業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績

 前連結会計年度から継続する新型コロナウイルス感染症の拡大は当社事業にも様々な影響を及ぼしました。特にファイナンス事業においては、旅行・ホテル関連やイベント関連決済の需要が大幅に減少、その影響は当連結会計年度においても継続しております。一方、同事業のパッケージ・ソリューション及び信用ビジネスが好調に拡大しており、当社グループの成長の基軸となっております。感染症拡大を契機とした社会の変化は新たな顧客ニーズを開拓する機会と捉え、既存サービスの刷新を含め、積極的な事業展開を継続してまいります。

 なお、中期経営計画の実現に向けた事業ポートフォリオ見直しの一環として、第3四半期連結会計期間において持分法適用関連会社である株式会社pringの株式譲渡を完了し、関係会社株式売却益として3,520百万円を計上いたしました。また、中華圏事業の持株会社であるMetaps Entertainment Limitedの株式譲渡及び韓国子会社であるMafin Inc.の株式譲渡の決定に伴い、海外セグメントを非継続事業に分類し、報告セグメントから除外いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,739百万円(前年同期比14.3%増)、営業利益3,281百万円(前連結会計年度は営業損失563百万円)、税引前利益3,259百万円(前連結会計年度は税引前損失590百万円)、当期利益4,106百万円(前連結会計年度は当期損失162百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益4,054百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失108百万円)となりました。

 

 セグメントの概況は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較においては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値を用いて比較しております。

 

 各報告セグメントの主な会社は、以下のとおりです。

セグメント名称

主な会社

ファイナンス

 

 株式会社メタップスペイメント

 

マーケティング

 

 株式会社メタップスワン

 

 

① ファイナンス

 法人企業向けの決済事業の他、成長著しいフィンテックの分野において、給与即時払いサービス「CRIA(クリア)」を中心とする信用ビジネスや、スクール・定額制サービス向けの業務管理ツール「会費ペイ」などのパッケージ・ソリューションサービスを含め、様々な新規サービスを展開しております。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大・長期化する中、旅行代理店やホテル、イベント関連の決済代行サービスの一部において需要低迷が継続したものの、パッケージ・ソリューションサービスや信用ビジネスの成長が寄与し、事業全体は堅調に推移いたしました。

 この結果、ファイナンスにおける売上高は2,260百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は725百万円(前年同期比76.9%増)となりました。

 

② マーケティング

 国内法人企業向けにインターネット広告の運用をはじめ、データフィード等のテクノロジーを駆使した“データ×マーケティング”を軸とした包括的なマーケティング支援サービスを展開しております。

 当連結会計年度においては、ECや電子書籍関連の広告が堅調に推移したことにより売上高、利益ともに増加いたしました。

 この結果、マーケティングにおける売上高は2,803百万円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益は164百万円(前年同期比14.4%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末6,648百万円に比べ5,000百万円増加し、11,648百万円となりました。当連結会計年度における、各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,226百万円となりました。これは主に営業債権及びその他の債権の増減額△5,728百万円、並びに営業債務及びその他の債務の増減額6,913百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は5,538百万円となりました。これは主に関係会社株式の売却による収入4,139百万円及び子会社の支配喪失による増減額1,405百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は△1,261百万円となりました。これは主に短期借入金の返済による支出△889百万円によるものです。

 

(3)中期経営計画「The Road To 2025」の策定

 当社は、これまでファイナンス及びマーケティングを中心とする既存事業の拡大と、新規事業や海外展開、M&Aを積極的に推し進め、業容を拡大してまいりました。事業拡大は進んだものの、経営資源の分散が進み、中核事業以上に不確実性の高い事業に経営リソースが割かれ、事業環境の変化も影響し、前中期経営方針につきましては撤回に至りました(2020年2月14日公表)。新たな中期経営計画である「The Road To 2025」の達成に向け、経営資源と熱量を集約し、中長期で着実に利益成長が可能なストック型ビジネスへ集中投資することで、新たなステージへの転換を進めてまいります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

② 受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ファイナンス

2,260

29.3

マーケティング

2,696

22.3

その他

783

△26.7

合計

5,739

14.3

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

StockTech株式会社

1,078

18.8

3.前連結会計年度のStockTech株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を全て満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。

 その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

 のれんについては、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。

 

② 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は31,500百万円となり、前連結会計年度末の資産合計21,921百万円と比べ9,579百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が5,000百万円増加したこと、及び営業債権及びその他の債権が4,116百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は21,526百万円となり、前連結会計年度末の負債合計15,944百万円と比べ5,583百万円増加しました。これは主に、営業債務及びその他の債務が5,500百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

 当連結会計年度末の資本合計は9,974百万円となり、前連結会計年度末の資本合計5,977百万円と比べ3,997百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が4,054百万円増加したことによるものです。

 

③ 経営成績の分析

 経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループにおける事業基盤を維持し、更に強固なものにするためにも、当社及び当社子会社における継続したサービスの刷新や安定した人材確保が重要と考えており、既存事業の運転資金、システム開発のための設備投資や将来的なM&A等の資金需要があります。

 必要な資金は手元資金で賄うことを基本方針としていますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行、エクイティファイナンス等を活用しており、今後も資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討する予定です。

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 戦略的現状と見通し

 ファイナンス事業を主軸に既存サービスの機能強化を進めるのと同時に、DX支援等の新規事業の開発にも積極的に取り組んでまいります。世界中に溢れる膨大なデータを活用し、我々の生活を向上させるためのサービスやソリューションを常に業界に先駆けて生み出し、提供していくことが当社の使命と考えており、今後もデータを競争力として、デバイスの進化と共にマネタイズモデルを拡大させてまいります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めております。当社が今後も持続的に成長するためには、事業規模の拡大に合わせて人材拡充を進めると同時に、教育研修制度や定着率アップのための福利厚生制度の拡充を図る必要があると認識しております。また、事業領域の拡大に対応した内部管理体制の強化等の組織整備を進めていく方針にあります。

 

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