業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済情勢は、主要国を中心にワクチン接種の普及による防疫措置の緩和と金融・財政支援対策等により、全体としては回復基調で推移いたしました。一方、世界的な半導体不足や新型コロナ感染再拡大によるサプライチェーンの停滞などが下振れ要因となり、景気回復のペースは鈍化しました。加えて足元では、米国の金融政策転換、ロシア・ウクライナ紛争による資源価格の高騰、中国の「ゼロコロナ政策」による経済活動の制限などの景気へのマイナス要因もあり、先行き不透明な状況となっています。

このような事業環境のもと、当社事業においては円安による押し上げ効果もあり、全てのセグメントにおいて販売が前期を上回りました

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ44億46百万円増加し、1,809億55百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ62億6百万円減少し、778億60百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ106億53百万円増加し、1,030億94百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は1,408億42百万円(前期比7.9%増)、営業利益は75億60百万円(前期比30.3%増)、経常利益は108億11百万円(前期比28.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は57億13百万円(前期比42.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

[自動車・建設機械業界向け事業]

当事業は、世界的な半導体不足、新型コロナウイルス再拡大による部品供給難により、グローバル自動車生産台数は減少傾向が継続しておりますが、販売が前年を上回って推移したことにより、当セグメントの売上高は815億88百万円(前期比4.3%増)、営業利益は20億27百万円(前期比120.2%増)となりました。

[一般産業機械業界向け事業]

当事業は、インド及び東南アジア地域の需要が回復したことにより、当セグメントの売上高は289億35百万円(前期比10.0%増)、営業利益は24億50百万円(前期比11.6%増)となりました。

[半導体業界向け事業]

当事業は、半導体需要の増大に伴う投資意欲が継続して高水準であったことにより、当セグメントの売上高は121億90百万円(前期比33.7%増)、営業利益は6億71百万円(前期比168.7%増)となりました。

[舶用業界向け事業]

当事業は、中国、韓国の新造船市況の回復と、欧州、東南アジアでの修繕部品需要が増加したことにより、当セグメントの売上高は116億67百万円(前期比10.6%増)、営業利益は23億82百万円(前期比19.4%増)となりました。

[航空宇宙業界向け事業]

当事業は、販売が前期並みで推移し、当セグメントの売上高は64億60百万円(前期比2.1%増)となりました。営業利益はプロダクトミックスの影響により15百万円(前期比96.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は270億1百万円となり、前連結会計年度末対比45億43百万円の減少となりました。

各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は122億38百万円(前期比31.4%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益93億49百万円、減価償却費96億98百万円を計上した一方、棚卸資産が35億84百万円、売上債権が22億13百万円それぞれ増加したことに加え、法人税の支払いにより29億27百万円支出したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は68億45百万円(前期比31.5%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得により56億39百万円、無形固定資産の取得により8億28百万円支出したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は115億54百万円(前期比334.1%増)となりました。これは主に長期借入金の返済により124億4百万円支出したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

a.生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

81,672

114.1

一般産業機械業界向け事業(百万円)

28,022

110.4

半導体業界向け事業(百万円)

9,495

137.3

舶用業界向け事業(百万円)

11,557

111.3

航空宇宙業界向け事業(百万円)

4,817

95.9

合計(百万円)

135,565

113.6

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

セグメントの名称

受注高

前年同期増減率(%)

受注残高

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

81,534

103.2

4,681

98.9

一般産業機械業界向け事業(百万円)

29,825

115.1

4,340

125.8

半導体業界向け事業(百万円)

14,957

149.8

4,716

242.0

舶用業界向け事業(百万円)

12,962

122.6

3,992

148.0

航空宇宙業界向け事業(百万円)

6,679

123.9

6,017

103.8

合計(百万円)

145,959

111.5

23,746

127.5

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

81,588

104.3

一般産業機械業界向け事業(百万円)

28,935

110.0

半導体業界向け事業(百万円)

12,190

133.7

舶用業界向け事業(百万円)

11,667

110.6

航空宇宙業界向け事業(百万円)

6,460

102.1

合計(百万円)

140,842

107.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

NOK株式会社

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

23,156

17.7

23,386

16.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、主要国におけるワクチン接種の普及や各種経済対策により回復基調に推移しましたが、世界的な原材料供給不安やサプライチェーンの混乱など下振れ要因もあり、売上高は当初計画に対して未達となりました。

利益面では、コストダウンや固定費抑制等に努めるとともに、為替レートが計画比円安で推移した影響もあり、営業利益は当初計画を達成いたしました。

当連結会計年度末の資産合計は1,809億55百万円(前期比2.5%増)となりました。資金効率化を進める目的で借入金の圧縮を行い、現金及び預金が減少いたしました。また、設備投資額を減価償却費以下に抑えたこと及び自動車・建設機械業界向け事業において減損損失を計上したことにより、固定資産も減少いたしました。一方で、売掛債権や棚卸資産が増加するとともに、為替が円安に振れた結果在外子会社の邦貨換算額が押し上げられ、資産合計は増加いたしました。

負債合計は778億60百万円(前期比7.4%減)となりました。仕入債務は増加いたしましたが、長期借入金の返済を進めたことが主な要因であります。

純資産合計は1,030億94百万円(前期比11.5%増)となりました。人民元をはじめほぼ全ての通貨に対して円安となったことによる為替換算調整勘定の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上が主な要因であります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

[自動車・建設機械業界向け事業]

2021年度は半導体の供給不足、コロナ感染再拡大による部品供給不足の長期化等が自動車生産に影響を及ぼしグローバル自動車生産台数が減少したことから、売上高は当初計画を達成できませんでした。

2022年度は、これらに加えロシア・ウクライナ紛争や中国のロックダウンが物流に与える影響等、先行き不透明な状況が続きますがグローバル自動車生産台数は増加する見通しです。なかでもEV化の波は加速しておりますので、かねてより進めている次世代自動車向け製品の量産拡大など、積極的に取り組んでまいります。

[一般産業機械業界向け事業]

当社グループの主要市場である日本・インド・アジアパシフィックは、新型コロナウイルスの感染影響からの経済回復に伴い需要が増加し、売上高は当初計画水準で推移しました。

2022年度は、国内は石油化学、電力、鉄鋼業界などで脱炭素化投資の需要増加が見込まれるとともに、インド・アジアパシフィック地域においても既存プラントの稼働活性化、新規プラントの建設が見込まれます。なお、長期的には世界的なエネルギー需要増加に伴い次世代エネルギー市場も成長する見通しでありますので、市場シェアと将来の収益確保を目指したビジネスモデルの構築を今後も進めてまいります。

[半導体業界向け事業]

5Gやデータセンターへの需要が高水準で推移し、半導体業界全体において投資意欲が旺盛だったことにより、売上高が当初計画に対し増加いたしました。

2022年度は、半導体不足解消に向け大手ファウンドリでロジック用投資計画の上積み、社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の更なる拡大に伴うメモリ系の投資も堅調に進み、半導体業界においてはこれまで以上の需要の拡大が見込まれます。以上の認識のもと、国内及び海外の生産拠点を有効に活用した生産を進め、既存製品の販売シェア拡大と新製品開発提案による主要半導体製造装置メーカーへの拡販を進めてまいります。

[舶用業界向け事業]

中国、韓国の新造船市況の回復と、欧州・東南アジアでの修繕部品需要が増加したことにより、売上高が当初計画に対し大幅に増加いたしました。

2022年度は、前年にあった新造船プロジェクト案件の減少、定期的な修繕需要が減退することが予想されます。長期的には海洋環境保全の強化により、環境配慮型船舶のニーズが見込まれますので、従来の油潤滑式シール装置に代わる水潤滑式シール装置・船尾管軸受の拡販に注力してまいります。

[航空宇宙業界向け事業]

民間航空機市場の低迷に加え、衛星向け製品の遅れにより売上高が当初計画に対し減少いたしました。

2022年度は、中・小型民間航空機需要が回復基調にあります。また、民間企業の宇宙産業参入増加が見込まれており、各社開発状況を注視し、着実なコスト削減を行いつつ拡販を進めてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金は金融機関からの短期借入金で、生産設備などの長期資金は金融機関からの長期借入金で調達しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は363億45百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は270億1百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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