課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中将来に関する事項が含まれていますが、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社及び当社の関係会社(以下「当社グループ」という)は、以下のグループ経営理念及び「顧客第一・法令遵守・基本重視・オープン・アクティブ・スピード」を行動指針として定め、企業活動を推進しています。

<経営理念>

● 私たちは地球環境を守り、社会に貢献する企業市民であり続けます

● 私たちは株主の資本を効率的に活用し、グローバルに企業価値を創造します

● 私たちは知識の向上と技術の革新を心がけ、世界のお客様に感動を与える製品を提供します

● 私たちは高い志と広い視野を持って、常に変革を遂げていきます

 

(2) 経営環境及び経営戦略

 2022年度世界経済は、コロナショックから回復を促す各国積極財政支援、ワクチン接種促進等が奏効し、2021年度に引き続き回復が進む見通しです。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢に端を発した地政学的リスクの高まりがエネルギーや食糧の需給バランスを崩し経済回復の停滞要因となっており、新たなウイルス変異株流行への残存する懸念も景気回復の大きな重石となっています。中長期的な事業環境も、ここ数年の米中関係悪化に加えNATO各国とロシア間の地政学的緊張感が高まる中、各国通商政策に保護主義が台頭するなど、政治・経済両面の懸念事項が増す状況にあります。

 当社グループと関連の深い自動車産業は、電気自動車等環境対応車の増加や自動運転等の技術開発が進展するなど「100年に一度の大変革期」のなか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「社会の変容」が加速化、質的変化を伴いつつもグローバル市場が拡大すると予想しております。

 世界的なカーボン・ニュートラルへの志向が高まり、環境対応車は一層増加するなど自動車の動力多様化もスピードアップしておりますが、自動車電動化によるカーボン・ニュートラル達成の前提であるエネルギー脱炭素化は、前述ロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー安全保障上の状況悪化を経て、特に欧州に於いて一方向の議論では語れなくなりつつあります。また、世界情勢の不安定化、地政学的リスクの高まりは、極端に偏在する数種のレアメタルなど一部原材料の供給不安定性に改めて世界の注目を集める要因ともなっています。こうした環境変化に加え、カーボン・ニュートラルを目指す上で指標となる二酸化炭素排出量削減のライフサイクルアセスメントによる評価見直しなど、自動車動力多様化の将来も極めて混沌としつつあります。

 当社はこれまで、内燃機関搭載車のピークアウト時期を2030年代前半頃としておりました。現在では、前述世界環境変化の影響からピークアウトを3-4年程度前倒しの2020年代後半と予想する調査機関もありますが、一方で、安全保障面も含めたエネルギー需給構造変化など混沌とした状況を念頭に入れ、ピークアウトが大幅に後倒しになるとの主張も見られ、議論は大きく分かれております。当社としては、内燃機関搭載車ピークアウト時期がある程度前倒しとなっても、またピークアウトが後倒しとなり長期間に亙り既存の部品供給責任を負うシナリオとなっても、想定される全てのシナリオを乗り越え社業を発展させていくために、引き続き「コア事業のコスト競争力強化」、「危機に対応した経営基盤再構築」と「非内燃機関の次世代新事業の拡大」を進めていく方針です。

 「コア事業のコスト競争力強化」では、ピストンリング等の既存エンジン部品で勝ち残るとともに、非自動車関連既存事業の拡大とコスト競争力強化を目指します。2020年代半ばまでは、エンジン周り含め既存部品・製品のビジネスと利益の拡大、経営資源シフト、最適生産体制構築をキーワードに国内外投資を効率化します。その後2030年頃までは、日本国内・海外とも特にエンジン部品の増産投資は厳しく管理運営し、合理化投資及び省力化投資を推進していく所存です。

 「危機に対応した経営基盤再構築」では、一昨年度に実施した希望退職募集などを通じ改革した事業構造をより一層強固なものとし、コロナ後も見据えて一層の体質改善を図るため、操業体制見直しや合理化・生産性の一層の向上など損益分岐点引下げに努めてまいります。そのために、聖域のない選択と集中など従来より踏み込んだ労務費・経費等固定費削減を継続し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による業務改革も一層進めてまいる方針です。

 また、「非内燃機関の次世代新事業の拡大」では、自動車部品製造業に限らず他社との提携・共同開発を推進しオープンイノベーションを追求すること、既存の非内燃機関事業分野周辺で垂直・水平展開を図ることで、主に次世代自動車向け新製品開発及び非自動車事業の創出・拡大を一層スピードアップしてまいります。昨年秋に新設した水素・新エネ事業推進室および熱エン事業推進室も、こうした分野に於ける新事業拡大に大きく貢献していく予定です。

 更に、脱炭素化を目指して努力する我が国産業界の中にあって、当社も製造工法の改善及び設備更新等を通じた製造過程に於ける二酸化炭素排出削減や、製品寿命期間中に排出する二酸化炭素量を圧縮するための製品性能向上を目指し、不断の努力を続けて参ります。

 こうした諸施策を進めていくことにより、当社の競争力を強化し、またSDGsやカーボン・ニュートラルへの対応を図ることで、当社の企業価値を継続的に高めていくよう努めます。

 

 

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 当社はROE向上に資するため、保有資産の選別・整理を進めて資産効率を高めてまいります。機械装置や不動産などの固定資産の他、棚卸資産、有価証券などについても定期的に保有の意義や費用対効果を検証し、不要と判断した資産については廃却・売却を進めていきます。

 当社の剰余金の配当につきましては、業績及び配当性向等を総合的に勘案し、中間配当及び期末配当の年2回、安定的な配当水準を維持することを基本方針と考えております。

 内部留保資金につきましては、将来の事業成長のための投資及び財務体質の強化に活用してまいります。

 

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