業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展により、徐々に持ち直しの動きがみられるものの、変異株の出現による感染再拡大やウクライナ情勢による原材料・海上運賃の価格上昇や急激な円安の進行など、先行きの不透明な状況は当社の業績にも大きな影響を与えました。

また、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響が社会に不確実性をもたらす状況は現在も継続しておりますが、その中で労働・教育・医療の分野におけるリモート技術の活用など、従来なら何年も掛かったであろうDXやIoT化の動きが急速に進みつつあり、プリント基板関連装置メーカーである当社にとって息の長い成長機会も現出しております。

このような状況のもと当社グループは、新中期経営計画「持続的進化への挑戦 ~ 社会と共に成長する強いKITAGAWA ~」を策定しました。環境の変化に合わせ、より機動的・能動的に市場の動きを捉えて収益機会を確実に獲得するとともに、将来に向けて持続可能な成長基盤を堅固なものとすることを目標として、3つの重点項目「既存事業での技術的深化と新規事業への経営資源集中による持続的成長の岩盤造り」「市場拡大に合わせた生産能力増強と収益性・競争力・製品/サービス品質向上の両立」「活力溢れる強い組織作りとそれを支えるデジタル化の推進」に取り組んでおります。(目標2024年6月期:売上高5,300百万円、営業利益600百万円)

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高5,032百万円(前期比4.4%増)、営業利益512百万円(前期比5.3%減)、経常利益674百万円(前期比23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益588百万円(前期比19.4%増)となりました。

なお、当社グループの主要製品は、案件毎に個別の仕様に基づいて設計・製造を行うため、納期・受注金額にバラツキがあり、大型案件になるほど売上までに長期間を要し、四半期単位での売上高が大きく変動するという特徴があります。

セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

(産業機械事業)

銅張積層板・多層基板成形用のプレス装置、自動車部品・樹脂成形用プレス装置、搬送機械など多様な案件を獲得し、受注は好調に推移しております。売上は計画どおり推移しましたが、鋼材価格上昇や調達部品の長納期化への対応として一部汎用品の在庫保有や受注時の早期発注などに努めたものの、一部案件で原材料価格が想定以上に上昇したことにより、売上高4,858百万円(前期比4.4%増)、営業利益494百万円(前期比6.3%減)となりました。

(その他)

油圧機器の売上が堅調に推移したため、売上高173百万円(前期比5.3%増)、営業利益21百万円(前期比72.0%増)となりました。

 

 財政状態は、次のとおりであります。

(資 産)

総資産は8,836百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,982百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金1,116百万円、受取手形、売掛金及び契約資産530百万円、仕掛品1,044百万円、建物及び構築物(純額)215百万円の増加によるものであります。

(負 債)

負債は6,061百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,435百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金187百万円、電子記録債務719百万円、契約負債(前受金)1,460百万円の増加によるものであります。

(純資産)

純資産は2,774百万円となり、前連結会計年度末に比べて546百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益588百万円の計上と、配当金の支払い35百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,609百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,116百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は1,399百万円(前期は221百万円の獲得)となりました。収入の主なものは、税金等調整前当期純利益674百万円、仕入債務の増加額907百万円、契約負債(前受金)の増加額1,458百万円、支出の主なものは、売上債権の増加額529百万円、棚卸資産の増加額1,116百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は316百万円(前期は21百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出298百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は12百万円(前期は431百万円の使用)となりました。収入の主なものは、長期借入れによる収入150百万円、支出の主なものは、長期借入金の返済による支出107百万円、配当金の支払額35百万円であります。

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2020年6月期

2021年6月期

2022年6月期

自己資本比率(%)

27.6

38.1

31.4

時価ベースの自己資本比率(%)

44.6

81.8

38.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

7.4

1.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

24.2

8.9

70.0

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに算出しております。

3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

産業機械事業

6,171,574

161.6

その他

244,417

126.8

合計

6,415,991

160.0

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

b 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

産業機械事業

8,712,731

164.6

8,117,762

190.4

その他

149,425

83.2

69,346

73.9

合計

8,862,156

161.9

8,187,108

187.9

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

産業機械事業

4,858,453

104.4

その他

173,931

105.3

合計

5,032,385

104.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、A社は顧客からの要望に応じ「秘密保持に関する確約書」を提出しているため、社名の公表は控えさせていただいております。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年7月1日

至  2021年6月30日)

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ELITE ELECTRONIC MATERIAL (KUNSHAN) CO.,LTD.

2,120

0.0

624,445

12.4

A社

1,257,000

26.1

85,202

1.7

ITEQ (JIANGXI) ELECTRONIC TECHNOLOGIES CO.,LTD.

798,000

16.6

608,600

12.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の分析

(売上高)

  売上高は213百万円増加し5,032百万円(前期比4.4%増)となりました。これは主に、銅張積層板・多層基板成形用のプレス装置、自動車部品・樹脂成形用プレス装置、搬送機械など多様な案件を獲得でき、計画のとおり売上できたことによります。

(営業利益)

  営業利益は28百万円減少し512百万円(前期比5.3%減)となりました。これは主に、鋼材価格上昇や調達部品の長納期化への対応として一部汎用品の在庫保有や受注時の早期発注などに努めたものの、一部案件で原材料価格が想定以上に上昇したことによります。

(経常利益)

  経常利益は127百万円増加し674百万円(前期比23.3%増)となりました。これは主に、営業外収益に為替差益135百万円を計上したことによります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

  親会社株主に帰属する当期純利益は95百万円増加し588百万円(前期比19.4%増)となりました。これは主に、経常利益に記載したものと同様の理由によるものであります。

 

《ご参考》

 

前連結会計年度

2021年6月期(百万円)

当連結会計年度

2022年6月期(百万円)

前 年 対 比

増減額(百万円)

増減率(%)

売  上  高

4,819

5,032

213

4.4

営 業 利 益

541

512

△28

△5.3

経 常 利 益

546

674

127

23.3

親会社株主に帰属する当期純利益

492

588

95

19.4

なお、営業成績の概況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金の主なものは、製品製造のための原材料及び購入部品費の他、外注費、製造費、受注獲得のための販売費、新製品開発のための研究開発費であります。運転資金は、自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローの他、銀行借入などにより調達しており、当社は、金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。

借入金の主な目的は、短期借入金が運転資金、長期借入金が設備投資資金であります。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,685百万円(前連結会計年度1,642百万円)、現金及び現金同等物の残高は2,609百万円(前連結会計年度1,493百万円)となりました。

有価証券報告書提出日現在において、支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、当連結会計年度より3か年を対象とする新中期経営計画「持続的進化への挑戦 ~ 社会と共に成長する強いKITAGAWA ~」をスタートしており、2024年6月期の目標数値として売上高5,300百万円、営業利益600百万円を掲げております。

当連結会計年度の連結業績予想は売上高5,000百万円、営業利益560百万円としておりました。売上高は5,032百万円とほぼ予想どおりに推移したものの、一部案件で原材料価格が想定以上に上昇したため、営業利益は512百万円と予想を下回りました。

なお、2023年6月期の連結業績予想は売上高5,700百万円、営業利益570百万円としております。

中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)等の詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題」に記載しております。

 

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