業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果やワクチン接種の進展等による経済活動の再開から、輸出や設備投資は回復基調となった一方で、感染力の強い新たな変異ウイルスの出現による断続的な感染拡大に加え、ウクライナ情勢の緊迫化、原油価格や物価の高騰など、依然として先行きが不透明な状況で推移しました。

当社グループの主力分野である工作機械業界は、2021年度の業界受注総額が1兆6,675億円(前年同期比68.7%増)となり、外需では2017年度を上回る過去最高受注額1兆1,012億円を記録するなど、好調な受注水準となる一方で、部品不足、原材料価格及び物流コストの高騰等による生産や出荷への影響が継続しました。

当社グループの経営成績を示すと、次のとおりであります。

① 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費及び営業損益

当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ32億87百万円増加し167億20百万円となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ18億69百万円増加し124億42百万円となりました。これは売上高の増加に伴うものであり、これにより売上高に対する比率は74.4%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3億30百万円増加し31億84百万円となりました。これは主に給料及び手当の増加によるものであり、売上高に対する比率は19.0%となりました。

また、研究開発費は前連結会計年度に比べ9百万円増加1億49百万円となり、売上高に対する比率は0.9%となりました。開発部門は研究開発費の効率化をはかりながら、各部門と緊密な連携を取り、当社グループの戦略製品開発や技術開発を行っております。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ10億87百万円増加し10億93百万円となり、営業利益率は6.5%となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という)等の適用により、売上高及び売上原価はそれぞれ4億24百万円減少しておりますが、利益に対する影響はありません。

 

② 営業外損益及び経常損益

営業外収益は、前連結会計年度に比べ1億39百万円減少し、91百万円となりました。これは主に為替差益が増加したものの、助成金収入が減少したことによるものです。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ1百万円増加し、4百万円となりました。これは主に保険解約損が増加したことによるものです。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ9億46百万円増加し、11億80百万円となりました。

 

③ 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益及びROE

特別利益は、0百万円と前連結会計年度に比べ10百万円の減少となりました。これは主に新株予約権戻入益が減少したことによるものです。

特別損失は、27百万円と前連結会計年度に比べ27百万円の増加となりました。これは主に減損損失が増加したことによるものです。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億95百万円(前年同期は1億15百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。また、1株当たり当期純利益は73.03円、ROEは5.0%となりました。

 

④ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 及び (4)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

 

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

① 工作機械事業

当連結会計年度の経営成績は、受注高が133億21百万円(前年同期比98.0%増)、受注残高が60億64百万円(同13.9%増)、売上高が148億34百万円(同33.5%増)、営業利益が9億90百万円(前年同期は1億50百万円の営業損失)となりました。

受注高は、経済活動の再開により、内需、外需ともに需要の回復が鮮明となり、年間を通して回復基調で推移しました。地域別内訳は、国内向け及び北米向けが大きく増加した結果、内需が81億18百万円(前年同期比64.5%増)、外需が52億2百万円(同190.2%増)となりました。

売上高の地域別内訳は、国内向け、アジア向け及びヨーロッパ向けが大きく増加した結果、内需が98億74百万円(同25.1%増)、外需が49億60百万円(同54.3%増)、外需比率が33.4%(前年同期は28.9%)となりました。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したものの、工作機械需要が回復基調で推移し、当社の主力受注先である自動車関係で投資意欲が高まる中、受注の回復を最優先課題として、リアルとデジタルの両面での営業活動に注力しました。

新規感染者数が減少し、経済活動が活発化した際には、コロナ禍の行動制限により訪問ができていなかったお客様や新規取引先へのリアルの営業活動を強化したほか、名古屋で開催されたMECT2021やイタリアのEMO2021など、国内外の展示会に出展しました。

また、自動車関係以外の業種に積極的な営業活動を行った結果、建機、半導体、船舶及び農機向けなどにおいて、当社とは従来取引の無かったお客様からも受注をいただくことができました。

デジタルを活用した営業活動として、オンラインによる加工相談の実施やメールによる定期的な情報提供を継続したほか、YouTube公式チャンネルによる新機種紹介や加工技術紹介、当社HPにおける製品技術の特設ページやユニークなコラムページの開設、FacebookやInstagramの活用など、お客様との接点の強化に努めました。海外では特に、各地域に適したデジタル販促資料の充実に取り組みました。

生産面では、不足が懸念される部品について、仕入先との情報共有の強化、先行調達、代替品の活用などを実施し、安定生産に努めました。なお、原材料価格の高騰に対して、原価低減活動を進めるとともに、機械本体や各種オプション等の販売価格の改定を行いました。

製品面では、市場ニーズ・ユーザニーズに応える新製品開発に取り組み、3つの縦型旋盤を1台に集約し生産性アップを実現した「XV-3」や、多関節ロボットとトレーチェンジャをワンパッケージにした自動化システム「ServoROT-01」を販売開始したほか、IoTやAI等のデジタル技術を活用する研究開発の取り組みを推進してきました。

設備投資面では、当社の企業価値向上のために建設を進めておりました「あさひ工場」が、2022年4月4日に操業を開始しました。更なる飛躍を目指し、増産体制の確立を進めていきます。

 

② IT関連製造装置事業

当連結会計年度の経営成績は、売上高は15億87百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益が1億30百万円(同28.7%減)となりました。

部品不足の影響を受けたものの、半導体関係において旺盛なリピート受注があったため、売上高は堅調に推移しました。

一方で、製品構成比及び材料費高騰の影響により、営業利益は減少しました。

 

③ 自動車部品加工事業

当連結会計年度の経営成績は、売上高は2億98百万円(前年同期比56.7%減)、営業損失が29百万円(前年同期は21百万円の営業損失)となりました。

自動車部品の需要回復により、年度当初は当社の業績も回復基調にありましたが、第2四半期から年度末にかけて、半導体不足等による取引先の減産の影響が継続したため、生産高や利益を押し下げました。

なお、当連結会計年度より「収益認識会計基準」等を適用したため、売上高及び売上原価が4億24百万円減少しておりますが、利益に対する影響はありません。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

金額(百万円)

前年同期比(%)

工作機械事業

1,080

10,601

+41.1

IT関連製造装置事業

自動車部品加工事業

合計

1,080

10,601

+41.1

 

(注) 工作機械事業におきましては、旋盤に限定して表示しております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

台数
(台)

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

台数
(台)

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

工作機械事業

1,585

13,321

+98.0

597

6,064

+13.9

IT関連製造装置事業

自動車部品加工事業

合計

1,585

13,321

+98.0

597

6,064

+13.9

 

(注) 工作機械事業におきましては、旋盤・改造機に限定して表示しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

金額(百万円)

前年同期比(%)

工作機械事業

(487)

(4,960)

(+54.3)

1,478

14,834

+33.5

IT関連製造装置事業

1,587

△3.0

自動車部品加工事業

()

(40)

(+56.0)

298

△56.7

合計

(487)

(5,001)

(+54.3)

1,478

16,720

+24.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 ( )内の数字は海外販売台数及び海外販売高であり、内数であります。

3 最近2連結会計年度における主要な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

山下機械株式会社

1,640

12.2

2,302

13.8

ユアサ商事株式会社

1,980

11.8

 

4 前連結会計年度のユアサ商事株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は253億63百万円前連結会計年度末に比べ38億円の増加となりました。

区分別にみますと、流動資産は161億67百万円となり、前連結会計年度末に比べて11億61百万円増加しました。その主な要因としては、現金及び預金が7億1百万円減少したものの、電子記録債権が8億12百万円、売掛金が5億84百万円、流動資産のその他(未収消費税等)が4億51百万円増加したことによるものです。

固定資産は91億95百万円となり、前連結会計年度末に比べて26億39百万円増加しました。その主な要因としては、建設仮勘定が2億36百万円減少したものの、建物及び構築物(純額)が27億46百万円増加したことによるものです。

次に当連結会計年度末の負債は90億62百万円前連結会計年度末に比べて30億2百万円の増加となりました。

区分別にみますと、流動負債は80億69百万円となり、前連結会計年度末に比べて31億55百万円増加しました。その主な要因としては、流動負債のその他(未払消費税等)が1億29百万円減少したものの、営業外電子記録債務が18億2百万円、電子記録債務が10億15百万円、未払法人税等が1億83百万円、支払手形及び買掛金が1億81百万円増加したことによるものです。

固定負債は9億92百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億53百万円減少しました。その主な要因としては、退職給付に係る負債が68百万円、長期借入金が50百万円減少したことによるものです。

当連結会計年度末の純資産は163億1百万円前連結会計年度末に比べて7億98百万円の増加となりました。その主な要因としては、利益剰余金が6億86百万円、為替換算調整勘定が1億67百万円増加したことによるものです。なお、自己資本比率は64.3%となりました。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

① 工作機械事業

工作機械事業の総資産は180億3百万円で前連結会計年度末に比べて48億78百万円の増加となりました。その主な要因としては、売上債権及び有形固定資産の増加によるものです。

 

② IT関連製造装置事業

IT関連製造装置事業の総資産は14億95百万円で前連結会計年度末に比べて56百万円の増加となりました。その主な要因としては、仕掛品の増加によるものです。

 

③ 自動車部品加工事業

自動車部品加工事業の総資産は5億62百万円で前連結会計年度末に比べて19百万円の減少となりました。その主な要因としては、有形固定資産の減少によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 営業活動によるキャッシュ・フローは、8億25百万円の資金流入(前連結会計年度は16億82百万円の資金流入)となりました。その主な要因としては、売上債権の増加等があったものの、仕入債務の増加や税金等調整前当期純利益の計上等があったことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フローは、14億20百万円の資金流出(前連結会計年度は19百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フローは、2億43百万円の資金流出(前連結会計年度は3億66百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、配当金の支払等があったことによるものです。

 

これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は7億87百万円の減少(前連結会計年度は12億79百万円の増加)となり、当連結会計年度末残高は37億46百万円(前連結会計年度末残高は45億34百万円)となりました。

 

当社グループの事業活動に必要な資金については、営業活動から得たキャッシュ・フローによることを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、資金調達に際しては、低コストかつ中長期にわたる安定的な資金の確保を重視して取り組んでおります。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は60億56百万円、また借入金は短期、長期あわせて9億76百万円であります。当社グループは、取引先金融機関との現在の健全かつ緊密な関係を維持していくことで、当社グループが将来必要とする運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得