研究開発活動

5【研究開発活動】

(1) 研究開発活動の基本方針

当社グループは、半導体の進歩による人類と社会の発展に寄与するため、まず直接の顧客である半導体デバイスメーカー等に対して、より高性能かつ安定的な稼動や操作性の向上等を重視した装置の開発を行うとともに、産官学等との協力による効率的な研究開発活動を実施することを基本方針としております。

 また、主要顧客との密接な情報交換及び半導体技術動向の調査分析等を綿密に行うことで最先端の新製品をタイムリーに市場に投入しております。さらに、継続的な先端技術力を維持、増強するために中核的な要素技術については、中長期的な技術動向を見越した先行的な研究開発に注力しております。

(2) 研究開発活動の体制

当社の研究開発体制は、電子ビームマスク描画装置、マスク検査装置、エピタキシャル成長装置および電子ビーム検査装置の各装置群によって大別され、各技術部門を中心に研究開発を行っております。

(3) 研究開発の取り組み状況

①電子ビームマスク描画装置

 ムーアの法則に従って、これまで18か月から24か月毎にトランジスタの数が2倍になってきましたが、近年技術的困難さとビジネス的背景から、微細化の速度に鈍化がみられます。微細化によらず、デザインや機能の最適化で総合的にデバイスの性能向上を目指す工夫もなされておりますが、デバイスの省電力化・高効率化のための手段として微細化は依然として重要な位置を占めております。リソグラフィー技術を利用したLSIの製造には、より高精度のフォトマスク(回路パターンの原版)、及びそれを製造するためのより高精度の電子ビームマスク描画装置を必要とします。当社では、電子ビーム制御、精密機械設計、大容量データ処理等の様々な分野での先端技術開発力を維持するために、当社の顧客その他との共同開発や人員の増強等に積極的に取組んでおります。また、最新のリソグラフィー技術であるEUVL(Extreme Ultraviolet Lithography:極端紫外線露光)に対応したマルチビーム高速描画技術の開発も継続してまいります。

②マスク検査装置

  半導体の微細化とともに、フォトマスク上の描画パターンも微細化、複雑化が進んでおります。このため、パターン欠陥の検出精度の向上が求められており、大容量の回路パターンデータ処理技術の高度化、振動や光学収差を極限まで低減する検査画像取得技術、更にはパターンの微細化に対応する検査アルゴリズムの開発に取組んでおります。また、EUVL用マスクの検査機能開発、寸法・位置計測機能をはじめとする付加価値機能開発にも取組んでおります。

③エピタキシャル成長装置

 ハイブリッド車の電源制御用途等に代表されるように、より高耐圧のパワー半導体への期待が高まっています。”良質”なエピタキシャル結晶膜を、”高速”に成長させることが重要な課題の一つです。当社では、従来よりも膜質、膜厚均一性が良好で、かつ生産性の優れた装置の開発をターゲットとして(シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム等)エピタキシャル成長装置の研究開発活動に取組んでおります。

④電子ビーム検査装置

 当社の強みである電子ビームマスク描画装置技術とマスク検査装置技術を融合させて高い検査感度とスループットを両立させた電子ビーム検査装置を開発しております。

 主な特徴は当社独自設計の低収差のマルチビーム電子光学鏡筒を搭載し、同時に100本以上の電子ビームを試料面上に照射することで、DUV(Deep Ultraviolet:深紫外線)光では検出できなかった微細パターンの欠陥を高速に検出することができます。

 この装置開発を成功させて電子ビーム欠陥検査装置の市場に参入したいと考えております。

 

(4)研究開発費

当連結会計年度の研究開発費は、11,153,013千円を計上いたしました。

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