経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響で経済活動が制限される中、ワクチン接種の普及が進み、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたことで回復の兆しが見受けられました。しかしながら、半導体をはじめとする部材の供給不足や原油等の高騰に加え、ウクライナ情勢の深刻化による影響も懸念されており、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況の中、当社グループはアミューズメント関連事業、自動認識システム関連事業、ホテル関連事業の各事業を通じてお客様の「満足」を勝ち取るために新たな付加価値の追求をしてまいりました。また、新型コロナウイルス感染防止策を講じながら営業活動を継続し、製品の供給及びサービスの提供に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高151億3百万円(前期比2.3%増)、営業利益15億78百万円(同39.6%増)、経常利益25億2百万円(同63.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益13億73百万円、特別損失に投資有価証券評価損等を計上したことなどから18億55百万円(同129.9%増)となりました。
セグメントの実績は次のとおりであります。
[アミューズメント関連事業]
アミューズメント関連事業の主な販売先であるパチンコ業界は、各パチンコホールが新型コロナウイルス感染防止策を講じながら営業活動を継続し、感染症拡大前の水準に戻りつつあります。2022年1月末には旧規則機の撤去期限を迎え、新規則機への切り替えが進んだ一方で、新規出店や大規模な改装工事等の大型投資は控える傾向にあり、周辺設備の更新需要は低調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは、少人数でホール運営が可能なパーソナルPCシステム、遊技データ等の収集・AI分析が可能なマースユニコンを中心にトータルシステムでの提案・販売を行ってまいりました。また、マースWEBセミナーの開催や業界誌広告と連動した特設ウェブページの開設等、様々な施策を通じてパチンコホールがコロナ禍に打ち勝つためのサービスを提案してまいりました。
当連結会計年度におけるパーソナルの売上実績は26店舗、当連結会計年度末時点における導入(実稼働)店舗数は累計1,507店舗(市場シェア21.8%)となりました。また、パーソナルを含めたプリペイドカードシステムの売上実績は26店舗、導入(実稼働)店舗数は累計1,622店舗(市場シェア23.5%)となりました。
Air紙幣搬送システム及びハイスペックモデルの立体Air紙幣搬送システムは、空気の力で紙幣を搬送する業界随一のシステムであり、導入によりセキュリティの強化やホール業務の省力化が期待されていますが、新規出店や大型改装案件が乏しく導入件数は限定的となりました。その他、景品交換業務における感染予防や利便性を追求したセルフPOSやクオリティの高い接客が可能なマーススマートウォッチⅢ等、きめ細やかな製品及び付加サービスの提案・販売を行ってまいりました。
この結果、アミューズメント関連事業の売上高は、90億1百万円(前期比2.5%増)、セグメント利益は18億37百万円(同16.9%増)となりました。
[自動認識システム関連事業]
自動認識システム関連事業における市場は、第4次産業革命(Industry4.0)によりIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボティクス等が浸透し、昨今ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた取り組みが広がっております。新型コロナウイルス感染症の影響により、一部で設備計画の延期や見直しがあるものの、テレワークや遠隔操作、セキュリティ関連等の需要が高まってきております。
自動認識システムは、RFID、バーコード、X線検査装置等を媒体として各種データを自動的に取り込み・認識ができるため、自動化・省人化の実現に向けて期待されております。当社グループでは特にFA市場、物流市場、アミューズメント市場、健診市場を中心に提案販売活動を実施し、展示会への出展も積極的に行ってまいりました。また、健診・人間ドック向けの新クラウドサービス「macmo(マクモ)」を本格的に販売開始しました。同サービスは、WEB予約・WEB問診・健診結果データ収集・健診結果データ管理(労務支援)等、複数のクラウドアプリケーションの連動により健診施設内の業務効率化を実現するサービスであり、拡販に努めました。
この結果、自動認識システム関連事業の売上高は、49億15百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益は5億73百万円(同31.2%増)となりました。
[ホテル関連事業]
ホテル業界は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の旅行者数が落ち込んでおり、経営環境は低迷した状況で推移しました。また、年初からの新たな変異株による感染再拡大もあり、先行き不透明な状況が続きました。
このような状況の中、マースガーデンホテル博多及びマースガーデンウッド御殿場では、宿泊客や従業員の感染予防対策を徹底しつつ営業活動を継続してまいりました。稼働率は緩やかに改善の兆しが見えてきたものの、本格的な回復には時間を要するものと思われます。
一方で関連事業のレストランでは、ホテルと同様に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、営業活動は制限されましたが、政府による各種施策等の効果もあり、客数は戻りつつあります。東京・銀座エリアでは認知度の向上、お一人様利用やテイクアウト需要の増加により好調に転じました。
この結果、ホテル関連事業の売上高は、11億86百万円(前期比3.7%減)、セグメント損失は5億74百万円(前期は6億24百万円のセグメント損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、260億3百万円となり、前連結会計年度末より27億75百万円増加(前期比11.9%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、35億67百万円(前連結会計年度末は25億99百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益31億25百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、4億23百万円(前連結会計年度末は5億90百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入46億2百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、12億95百万円(前連結会計年度末は11億68百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額11億75百万円等によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
アミューズメント関連事業(千円) |
1,594,560 |
96.5 |
自動認識システム関連事業(千円) |
1,414,816 |
115.7 |
ホテル関連事業(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
3,009,376 |
104.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
アミューズメント関連事業(千円) |
156,320 |
143.6 |
自動認識システム関連事業(千円) |
1,523,088 |
111.3 |
ホテル関連事業(千円) |
47,651 |
125.8 |
合計(千円) |
1,727,060 |
114.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)受注実績
当社グループは、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
アミューズメント関連事業(千円) |
9,001,975 |
102.5 |
自動認識システム関連事業(千円) |
4,915,442 |
103.6 |
ホテル関連事業(千円) |
1,186,029 |
96.3 |
合計(千円) |
15,103,447 |
102.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社ダイナム |
1,413,542 |
9.6 |
1,640,293 |
10.9 |
経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当事業年度における当社グループの連結財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しておりますので、記載は省略しております。
① 貸倒引当金の計上基準
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を繰入計上しております。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損
当社グループが保有する有価証券について市場価格のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損については、個別銘柄ごとに回復の可能性を総合的に検討し実施することとしております。また、市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は151億3百万円(前期比2.3%増)、販売費及び一般管理費は68億85百万円(同0.3%減)、営業利益は15億78百万円(同39.6%増)、経常利益は25億2百万円(同63.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億55百万円(同129.9%増)となりました。なお、セグメント別の分析は、第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] 「経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」の項目を参照ください。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末の流動資産の残高は339億70百万円(前連結会計年度末327億6百万円)となり、12億64百万円増加しました。増加の主な内訳は、現金及び預金(232億28百万円から260億3百万円へ27億75百万円増加)であります。
固定資産
当連結会計年度末の固定資産の残高は261億64百万円(前連結会計年度末252億55百万円)となり、9億8百万円増加しました。増加の主な内訳は、土地(66億86百万円から84億43百万円へ17億56百万円増加)であります。
流動負債
当連結会計年度末の流動負債の残高は36億43百万円(前連結会計年度末32億27百万円)となり、4億15百万円増加しました。増加の主な内訳は、未払法人税等(2億41百万円から8億41百万円へ5億99百万円増加)であります。
固定負債
当連結会計年度末の固定負債の残高は22億49百万円(前連結会計年度末24億37百万円)となり、1億87百万円減少しました。減少の主な内訳は、リース債務(6億40百万円から4億74百万円へ1億66百万円減少)であります。
純資産
当連結会計年度末の純資産の残高は542億41百万円(前連結会計年度末522億97百万円)となり、19億44百万円増加しました。その増加の主な内訳は、その他有価証券評価差額金(△2億49百万円から7億26百万円へ9億76百万円増加)であります。
(4) キャッシュ・フローの分析
第2 [事業の状況] 3 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]に記載のとおりであります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
第2 [事業の状況] 2 [事業等のリスク]に記載のとおりであります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、運転資金及び投資資金は基本的に自己資金で賄うこととしており、フリーキャッシュ・フローの状況や流動比率から見ても、事業運営に必要な資金を調達することは可能と考えております。
(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上収益及び営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いています。
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