(1)経営成績等の状況の概況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ452百万円増加し、4,109百万円となりました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ391百万円増加し、2,653百万円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ60百万円増加し、1,456百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の普及等、感染拡大の防止策を講じた各種政策等の効果により、経済活動が回復に向かうことが期待され、企業の生産活動や設備投資には持直しの動きが見られました。一方、変異株による感染の拡大が懸念され、また、原材料価格・原油価格等の高騰、為替相場の動向、ウクライナ情勢などのリスクもあり、先行きは依然として不透明な状況が継続すると見込まれます。
このような状況下にあって当社は、市場の多様なニーズへの対応力を高め、受注拡大に向けての製品の差別化や、コスト削減、工場の生産性を高める取り組みを継続・強化してまいりました。新型コロナウイルス感染対策による訪問営業の自粛等により、十分な営業活動が行えず厳しい状況が継続しましたが、国内外の受注動向に改善の傾向が見られました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高は3,356百万円(前期比14.6%増)となり、増収による影響で、営業利益108百万円(前期比1,194.9%増)、経常利益118百万円(前期比629.5%増)となり、また、投資有価証券評価損を特別損失に計上したことにより当期純利益28百万円(前年同期は当期純損失8百万円)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(チェーン事業)
チェーン事業は、国内では、食品機械業界向けが減少しましたが、工作機械業界向けや農機具機械業界向けが増加しました。全体的に改善の傾向がみられ、主力の搬送機械業界向けも期中後半に回復の傾向となっております。一方、輸出においては、全ての地域で回復の兆しが見られ、アジア、北米向けが改善し欧州向けが増加しました。これらの結果、売上高は3,106百万円(前年同期比14.6%増)営業利益は229百万円(前年同期比92.6%増)となりました。
(金属射出成形事業)
医療機器分野を中心に受注拡大を図る営業活動を継続してまいりました。その結果、売上高は208百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は17百万円(前年同期比46.9%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業につきましては、売上高は41百万円(前年同期比5.4%減)、営業利益は24百万円(前年同期比8.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度より5百万円減少し、当事業年度末には339百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得た資金は192百万円(前期は254百万円の収入)となりました。これは主に、当期純利益75百万円、減価償却費159百万円、売上債権の増加129百万円、棚卸資産の増加97百万円、仕入債務の増加138百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は296百万円(前期は155百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出268百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得た資金は96百万円(前期は13百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の借入による収入583百万円、短期借入金の返済260百万円、長期借入金の返済による支出227百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメント |
当事業年度 (自 2021年 4月1日 至 2022年 3月31日) |
前年同期比(%) |
チェーン事業 (千円) |
2,665,102 |
20.6 |
金属射出成形事業 (千円) |
195,107 |
18.3 |
報告セグメント計 (千円) |
2,860,210 |
20.4 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.セグメント間の取引はありません。
b.商品仕入実績
当事業年度における商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメント |
当事業年度 (自 2021年 4月1日 至 2022年 3月31日) |
前年同期比(%) |
チェーン事業 (千円) |
388,219 |
4.6 |
金属射出成形事業 (千円) |
10,970 |
976.3 |
報告セグメント計 (千円) |
399,189 |
7.3 |
(注)1.セグメント間の取引はありません。
c.受注実績
当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメント |
当事業年度 (自 2021年 4月1日 至 2022年 3月31日) |
前年同期比(%) |
チェーン事業 (千円) |
3,424,944 |
24.5 |
金属射出成形事業 (千円) |
219,997 |
16.0 |
報告セグメント計 (千円) |
3,644,942 |
23.9 |
(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.セグメント間の取引はありません。
d.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメント |
当事業年度 (自 2021年 4月1日 至 2022年 3月31日) |
前年同期比(%) |
チェーン事業 (千円) |
3,106,448 |
14.6 |
金属射出成形事業 (千円) |
208,983 |
18.6 |
不動産賃貸事業 (千円) |
41,565 |
-5.4 |
報告セグメント計 (千円) |
3,356,997 |
14.6 |
(注)1.セグメント間の取引はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」①財政状態及び経営成績の状況に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりです。
a.財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は4,109百万円で、前事業年度末に比べ452百万円増加しました。これは、前事業年度末と比べ、増収による売上債権の増加等を主要因として、流動資産が2,372百万円と208百万円増加したこと(電子記録債権が66百万円、売掛金が57百万円、商品及び製品が30百万円、仕掛品が49百万円増加)、また、固定資産が1,737百万円と243百万円増加(有形固定資産が225百万円増加)したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、2,653百万円で、前事業年度末に比べ391百万円増加しました。これは、前事業年度末と比べ原材料等仕入の増加や設備購入による仕入債務の増加を主要因として、流動負債が1,447百万円と49百万円増加したこと(支払手形が96百万円、買掛金が41百万円、未払金に含まれる設備未払金が57百万円、設備関係支払手形が52百万円、未払法人税等が42百万円増加、短期借入金が260百万円減少)、また、運転・設備資金として長期借入590百万円の実施したことを主要因として固定負債が1,205百万円と341百万円増加したこと(長期借入金が336百万円増加)によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、1,456百万円で、前事業年度末に比べ60百万円増加しました。主な要因は、有価証券評価差額金の増加34百万円によるものです。
この結果、自己資本比率は、前事業年度末の38.2%から、当事業年度末は35.4%になりました。
b.経営成績
(売上総利益)
当事業年度の売上高は3,356百万円(前年同期比14.6%増)となりました。これは、国内外とも売上が回復し、特に海外向けの売上が前年同期比25.7%増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は572百万円(前年同期比34.5%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は464百万円(前年同期比11.3%増)となりました。これは主として、出荷の増加に伴う発送費や梱包費の増加等によるものであります。この結果、営業利益は108百万円(前年同期比1,194.9%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は26百万円(前年同期比7.2%増)となりました。増加の主要因は為替差益によるものであります。また、営業外費用は15百万円(前年同期比3.6%減)となりました。減少の主要因は、「収益認識に関する会計基準」を適用したことにより、割引の会計処理変更によるものであります。この結果、経常利益は118百万円(前年同期比629.5%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別損益(利益-費用)は42百万円の損失で、今期に投資有価証券評価損を42百万円計上したことによるものであります。当期純利益は28百万円となり前年同期の当期純損失8百万円に対して36百万円の増益となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「3か年中期経営計画」の最終年度である2023年3月期において営業利益率5%以上を当初目標としておりました。当事業年度につきましては3.2%(前年同期比2.9%増)と厳しい結果となりました。「3か年中期経営計画」では最終年度である2023年3月期において売上高3,355百万円、営業利益169百万円、営業利益率5%以上、また、一人当り労働生産性30%アップを目標としております。新型コロナウイルス感染症の影響もあり厳しい状況下ではありますが、増収は当社の優先課題であり、新型コロナウイルス感染症の影響が期中で収束し、回復傾向になると想定して目標を設定しております。翌事業年度からは一層拡販の取り組みを行い、継続して利益を生み出す企業体質を構築し、復配を実現したいと考えております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2「事業の状況」2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
チェーン事業につきましては、市場の多様なニーズにより多く・迅速に対応するため、老朽化した設備を更新してまいります。
金属射出成形事業につきましては、既存分野からの安定的な受注量を確保し、新たな分野の開拓に向けて積極的に営業活動を行ってまいります。
不動産賃貸事業につきましては、安定した賃貸収益を維持してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、設備投資に必要な資金ならびにその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、必要な都度、金融機関からの借入による資金調達を行うこととしております。当事業年度におきましては、老朽化した設備の更新費用の借入を行ってきました。当事業年度末の借入残高は1,289百万円となっております。翌事業年度におきましても、生産性向上に向けて老朽化した設備の更新を行う予定であり、また、新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し手元流動性を高めるため、金融機関より借入を行う予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産の回収可能性等であり、見積り評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる基準等に基づき行っております。新型コロナウイルス感染症による影響は、翌事業年度中にはある程度収束し、翌々事業年度には回復傾向になると想定して行っておりますが、今後の経過によっては、会計上の見積りの結果に影響を及ぼす可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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