文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症は先進国を中心にワクチンが普及したことにより行動制限が緩和され、景気は一定程度回復いたしました。しかしながら、一部の地域においては未だ感染の再拡大が発生しており、物流やサプライチェーンの混乱も散見されます。また、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事進攻、これに伴う各国政府の対ロシア経済制裁等により、全体的には不透明感を増す状況となりました。
わが国経済におきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、一時の厳しい状況からは改善が進んだものの、変異株の再拡大は依然予断を許さない状況にあります。また、原油価格や原材料価格の高騰、物価の上昇や地政学リスクによる金融市場の大幅な変動等により、景気の下振れリスクが存在しており、引き続き注意が必要な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは基本経営戦略に「成長市場に対応できる新商品開発と販売体制の確立」「既存商品力の強化」「企業風土の変革とサステナブルな成長・発展」「社員満足度の向上」を掲げ、全社一丸となって製品力・サービス力の向上に取り組みました。
また、当連結会計年度の新たな取り組みとしまして、まず、経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」に採択された当社の液化水素用大口径バタフライバルブの研究開発を本格的に進めました。次に、今後の脱炭素化に向けたLNG燃料船、LNG運搬船向けの極低温用ハイパフォーマンスバタフライバルブ(以下「LNG用バルブ」)の受注活動を進め、成約に繋がったこともあり引き合いが堅調に増加しました。加えて、アメリカ船級協会(ABS)及びロイド船級協会(LR)から船舶用バタフライバルブの自主検査制度認定を取得して本格運用を開始するなど、積極的な取り組みを進めました。
一方、当社グループの国内外の販売活動につきましては、新型コロナウイルス感染症による景気後退の影響により、第2四半期連結累計期間までは受注が振るわず、売上高は低調に推移いたしましたが、その後は足元の需要が拡大し、受注は回復基調に転じました。
これらの結果、当連結会計年度末における受注高は9,350,496千円(前年同期比9.3%増)、売上高は
8,456,374
千円(前年同期比
3.5
%減)となりました。
利益面におきましては、新型コロナウイルス感染症による景気後退の影響で売上高が減少したことにより利益を押し下げました。また、販売費及び一般管理費は圧縮したものの、船舶排ガス用バルブにおける競合他社の台頭による販売単価の下落、製造経費の増加等の影響により、営業利益は
662,532
千円(前年同期比
34.4
%減)となりました。
経常利益は、営業外収益において為替差益の増加、保険解約返戻金や補助金収入の計上等がありましたが、営業利益が減益となったことや、営業外費用に特別調査関連費用を計上したこと等により、
724,912
千円(前年同期比
29.3
%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当社中国子会社の蘇州奥村閥門有限公司における地元政府からの市街地再開発による立退き要請に伴う補助金を主とする補助金収入を計上したこと等により、
850,111
千円(前年同期
13.4
%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は12,365,775千円(前年同期比3.0%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金3,480,763千円、売上債権1,939,046千円、棚卸資産2,398,895千円、有形固定資産4,022,032千円、無形固定資産190,519千円、投資その他の資産227,716千円であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は3,845,499千円(前年同期比11.1%減)となりました。主な内訳は、仕入債務998,565千円、未払法人税等262,793千円、長期借入金(1年以内返済予定含む)1,581,446千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は8,520,275千円(前年同期比10.9%増)となりました。主な内訳は、利益剰余金6,140,966千円であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は2,713,109千円(前年同期比9.1%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は993,243千円となりました。これは主に、減価償却費378,787千円、補助金収入649,834千円、仕入債務の増加133,227千円、未払又は未収消費税等の増減額118,486千円、税金等調整前当期純利益1,214,301千円等資金が増加したものの、売上債権の増加額177,018千円、未払金の減少額101,317千円、法人税等の支払額193,812千円等により資金が減少したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は237,368千円となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入92,714千円等資金が増加したものの、定期預金の預入による支出254,811千円等により資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は695,256千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出285,527千円、社債の償還による支出170,000千円、配当金の支払額180,786千円によるものであります。
受注実績、生産実績、販売実績を市場別に示すと次のとおりであります。なお、当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別に代えて市場区分別に示しております。
a 生産実績
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.製造原価を以て生産実績を示しております。
3.製造原価は、市場区分別に区別することが困難なため、全市場区分計にて示しております。
b 受注実績
(注) 当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a 経営状態
当連結会計年度における売上高は8,456,374千円、営業利益は662,532千円、経常利益は724,912千円、親会社株主に帰属する当期純利益は850,111千円となりました。
売上面は、市場区分別では陸用において、新型コロナウイルス感染拡大の影響で工事計画の中止や納期延期等が発生し、第2四半期連結累計期間まで売上高はやや低調に推移いたしましたが、その後は国内半導体工場の増産投資に伴う建築設備向けの需要増加、脱炭素社会に向けたCO2回収設備やバイオマス発電設備への需要拡大等により受注は回復基調に転じ、売上高も増加しました。舶用においては、造船向けの売上高は、新造船の発注減を受けた国内造船所のスロー建造化が続いたことに伴い、総建造数が減少した結果、低調に推移しました。一方、船舶排ガス用バルブの売上高は、販売単価下落の影響を受けたものの、環境規制対応船の建造比率の継続的な高まりを受けて堅調に推移しました。また、ガス燃料船の需要が拡大しており、LNG用バルブの引き合いが堅調に増加したことも加わり、受注高は回復に向かっております。
利益面では、新型コロナウイルス感染症による景気後退の影響で売上高が減少したことにより利益を押し下げたこと、また船舶排ガス用バルブにおける競合他社の台頭による販売単価の下落、製造経費の増加等の影響により、営業利益は減益となりました。また営業利益が減益となったことや営業外費用に特別調査関連費用を計上したこと等により経常利益も減益となりました。
営業利益及び経常利益は減益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、当社中国子会社の蘇州奥村閥門有限公司における地元政府からの市街地再開発による立退き要請に伴う補助金を主とする補助金収入を計上したこと等により増益となりました。
b 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、未収消費税等が64,086千円減少した一方、売上債権が189,067千円、棚卸資産が123,599千円、現金及び預金が409,416千円増加したこと等により、前連結会計年度末と比べ673,177千円増加し7,925,506千円となりました。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、奥村閥門(江蘇)有限公司の工場取得等により建物及び構築物が454,909千円増加した一方、機械装置及び運搬具が73,612千円減少したこと等により、前連結会計年度末と比べ313,865千円減少し、4,440,268千円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、1年内償還予定の社債が170,000千円減少した一方、未払消費税等が46,796千円増加、未払法人税等が187,070千円増加したこと等により、前連結会計年度末と比べ67,946千円増加し2,166,984千円となりました。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、長期借入金の減少176,365千円等により、前連結会計年度末と比べ547,425千円減少し、1,678,515千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が669,324千円増加したこと等により、前連結会計年度と比べ838,791千円増加し、8,520,275千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は226,075千円増加し、2,713,109千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主な収入として減価償却費378,787千円、補助金収入649,834千円、仕入債務の増加額133,227千円、未払又は未収消費税等の増減額118,486千円、税金等調整前当期純利益1,214,301千円等、支出では売上債権の増加額177,018千円、未払金の減少額101,317千円、法人税等の支払額193,812千円となり、差引993,243千円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主な収入として保険積立金の解約による収入92,714千円、支出では定期預金の預入による支出254,811千円等となり、差引237,368千円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出285,527千円、社債の償還による支出170,000千円、配当金の支払額180,786千円により合計695,256千円の支出となりました。
当社グループの必要運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入を基本としております。機動的かつ効率的な資金調達をすべく、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。
c 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、期末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を行うことが必要となります。当社グループは、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
見積り、判断及び仮定により当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は次のとおりです。
(棚卸資産)
当社グループは、将来推定される需要及び市場状況に基づく時価の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。今後の需要又は市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、期末の一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積った金額です。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の回収可能性を十分に検討した上で、回収可能額を繰延税金資産として計上しております。なお、業績の動向によっては繰延税金資産の取崩が必要となる可能性があります。
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