当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行による深刻な景気後退から官民が一体となり、段階的な経済活動の再開やワクチン接種の普及によって回復傾向にあるものの、ウクライナ問題による地政学的リスクの発生、半導体部品を始めとする一部の製造部品の不足など、生産活動への悪影響が顕在化しており、先行きが不透明なまま推移しました。
このような状況の下、当社グループは「お客様視点のものづくり」を基本原点に、新製品開発の促進、提案営業の展開、保守サービスの充実、付加価値の改善等に取り組み、当連結会計年度の課題では新しいタケダをアピールしようとコーポレートロゴの商標変更、新製品のブランディング活動を展開し、製造納期の長期化、収益の改善では内製化と生産性の向上で対応しようと注力してまいりました。当該感染症の影響は第49期(2020年5月期)の第4四半期から続き、展示会の中止による商機の消失、お客様の機械稼働の低下といった状況から立ち直りつつあるものの、当連結会計年度から新たに鋼材価格の高騰、部品納期の長期化といった影響を受け、予断を許さない事業環境は継続しております。
当連結会計年度の売上高は4,444百万円(前年同期比27.0%増)、営業利益は373百万円(前年同期比263.0%増)、経常利益は409百万円(前年同期比129.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は260百万円(前年同期比119.3%増)となりました。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用による影響は、売上高は12百万円、営業利益は12百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は0百万円減少しております。
① 品目別売上高の概況
1) 形鋼加工機シリーズ
継続する新型コロナウイルス感染症、鋼材等の原材料価格の高騰による影響からホテル、オフィス等の中小物件の建設は延期又は中止により落ち込みましたが、都市部を中心とした鋼構造物プロジェクトや物流倉庫、データセンター等の建設は堅調に推移し、売上高は2,927百万円(前年同期比39.7%増)となりました。
2) 丸鋸切断機シリーズ
鋼材加工業界は生産活動を持ち直したものの、自動車関連業界は半導体部品の不足による生産調整を受けて設備投資が低調に推移し、売上高は338百万円(前年同期比7.0%減)となりました。
3) 金型シリーズ
形鋼加工機に付帯する金型の出荷の増加やお客様の機械稼働の改善による金型単体の需要増加を受け、売上高は401百万円(前年同期比14.0%増)となりました。
4) 受託事業・その他
工作機械の生産環境が回復したことに加え、設備を増強したことが功を奏し、子会社のタケダ精機株式会社の売上高が178百万円(前年同期比36.5%増)となったことから、売上高は183百万円(前年同期比30.1%増)となりました。
5) 部品・サービス
お客様の機械稼働が改善したことに加え、迅速な対応で「お客様満足度の向上」を図るようサービス活動を展開し、売上高は593百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
なお、部品の売上高は504百万円(前年同期比10.9%増)、サービスの売上高は88百万円(前年同期比3.5%減)となっております。
② 当連結会計年度の課題における活動の概況
当連結会計年度に掲げる経営課題に対する活動の概況は、以下のとおりであります。
1) 新製品の開発及
ドリル孔あけ(穴あけ)&丸鋸切断複合機「CBF-3015Ⅱ-M」の販売を開始しました。その特長は従前の既存機にはない長孔や大径孔の加工を可能とするミーリング加工機能が追加され、新たな販路を広げることが可能となりました。また、安全面に配慮し、リニューアルしたユニットワーカー「UWD-45/70Ⅲ」の販売を開始しました。この結果、課題である年間2機種の新製品を市場に供給することができました。
2) 海外売上高の拡大
新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限等は緩和されましたが、当連結会計年度の海外売上高は108百万円(売上高比率2.4%)となり、前連結会計年度の85百万円(売上高比率2.5%)と比べ、売上高は微増、売上高比率は微減しております。
3) ブランディング活動の強化
50周年を区切りとした企業ロゴの刷新や1)項に記載の新製品に対する新しい外観デザインの採用のほか、新卒採用ホームページの更新による採用活動への注力など、新しいタケダをアピールするよう幅広く展開しました。
4) 付加価値の向上
ICT技術の活用に対する取組みを継続し、生産活動への活用や基幹システムのプログラム変更などの業務改善に取り組みました。このほか、1)項に記載のドリル孔あけ(穴あけ)&丸鋸切断複合機「CBF-3015Ⅱ-M」にはIoTリモート機能を搭載するなど、お客様が求める機能、サービスの充実に活用しました。
5) 人材育成の強化
役員研修、新任管理職研修、技能検定などの研修の受講や資格の取得を推進し、継続して人材育成の強化に取り組みました。
6) 企業価値の向上
東京証券取引市場における市場区分の見直しに当たり、その市場区分をJASDAQ(スタンダード)からスタンダード市場への移行を選択し、移行後の市場区分に求められる企業体制となるよう基本原則以外のコーポレートガバナンス・コードへの対応、新たな上場維持基準への対応など、企業体制の見直し及び整備を行いました。また、当連結会計年度中のESGに対する取組みとして、自然環境への配慮と事業活動との両立を踏まえ、本社及び工場で使用する電力の見直しについて検討しました。
③ 当連結会計年度の目標とする経営指標と実績数値との分析
当連結会計年度における事業計画数値と実績数値との分析は、次のとおりであります。
2022年5月期における当社グループの事業計画は都市部を中心としたインフラ投資の再開、国土強靭化基本計画などの継続する内需によって底堅く推移するとしており、当連結会計年度における事業状況は(1)項に記載する経営成績のとおりとなりました。事業計画数値と実績数値との分析として、経済対策や雇用対策の後押しによる影響から想定に対して事業環境が改善し、売上高の増加や操業状況の持ち直し、雇用助成金による営業外収益が伸びたことなどから、実績数値は計画数値を上回る結果となりました。
④ 各段階利益の概況
1) 売上総利益及び営業利益
当連結会計年度における当社グループの取組みとして、仕入価格の低減、経費削減、業務の効率化といった付加価値の向上に努め、売上高は前年同期に対し944百万円増加(前年同期比27.0%増)の4,444百万円となり、売上総利益、営業利益に影響を与えておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業活動全体が停滞していた前年度からの回復基調とともに、事業活動は段階的にニュートラルな状態に戻し始め、売上利益率は第49期の29.1%、第48期の30.3%の頃の水準に寄り戻しております。
この結果、売上総利益は前年同期に対して381百万円増加(前年同期比41.2%増)の1,305百万円、売上総利益率は前年同期に対して3.0%増加の29.4%(前年同期は26.4%)、営業利益は前年同期に対して270百万円増加(前年同期比263.0%増)の373百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費は、前年同期に対して110百万円増加(前年同期比13.5%増)の932百万円となりました。これは、主に賞与引当金繰入額が26百万円、製品保証引当金繰入額が9百万円、役員賞与引当金繰入額が8百万円のほか、売上高の増加に伴う荷造運搬費等の変動費が増加したこと等によるものであります。
2) 経常利益
経常利益は、前年同期に対して230百万円増加(前年同期比129.6%増)の409百万円となりました。これは、主に営業利益が270百万円増加したこと、助成金収入が40百万円減少したこと等によるものであります。
3) 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に対して141百万円増加(前年同期比119.3%増)の260百万円となりました。これは、主に経常利益が230百万円、法人税等合計が82百万円増加したこと等によるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における品目別生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社グループは見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産の残高は6,739百万円となり、前連結会計年度末に比べ387百万円増加しております。
これは、主に現金及び預金が546百万円、機械装置及び運搬具が53百万円増加したこと、受取手形及び売掛金(当連結会計年度は受取手形と売掛金を合算しております。)が115百万円、リース資産(無形固定資産のリース資産を含む。)が36百万円、建物及び構築物が22百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債の残高は2,420百万円となり、前連結会計年度末に比べ139百万円増加しております。
これは、主に長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が200百万円、未払法人税等が140百万円、支払手形及び買掛金が105百万円、賞与引当金が32百万円増加したこと、短期借入金が400百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は4,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ247百万円増加しております。
これは、主に利益剰余金が232百万円、その他有価証券評価差額金が15百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は872百万円となり、前連結会計年度末に比べ605百万円増加しております。
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は991百万円となりました(前年同期は138百万円の支出)。
これは、主に減価償却費が214百万円(前年同期は216百万円)、仕入債務が107百万円の増加(前年同期は145百万円の減少)、売上債権が113百万円の減少(前年同期は80百万円の増加)、賞与引当金が32百万円の増加(前年同期は26百万円の減少)、税金等調整前当期純利益が408百万円(前年同期は184百万円)等によるものであります。
当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は63百万円となりました(前年同期は8百万円の獲得)。これは、主に有形固定資産の取得による支出が105百万円(前年同期は22百万円)、定期預金の支出入が59百万円の収入(前年同期は95百万円の収入)等によるものであります。
当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は321百万円となりました(前年同期は67百万円の支出)。
これは、主に短期借入金の支出入が400百万円の支出(前年同期は450百万円の収入)、長期借入金の支出入が200百万円の収入(前年同期は354百万円の支出)、リース債務の返済による支出が94百万円(前年同期は89百万円)、配当金の支払額が27百万円(前年同期は72百万円)等によるものであります。
当社グループは、資金の流動性を高めるフリー・キャッシュ・フロー(注)を創出し、株主様に対する利益還元の原資の確保を図り、手許資金を将来の成長投資に充当してまいります。
将来の成長投資として、短期には製品開発、販売用ソフトウェア、老朽化設備の更新、生産設備の増強等に、中長期には大型の生産設備、建物の更新等に投資するよう考えております。
資金調達については、「第1 企業の概況、3 事業の内容」に記載する事業の運転資金として、銀行借入を基本方針としておりますが、設備投資には利便性やコスト等を勘案してリースによる資金調達を行うほか、大型の生産設備、建物の更新等に投資する場合には増資、社債の発行を検討することもあります。
資金調達に係る流動性リスクの管理については、適時に資金繰計画を作成、更新するとともに、手許資金の流動性の維持等によって流動性リスクを管理しております。
また、資金運用については、短期的な預金等に限定しております。
当連結会計年度末の現金及び預金は1,335百万円であり、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)及びリース債務(流動負債のリース債務を含む。)の総額は1,446百万円であります。
当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは927百万円の獲得となり、前連結会計年度に比べ1,058百万円増加となりました(前連結会計年度は130百万円の支出)。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算して算出したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なもの及び新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りは、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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