経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出の増加や供給制約の緩和を背景に、新型コロナウイルス感染拡大の影響により下押しされてきた景気の回復傾向が続き、製造業では設備投資再開の動きも見られました。世界経済は、欧州および北米においては堅調な個人消費に下支えされ景気の回復が持続した一方、中国においては新型コロナウイルス感染再拡大に伴う活動制限の強化などにより景気が低迷しました。また、ロシアのウクライナ侵攻による世界経済への影響は先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のなかで、当グループは、『お客様に感動を!』のコーポレートスローガンのもと、ロボット技術を軸に時代を捉え未来を切り拓いていくことを成長戦略の基本とし、変革にチャレンジしてまいりました。来たるべき未来を見据えた魅力ある製品の開発に取り組み、主力の電子部品実装ロボットの分野ではハイエンドモデル「NXTR」の市場投入を推し進め、さらに、がれき類に含まれる異物の自動除去を行うリサイクル分別ロボットの実証実験を2021年9月より開始するなど、社会的課題解決に向けた新規事業の創出にも積極的に取り組んでおります。また、工作機械の分野では販売力強化のため、加工現場における課題解決の光明となる多数の実機と魅力的なソリューションを取り揃えたショールームを新たに豊田事業所に開設しました。そのほか、ものづくりの効率化や原価改善に努めるとともに、ニューノーマル時代を踏まえたDXを積極的に取り入れることでペーパーレス化やWEB会議、テレワークの推進をはじめとする業務改革により固定費の一層の削減などに取り組み、収益性の向上を目指してまいりました。
当グループの当連結会計年度の経営成績は、ロボットソリューションセグメント、マシンツールセグメント共に増収となり、売上高は148,128百万円と、前連結会計年度と比べて11,966百万円(8.8%)増加しました。
海外売上高は、車載関連を中心とする欧米市場が伸長したため、131,884百万円と、前連結会計年度と比べて9,377百万円(7.7%)増加しました。売上高に占める海外売上高の割合は89.0%(中国47.7%、他アジア17.6%、欧州9.9%、米国9.0%、その他4.8%)と、前連結会計年度と比べて1.0ポイント下降しました。国内売上高は、ロボットソリューションセグメントにおいて産業用機器向け設備が堅調に推移したため、前連結会計年度と比べて2,589百万円(19.0%)増加し16,244百万円となりました。
営業利益は28,472百万円と、前連結会計年度に比べて6,568百万円(30.0%)増加し、経常利益は29,943百万円と、前連結会計年度に比べて6,718百万円(28.9%)増加しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて4,020百万円(23.4%)増加し、21,188百万円となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益は219円70銭と、前連結会計年度の184円26銭から35円44銭増加しました。
また、自己資本利益率(ROE)は10.5%となり、前連結会計年度に比べて1.0ポイント上昇しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
ロボットソリューション
売上高は136,863百万円と、前連結会計年度と比べて11,293百万円(9.0%)増加しました。スマートフォンをはじめとする通信機器関連、サーバー等の継続的な設備投資に加え、車載関連を中心とする欧米市場の伸長、さらにはこれら電子機器製造に欠かせない電子部品生産用の設備需要の増加を背景に順調に推移しました。また、事業活動としては、DXを積極的に取り入れることで生産の効率化や利益率向上に努めるとともに、ソリューション営業の推進によりマーケットシェアの拡大に取り組んでまいりました。
営業利益は、32,617百万円となり、前連結会計年度と比べて6,310百万円(24.0%)増加しました。
セグメント資産は154,521百万円となり、前連結会計年度と比べて15,030百万円(10.8%)増加しました。これは主に、生産増、売上増により棚卸資産が増加したことやフジ マシン アジア プライベート リミテッドの完全子会社化に伴い資産が増加したことなどによるものであります。
当年度は中期経営計画の1年目であり、最終目標の達成に向けて順調に推移しております。今後、DXの加速によるデジタル製品の需要増が見込まれる中で、進行中の中期経営計画を軸に、引き続きマーケットシェア拡大に取り組んでまいります。
マシンツール
売上高は8,106百万円と、前連結会計年度と比べて239百万円(3.0%)増加しました。これは、日本国内市場では主力顧客である自動車関連向けの設備投資に対し慎重な姿勢が続いた一方、北米市場における売上が改善の兆しを見せ回復基調が見られたことによるものであります。
営業損益は852百万円の損失(前期:営業損失1,324百万円)となりました。
セグメント資産は、16,465百万円となり、前連結会計年度と比べて3,486百万円(26.9%)増加しました。これは主に、生産増により棚卸資産が増加したことなどによるものであります。
中期経営計画につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による影響のため、引き続き営業損失となっておりますが、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による市場の動向も注視しつつ、販売・開発・生産が一体感を持ってビジネスモデルの構築を図り、目標達成に向けて革新的成長を目指してまいります。
その他
制御機器製造、電子機器製造、画像処理開発等のその他事業の売上高は3,159百万円となり、前連結会計年度と比べて433百万円(15.9%)増加しました。また、営業利益は68百万円(前期:営業損失3百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は165,978百万円となり、前連結会計年度末から22,118百万円増加しました。これは主に、棚卸資産が13,169百万円、有価証券が5,821百万円、受取手形及び売掛金が2,598百万円増加したことによるものであります。固定資産は77,331百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,479百万円減少しました。これは主に、株価下落により投資有価証券が8,076百万円減少した一方で、岡崎工場立体駐車場増築工事などにより有形固定資産1,995百万円増加のほか、繰延税金資産が1,140百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は、243,310百万円となり、前連結会計年度末から18,639百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は33,037百万円となり、前連結会計年度末から5,757百万円増加しました。これは主に、前受金が1,629百万円、設備関係支払手形が1,140百万円(いずれも流動負債のその他に含みます)、支払手形及び買掛金が1,438百万円、未払法人税等が1,099百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は1,490百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,344百万円減少しました。これは主に繰延税金負債が1,457百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、34,527百万円となり、前連結会計年度末から4,413百万円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は208,782百万円となり、前連結会計年度末から14,226百万円増加しました。これは主に、配当金の支払により利益剰余金が6,268百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が21,188百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は85.8%(前連結会計年度末は86.5%)となりました。1株当たり純資産額は2,163円55銭(前連結会計年度末は2,014円41銭)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ850百万円減少し59,538百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,720百万円の収入(前期:30,870百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30,101百万円や減価償却費8,045百万円などのプラス要因が、棚卸資産の増加額9,886百万円や法人税等の支払額9,245百万円などのマイナス要因を上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、11,598百万円の支出(前期:10,471百万円の支出)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出10,191百万円などによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、6,513百万円の支出(前期:4,577百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額6,269百万円などによるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料及び部品の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また運転資金、戦略投資資金及び設備投資資金は内部留保金を充当することを基本方針とし、将来の成長に向けた周辺事業、新規事業への戦略的投資や設備投資のために一定水準の内部留保を維持してまいります。一方、必要に応じて借入れによる資金調達も検討してまいります。重要な資本的支出及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
なお、当社は、資金需要に対する機動性・安全性の確保及び財務リスクの低減を図るため、主要取引金融機関と総額120億円の特定融資枠契約を締結しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
ロボットソリューション |
147,050 |
14.2 |
マシンツール |
10,215 |
30.6 |
報告セグメント計 |
157,265 |
15.1 |
その他 |
3,550 |
35.6 |
合計 |
160,815 |
15.5 |
(注) 金額は販売価格によっております。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
ロボットソリューション |
149,860 |
6.2 |
57,298 |
36.2 |
マシンツール |
10,064 |
61.8 |
5,644 |
53.1 |
報告セグメント計 |
159,925 |
8.5 |
62,943 |
37.6 |
その他 |
3,547 |
32.8 |
649 |
149.2 |
合計 |
163,473 |
9.0 |
63,592 |
38.2 |
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
ロボットソリューション |
136,863 |
9.0 |
マシンツール |
8,106 |
3.0 |
報告セグメント計 |
144,969 |
8.6 |
その他 |
3,159 |
15.9 |
合計 |
148,128 |
8.8 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
アメリカンテック カンパニー リミテッド(中国) |
25,718 |
18.9 |
24,447 |
16.5 |
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