文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、基本理念として、以下の内容を掲げています。
1.技術は究極を目指し
2.競争と協調を尊び
3.技術注力企業として社会に貢献する
当社は、お客様が技術的に困られている部分に対して解決の手法を提供することで存在の価値を顕現してきました。技術的に困るということは一般に知られていない技術が必要であるということですから、その解決に向けては過去の手法を探すのではなく、問題の本質的な部分を検討することを特に重視して、その解決に向けて現段階で考えうる最良の技術要素を選択できることを意図しています。
一般的に解決しがたい問題は、当然当社にとっても難しい課題となりますが、社内では、時には競い合いながら、時には協力しながら課題に対峙していきます。
当社は、経済を支える“モノづくり”のなかで、モノづくりの源流である部品加工にこだわっていきます。そしてさまざまな分野で総合メーカーを支えられる企業となるために、先端技術と供給力を持つ「部品加工のリーディングカンパニー」を目指します。
(2)経営戦略等
当社は、「Innovation 2025」と称して、2023年8月期から2025年8月期を期間とする新たな中期事業計画を策定し、基本方針である「革新」をキーワードとしながら、生産手法や管理手法を革新することで永続できる企業を目指すことを目標としております。
中期事業計画の基本的な戦略は、構造的な需要増加に加え政治的な需要増加も見込まれることから、既存顧客の深堀と新規顧客の量産開始で、市場成長を超えるシェア拡大を図ってまいります。
なお、中期事業計画の策定については、当社の主な営業分野である半導体製造装置・FPD製造装置の市場環境の分析に新計画の目標と戦略を織込んだものでありますが、当中期事業計画に関する具体的な内容については2022年6月3日に開示いたしました「中期事業計画の策定及び中期事業計画説明会開催のお知らせ」をご参照ください。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中期事業計画「Innovation 2025」を通して、生産手法や管理手法の革新を計る指標として投下資本利益率であるROICを採用し重要な経営指標として位置付けており、同中期事業計画の期間中に資産ベース23%、負債ベース19%を目標としております。なお、当事業年度におけるROICは、資産ベース17.9%、負債ベース15.6%であります。
(4)経営環境
当社の経営環境は、当社の属している市場環境に左右される一面を有しています。主な販売分野である半導体とFPDの市場は景気変動に伴い大幅な需要の変動が起こります。これらの変動に対応するために、新分野の拡大を行うとともに固定費の抑制を主な対応策としております。新分野の拡大につきましては、通常の営業活動に加え、研究開発も積極的に進める方針です。また、固定費の抑制につきましては、需要の変動に対応するため、協力企業の育成と活用を行うことと、社内業務の切り分けと定型化を進め、有期雇用契約社員や派遣社員を活用する方針です。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①競争の激化と受注価格低下
当社の属する業界は中小の同業社が多く、厳しい競争のある業界です。参入障壁の低い案件は競争から価格は低下します。そのような業界のなかで、当社は参入障壁の高い真空パーツへ取り組み受注拡大を狙い、また、独創的な加工手法や徹底的に行う生産性改善手法によりコスト低減を続け市場価格の低下に先回りした対応をしております。しかしながら、保有する技術の陳腐化が進むことから今後も継続的に技術開発を行う必要があります。そのため、当社においてはR&Dの強化と人材育成に注力する方針です。
②「人」に対する取組み
当社は、人の持つ技術力や営業力が最も重要な強みであるため、強みを持つ人材の安定化と育成が重要な課題となっております。しかしながら、継続的に改善が進みながらも、高い能力を持つ人材に頼る部分が多く、時間外労働や休日出勤の偏りが生じております。このような状況から、多様な勤務形態を構成することで個々の負担を減らし、社員満足度の向上と人材の安定化を図り、長期的な人材育成プランを実現していく方針です。
③M&Aスキームの構築
当社は、新規分野の拡大や生産力の確保などの目的でM&Aを進める方針を持っておりますが、対象とする会社に未上場企業が想定されることから当該会社の連結ないし営業譲受のスキーム構築が課題となっております。
これは、一般的に中小規模の未上場企業において内部統制システムが構築されていないことや製造原価の把握が貧弱である場合があります。そのような企業に対し画一的な内部統制の構築や製造原価の把握を強いることは、場合によっては企業風土の破壊や生産性への悪影響を及ぼすことが懸念されます。管理体制の貧弱な企業に対して、どのような管理システムを構築するのか、また、企業風土と収益構造を維持したままでの製造原価把握システムの構築は、今後の中小製造業のM&Aにおいては重要な課題です。これらの課題に対して具体的な案件を進めながら、可能な限り汎用的スキームを構築していく方針です。
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