当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況がワクチン接種の普及拡大及び各種政策等の効果により、持ち直しの動きが継続して見られるようになりました。しかしながら、感染力の強い新たな変異株による感染拡大の影響や、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源及びエネルギー価格の高騰等による物価高、世界的な金融の引き締め等を背景とした円安の進行等から、国内景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
人材サービス業界を取り巻く環境におきましては、厚生労働省が発表した2022年9月の有効求人倍率が1.34倍と低水準の状態に加え、総務省統計局が発表した2022年9月の完全失業率の指数は2.6%と低水準に留まる等、人材需要は回復しつつも依然として新型コロナウイルス感染症の影響が継続しております。
このような経済状況のもと、当社グループの運営する「高齢化社会型人材サービス」の環境は、内閣府の2022年版高齢社会白書によりますと、当社グループで定義しておりますアクティブシニア(55歳以上の働く意欲のある人)の労働力人口は、2021年度の推計で2,134万人(前年対比0.4%増)、総労働力人口の30.9%を占めております。アクティブシニアの労働力人口は年々増加傾向にあり、当社グループの事業領域も拡大していくことが見込まれます。
このような経営環境の中、当社は継続的な企業価値の向上を実現すべく、既存事業の継続成長及び中長期での業績向上を目的とした新たな取り組みを実施してまいりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は前年同期比2,153,618千円(15.2%)増収の16,338,109千円、営業利益は、125,507千円減益の356,181千円、経常利益は、116,417千円減益の366,031千円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比126,698千円増益の195,610千円となりました。
なお、当社グループは「高齢化社会型人材サービス」の単一セグメントでありますが、事業別の業績を示すと以下のとおりであります。
シニアワーク事業は、主にコールセンター、公共機関における事務作業を行うホワイトカラー職種とビルメンテナンス、ベッドメイキング、ロジスティックスなどの身体的な作業を行うブルーカラー職種との2つの分野においてアクティブシニアの人材派遣、人材紹介及び業務請負を行っております。新型コロナウイルス感染症の影響が継続していることもあり、シニアワーク事業内における販売費及び一般管理費を圧縮し、利益率の改善に努めました。新型コロナウイルス感染症の影響も勘案し、引き続き取扱い職種の開拓及び新たな働き方の提案が課題であると認識しており、シニア活用コンサルタントの採用育成の強化を図って参りました。
この結果、シニアワーク事業の売上高は4,390,841千円(前年同期比12.5%増)となりました。
シニアケア事業は、主に介護施設に対して、看護師や介護士等の有資格者の人材派遣、人材紹介及び紹介予定派遣を行っております。本事業においては、人手不足に悩む全国の介護施設への人材供給を行うべく積極的な支店開設を基本方針としており、この方針に則り、2022年8月に松山支店を開設するとともに、既存支店においては、業績拡大を目的に、既存支店の中での担当地域の細分化による営業活動の深堀、自社求人サイト内のコンテンツを拡充させるとともに、登録スタッフ増加のための広告宣伝の強化、従業員採用の強化を図って参りました。2022年3月には、HRテック事業を展開する子会社を設立いたしました。
また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の為の看護師の派遣案件を受注するなど柔軟に対応して参りました。
この結果、シニアケア事業の売上高は11,947,268千円(前年同期比16.2%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、現金及び預金が増加したものの、売掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して94,072千円増加し、4,925,630千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、未払費用などが増加したものの、未払法人税等、賞与引当金、流動負債のその他などが減少したことにより、前連結会計年度末と比較して158,340千円減少し、3,280,881千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比較して252,412千円増加し、1,644,749千円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の27.0%から30.5%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ616,024千円増加し、2,228,724千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は938,025千円(前年同期は206,099千円の支出)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益362,851千円の計上、減価償却費51,381千円の計上、売上債権の減少645,875千円、未払費用の増加69,788千円、未払消費税等の増加15,295千円が生じた一方で、法人税等の支払額296,091千円が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は312,197千円(前年同期は58,416千円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出が213,806千円、無形固定資産の取得による支出が22,545千円、差入保証金の回収による収入が2,772千円、差入保証金の差入による支出が70,786千円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は9,803千円(前年同期は289,650千円の収入)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出11,796千円があった一方で、非支配株主からの払込みによる収入2,000千円が生じたことによるものであります。
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は、高齢化社会型人材サービスを営んでおり、提供するサービスの関係上、受注状況の記載になじまないため記載しておりません。
当連結会計年度の販売実績を事業別に示しますと、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
減損損失の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載のとおりです。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の課税所得や実現可能性の高いタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。業績の変動等により、将来の課税所得やタックス・プランニングに変更が生じた場合は、繰延税金資産が増加または減少する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度における財務状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 財政状態」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2,153,618千円増加し、16,338,109千円(前年同期比15.2%増)と増収になりました。これはシニアケア事業における新型コロナウイルスのワクチン接種関連の受注増加などによるものであります。
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ381,834千円増加し、3,633,314千円(前年同期比11.7%増)と増益となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ507,341千円増加し、3,277,132千円(前年同期比18.3%増)に増加いたしました。これは主に、事業規模の拡大に伴う人件費の増加及び派遣スタッフの募集の効率化を目的としたサイト構築によるものであります。
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ125,507千円減少し、356,181千円(前年同期比26.1%減)と減益となりました。
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ116,417千円減少し、366,031千円(前年同期比24.1%減)と減益となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ126,698千円増加し、195,610千円(前年同期比183.9%増)と増益となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、派遣スタッフの人件費のほか販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給与、宣伝広告費、地代家賃等であります。
また、今後の更なる成長の為に、新規出店の加速、設備投資、M&A等に取り組む方針です。これらの資金需要は自己資金により充当する事が基本方針でありますが、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおり、事業の許認可と法的規制、社会保険料の負担、自然災害及びシステム障害、新型コロナウイルス感染症等、様々なものがあると認識しております。そのため、当社は常に市場動向、政府の政策に留意しつつ、優秀な人材を確保、内部管理体制を強化し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社グループは、「高齢化社会のなかで、すべての人々が仕事を通じて社会に貢献し、生きがいを見つけることのできる世の中の実現を目指します。」という企業理念のもと、高齢化社会型人材サービスとして、アクティブシニアの人材派遣、人材紹介及び業務請負を行うシニアワーク事業と、主に介護施設向けの看護師等の有資格者の人材派遣、人材紹介を行うシニアケア事業に区分し、社会的な追い風を受けつつ急成長を果たしております。
シニアワーク事業については、シニア活用コンサルタントにより、さらなるアクティブシニアの就業機会の創造と有資格者のアクティブシニアの経験とノウハウを活用した人材紹介を推進することで成長を継続いたします。シニアケア事業は、需要の大きい看護師資格保有者の人材派遣及び人材紹介を継続して行うことで成長を維持しつつ、全国規模で介護施設のクライアントを開拓し、さらに市場規模が大きいと考えている介護士の人材派遣及び紹介による成長を目指します。
当社グループの高齢化社会型人材サービスは、今後も成長が見込まれますが、当社が今後も持続的に成長するためには、経営陣となるべき人材の確保、経営管理体制やコーポレート・ガバナンス体制、コンプライアンス体制の構築が最も重要な問題であると認識しています。
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