業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が続くなか、新規感染者数の減少や政府によるワクチン接種推進等の各種政策により、経済活動の再開による景気の持ち直しが期待されましたが、燃料、原材料価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻等の地政学的リスクの高まりなどにより、先行きは極めて不透明な状況が続きました。

 当社グループの係わる建設業界におきましては、堅調な公共投資に加え、民間設備投資に持ち直しの動きが期待されたものの、原材料等の供給制約等や建設コストの動向に左右され、厳しい事業環境となりました。

 このような状況のもと、当社グループは引き続き新製品開発等を目的とした研究開発や人材の確保及び育成を行う一方、コストダウンの推進に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ237百万円減少し、5,940百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ346百万円減少し、1,947百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ108百万円増加し、3,992百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、受注高4,771百万円(前年同期比17.7%減)、売上高4,494百万円(前年同期比15.8%減)、営業利益301百万円(前年同期比50.0%減)、経常利益354百万円(前年同期比43.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益215百万円(前年同期比38.3%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 ゴンドラ・舞台は、受注高3,454百万円(前年同期比8.4%減)、売上高3,098百万円(前年同期比8.2%減)、セグメント利益250百万円(前年同期比34.7%減)となりました。

 海洋関連は、受注高1,312百万円(前年同期比34.6%減)、売上高1,374百万円(前年同期比29.5%減)、セグメント利益301百万円(前年同期比45.1%減)となりました。

 その他は、受注高3百万円(前年同期比82.1%減)、売上高21百万円(前年同期比35.2%増)、セグメント損失1百万円(前年同期はセグメント損失0百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が354百万円(前年同期比40.4%減)となったこと等の要因により一部相殺されたものの、仕入債務の減少、法人税等の支払額の増加等により、前連結会計年度末に比べて260百万円減少し、当連結会計年度末には1,125百万円になりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、177百万円(前年同期は728百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が354百万円並びに減価償却費が72百万円となりましたが、仕入債務の減少額が135百万円並びに法人税等の支払額が290百万円となったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、27百万円(前年同期比61.6%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が34百万円となったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、55百万円(前年同期比87.7%減)となりました。これは主に、借入金の純増額が56百万円となりましたが、配当金の支払額が108百万円となったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

前年同期比(%)

ゴンドラ・舞台(千円)

2,277,299

92.9

海洋関連(千円)

1,026,636

76.1

 報告セグメント計(千円)

3,303,935

86.9

その他(千円)

15,686

105.5

合計(千円)

3,319,622

87.0

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ゴンドラ・舞台

3,454,992

91.6

1,900,670

123.1

海洋関連

1,312,852

65.4

 報告セグメント計

4,767,845

82.5

1,900,670

118.3

その他

3,533

17.9

2,114

10.7

合計

4,771,378

82.3

1,902,784

117.0

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

前年同期比(%)

ゴンドラ・舞台(千円)

3,098,607

91.8

海洋関連(千円)

1,374,852

70.5

 報告セグメント計(千円)

4,473,460

84.0

その他(千円)

21,119

135.2

合計(千円)

4,494,579

84.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

 す。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態及び経営成績

    1)財政状態

   (資産合計)

 当連結会計年度末における総資産は5,940百万円となり、前連結会計年度末の6,178百万円から237百万円の減少となりました。これは主に仕入債務の支払いや法人税等の支払い等により現金及び預金が減少したこと等によるものであります。

   (負債合計)

 当連結会計年度末における負債合計は1,947百万円となり、前連結会計年度末の2,294百万円から346百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金並びに未払法人税等が減少したこと等によるものであります。

   (純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産は3,992百万円となり、前連結会計年度末の3,884百万円から108百万円の増加となりました。これは主に剰余金の配当があったものの親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったこと等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は67.2%となり、前連結会計年度末の62.9%から4.3ポイント上昇しております。

 

    2)経営成績

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、前期において好調であった海洋関連が減収となったことにより、売上高は4,494百万円と前連結会計年度に比べ15.8%の減少となりました。また、売上の減少に伴い、営業利益は301百万円と前連結会計年度に比べ50.0%の減益、経常利益は354百万円と前連結会計年度に比べ43.8%の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は215百万円と前連結会計年度に比べ38.3%の減益となりました。

 

 b.経営成績に重要な影響を与える要因

  当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、市場動向、資材費動向、技術継承、天災等があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大等が経営成績に与える影響は僅少であると判断しております。

  市場動向につきましては、当社グループのゴンドラ・舞台の販売先は、建設工事に係るゼネコンが主であり、その建設業界は公共工事において国、地方自治体の予算削減を反映して低調のため依然として厳しい状況が続くものと予想されます。このような状況の中、当社グループは最新の技術や製品を素早く導入するための情報収集体制を確立し、多様なニーズに対応できるよう、グループ全体の営業力強化を図ります。

  資材費動向につきましては、最近の複雑なビル形状に対応した特殊ゴンドラ製作において製作費は年々増加傾向にあり、また、世界的なサプライチェーンのひっ迫や資源高への懸念の高まりによる価格転嫁が進んでおり、この状況は今後も続くものと予想されます。このような状況の中、当社グループは製品の標準化を図るとともに、販売価格への転嫁や資材の取引先との関係強化、新規取引先の選定等により、調達コストの増大に対処し、さらなるコスト削減を目指します。

  技術継承につきましては、少子高齢化に伴う人材不足により、世代交代による技術の伝承が困難となりつつあり、人材の確保と育成が重要な経営課題と認識しております。当社グループは、中途採用及び新規採用の両面から積極的に人材確保に努めると同時に製造プロセスの合理化や標準化を図り、若手技術者の育成に注力します。

 天災等による影響につきましては、ゴンドラ・舞台装置設置工事や保守修理が中断となる可能性があります。また、当社工場に天災等による被害が及んだ場合、ゴンドラ・舞台装置の製作や船舶修理等が中断となる可能性があります。

 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」を参照願います。

 

 d.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(ゴンドラ・舞台)

 ゴンドラ・舞台は、例年並みの受注獲得となり、受注高は3,454百万円(前年同期比8.4%減)となり、受注の減少により、売上高は3,098百万円(前年同期比8.2%減)となり、セグメント利益は250百万円(前年同期比34.7%減)となりました。引き続き安定的な収益を獲得するため、当セグメントでは、設備の更新とともに製造技術の向上に努め、同時に技術開発も継続してまいります。

 

(海洋関連)

 海洋関連は、好調であった前期に比べ例年並みの受注獲得となり、受注高は1,312百万円(前年同期比34.6%減)となりました。順調に受注を消化することができましたが、受注の減少に伴い、売上高は1,374百万円(前年同期比29.5%減)となり、セグメント利益は301百万円(前年同期比45.1%減)となりました。当セグメントでは、船舶修繕設備の更新や新規顧客の開拓に注力し、顧客満足度の向上と安定的な受注獲得を目指します。

 

(その他)

 その他では、年間を通して受注競争で苦戦し、受注高は3百万円(前年同期比82.1%減)となりました。売上高は21百万円(前年同期比35.2%増)となりましたが、コストの増加により、1百万円のセグメント損失(前年同期は0百万円のセグメント損失)となりました。その他では、経済活動の再開に伴う企業の設備投資の回復をにらみ、販売促進及び顧客ニーズへの対応に注力いたします。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」を参照願います。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入に関しては、事業計画及び金融情勢に応じて短期借入金と長期借入金により資金を調達しております。また、資金の流動性と源泉を安定的に確保することを目的として、調達先の分散を図っております。

 なお、当社グループは運転資金の機動的かつ安定した調達を行うため、複数の金融機関との間で合計1,000百万円の貸出コミットメント契約を締結しております(借入実行残高100百万円)。

 

 ③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、決算日における資産、負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行い、完成工事高、完成工事原価(工事損失引当金含む)、棚卸資産等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5[経理の状況]」を参照願います。

 また、工事損失引当金につきましては、「2[事業等のリスク](2)特定の取引先について・(3)特定の製品、技術等について」の記載に関連する会計処理であり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある事項として認識しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の会計上の見積り等への影響については、乏しいと判断しております。

 

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