでございます。今後につきましては、現在交渉中の大型引き合い物件の早期成約を始め、新規発足した海外プロジェクトチームの充実・活用により、一層の受注高の確保と安定した利益展開に向け邁進しているところでございます。
売上状況につきましては、売上計上基準につき一部工事進行基準を適用いたしておりますが、当119期における売上高につきましては、大型物件2台の工事進捗による売上が貢献し、前期(22億35百万円)及び目標金額22億円と同水準の22億48百万円の売上を計上することができました。
利益状況につきましては、引き続き原価低減や経費全般に亘る節減に努めているものの、想定外の追加費用及び人件費等固定費の増加が見られ、営業利益23百万円・経常利益44百万円・当期純利益34百万円と前期を下回る金額となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ、5億95百万円減少し、当期末は11億10百万円になりました。
また、当期末における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、当事業年度において使用した資金は、4億96百万円であります。これは、主に税引前当期純利益44百万円がありましたが、前受金の減少3億10百万円、その他1億49百万円(うち未収消費税等1億3百万円の増加)及び仕入債務の減少1億20百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、当事業年度において使用した資金は47百万円であります。これは、主に定期預金の払戻による収入11億9百万円がありましたが、定期預金の預入による支出11億49百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、当事業年度において使用した資金は42百万円であります。これは、主として配当金の支払額24百万円、リース債務の返済による支出17百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の資金需要の主なものは、原材料等の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金需要については、自己資金並びに金融機関からの借入による調達を基本としております。
なお、予定されている重要な資本的支出はありません。
今後とも売上増加と売掛金の早期回収に重点をおいた営業活動を展開し、キャッシュ・フローの増加に努めてまいります。
生産、受注及び販売の実績
当社は、プレス機械の製造メーカーとして単一の事業を営んでおり、セグメントの種別はありません。
(1)生産実績
当事業年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別 |
第119期 自 平成30年12月1日 至 令和元年11月30日 |
前年同期比(%) |
プレス(千円) |
2,201,399 |
0.5 |
その他の機械工事(千円) |
46,607 |
2.8 |
合計(千円) |
2,248,006 |
0.5 |
(注)1.金額は販売価格によって示してあります。
2.上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2)受注実績
当事業年度における受注状況を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別 |
受注高 (自平成30年12月1日 至令和元年11月30日) |
前年同期比(%) |
受注残高 (令和元年11月30日) |
前年同期比(%) |
プレス(千円) |
947,283 |
△69.5 |
707,167 |
△62.2 |
その他の機械工事 (千円) |
33,037 |
△98.4 |
1,990,470 |
△5.1 |
合計(千円) |
980,320 |
△81.0 |
2,697,637 |
△32.0 |
(注)上記金額には消費税等を含んでおりません。
(3)販売実績
当事業年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品別 |
第119期 自 平成30年12月1日 至 令和元年11月30日 |
前年同期比(%) |
プレス(千円) |
2,201,399 |
0.5 |
その他の機械工事(千円) |
46,607 |
2.8 |
合計(千円) |
2,248,006 |
0.5 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(第118期) |
(第119期) |
||||
相手先 |
金額(千円) |
割合(%) |
相手先 |
金額(千円) |
割合(%) |
BBSジャパン㈱ |
705,850 |
31.6 |
BBSジャパン㈱ |
1,187,583 |
52.8 |
㈱パシフィックソーワ |
407,640 |
18.2 |
JFE商亊㈱ |
462,960 |
20.6 |
(注)上記金額には消費税等を含んでおりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社の財政状態及び経営成績の分析は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する以下の分析が行われております。
当社経営陣は、財務諸表作成に際し、決算日における資産・負債の計上額、偶発債務等の予測、並びに決算期間における収入・費用の計上額に影響を与える様々な見積りや仮定計算を行わなければなりません。
また、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、財務諸表に反映しなければなりません。その結果についても継続して評価・検証を行わねばなりませんが、実際の結果は見積り特有の不確実性があり、これら見積り等と異なる場合があります。
当社は以下の重要な会計方針が、当社の財務諸表作成において、重要な判断と見積り等に大きな影響を及ぼすと考えております。
①収益の認識
当社の売上高は、個別受注方式であり、通常、注文書・契約書に基づく契約納期をベースとし、顧客の検査合格後検収した時点に計上されます。このため、納入先の工場未完成等による顧客側都合による受入遅延、材料遅延や当社都合による納入遅延等が生じた場合は、各期の売上高が大きく変動する可能性があります。
なお、請負工事契約に係る収益の計上基準につきましては、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められるものについては工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他については工事完成基準を適用しております。
②各種費用・見積りの認識
貸倒引当金 債権の回収不能時に発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上することとしております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
固定資産の減損 当社では、収益性が著しく低下した資産について、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。なお、資産のグルーピングは管理会計上の単位を資産グループの基礎とし、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングを行っており、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行っております。
投資の減損 当社は長期的取引関係維持のために、特定取引先及び金融機関の株式を保有しております。当社は金融商品会計基準に従い評価減等の処理を行っておりますが、株価の下落等により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
繰延税金資産 当社は繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づく回収可能見込額を考慮した上で、繰延税金資産計上額の妥当性を十分に検討し財務諸表に反映させることとしております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び税務計画を検討しますが、その前提となる利益計画は、不確実性を伴うものであります。当社の当期における判断は、将来の利益の見積りに伴う不確実性に対応するものであり、財務体質の強化を図った対応を行っております。
工事損失引当金 当社は、損失の発生が見込まれる工事契約について将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上することとしております。工事施工途中において当初予想しえなかった追加原価等により不採算工事が発生した場合、追加損失が発生する可能性があります。
(2)資金の流動性の分析
①資産、負債及び純資産の分析
(イ)資産
当第119期の財政状態については、資産合計は、前事業年度末に比べ、4億99百万円減少し、32億83百万円となりました。これは主として、現金及び預金が5億57百万円減少したことによります。
(ロ)負債
負債合計は、前事業年度末に比べ、5億6百万円減少し、25億5百万円となりました。これは主として、前受金が3億10百万円、支払手形及び買掛金が1億20百万円減少したことによります。
(ハ)純資産
純資産合計は、前事業年度末に比べ、6百万円増加し、7億77百万円となりました。これは主として、評価・換算差額等が2百万円減少しましたが、利益剰余金が9百万円増加したことによります。
②キャッシュ・フローの状況
第2 事業の状況 1「経営成績等の概要」 (2) キャッシュ・フローの記載内容と同様であります。
当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
|
平成28年 11月期 |
平成29年 11月期 |
平成30年 11月期 |
令和元年 11月期 |
自己資本比率(%) |
25.3 |
20.1 |
20.4 |
23.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
36.3 |
51.7 |
33.5 |
28.4 |
債務償還年数(年) |
- |
3.8 |
2.8 |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
17.7 |
24.2 |
- |
(注)自己資本比率:純資産/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.いずれも単独ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値(930円)×期末発行済株式総数により算出しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いはキャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
(3)経営成績の分析
当社売上高につきましては、当社の主製品である油圧プレス機が、形状、能力、機能のほか、納期、一台当たり金額もそれぞれ異なる個別受注生産でありますので、月単位での売上は一定しておらず、季節的変動によるものでもなく、納期的、金額的なバラツキにより売上の変動が大きく、また、当社製品が大型機械ゆえ、設計・生産着手から納品・据付まで平均して1年程度を要するため、受注から売上計上まで相当期間のズレが生じてしまうのが当社事業の特性であります。なお、一部請負工事物件につきましては、工事進行基準を適用して売上処理を行っております。
このような事業の特性を持つ当社におきまして、当第119期における売上高につきましては、大型物件2台の工事進捗による売上が貢献し、前期実績(22億35百万円)及び目標金額22億円と同水準の22億48百万円の売上を計上することができました。
利益状況につきましては、引き続き原価低減や経費全般に亘る節減に努めているものの、想定外の追加費用及び人件費等固定費の増加が見られ、営業利益23百万円・経常利益44百万円・当期純利益34百万円となり共に前期を下回る金額となりました。
受注状況につきましては、当期の受注高は、米中摩擦等景気の先行き不安を背景に設備投資に対する慎重さが一段と強まる傾向にあることから、新規大型物件の受注が引き続き伸び悩んでおり、一定の引き合いはあるものの前期(51億57百万円)から9億80百万円へと後退しております。また、受注残高につきましては、前期末(39億65百万円)に比べ減少しておりますが、令和5年納期予定の大型機械工事物件19億6百万円(前期受注物件)により26億97百万円の大台を確保できており、今後の売上増加に期待しているところでございます。現在、一部企業の受注成約の足踏み傾向が見られていますが、交渉中である高額な引き合い物件を軸に成約に向け努力し、一層の受注増加・売上増加に期待をかけているところでございます。
お知らせ