業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2022年5月31日)現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、各種政策の効果もあって、景気は持ち直しの動きもみられるものの、原材料価格の上昇や新型コロナウイルス感染症の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況が続きました。

 

 当社の主要な受注先の造船業界では、新造船市況は回復の兆しがみられるものの、受注環境は厳しい状況にありました。このようななか、当社は、舶用関連において受注獲得に努め、発電プラント関連においても積極的な営業活動を展開し、修理やメンテナンス関連の部品注文獲得にも注力しました。

 新型コロナウイルス感染症の影響でございますが、海外への渡航制限や一部の案件で納期延期がありましたが、受注高・売上高への影響は限定的でありました。また、資材調達に関してもほとんど影響はございません。

 当事業年度における受注高は、16,202百万円(対前事業年度比2.4%減)となり、406百万円前事業年度を下回りました。品種別にみますと、自動調節弁7,555百万円、バタフライ弁4,787百万円、遠隔操作装置3,859百万円となり、対前事業年度比では、バタフライ弁は338百万円増加しましたが、自動調節弁は602百万円、遠隔操作装置は143百万円の減少となりました。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 a.財政状態

  当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ635百万円増加し、27,846百万円となりました。

  当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ282百万円増加し、5,390百万円となりました。

  当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ352百万円増加し、22,455百万円となりました。

 

 b.経営成績

  当事業年度の売上高は17,157百万円(対前事業年度比2.3%減)、営業利益は537百万円(対前事業年度比31.8%減)、経常利益は808百万円(対前事業年度比17.7%減)、当期純利益は556百万円(対前事業年度比17.4%減)といずれも前事業年度を下回りました。

 なお、当社はバルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、上記経営成績についてはセグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて447百万円増加し、当事業年度末の資金残高は4,556百万円(対前事業年度比10.9%増)となりました。

 また、当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は609百万円(対前事業年度比66.8%減)となりました。

 これは主として、税引前当期純利益が808百万円(対前事業年度比17.4%減)であり、減価償却費236百万円(対前事業年度比2.1%減)、仕入債務の増加による収入199百万円(前事業年度は仕入債務の減少による支出830百万円)、棚卸資産の減少による収入215百万円(対前事業年度比285.1%増)があった一方、売上債権の増加による支出609百万円(前事業年度は売上債権の減少による収入1,759百万円)、法人税等の支払額281百万円(対前事業年度比16.4%減)があったこと等によるものであります。
 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果獲得した資金は194百万円(前事業年度は1,018百万円の支出)となりました。

 これは主として、有価証券の償還による収入6,100百万円(対前事業年度比74.3%増)、投資有価証券の償還による収入1,000百万円(対前事業年度比49.0%減)があった一方、有価証券の取得による支出3,903百万円(対前事業年度比27.8%減)、投資有価証券の取得による支出2,508百万円(対前事業年度比177.2%増)、有形及び無形固定資産の取得による支出496百万円(対前事業年度比189.3%増)があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は357百万円(対前事業年度比28.8%減)となりました。

 これは、配当金の支払額357百万円(対前事業年度比0.9%減)があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績についてはセグメント別に代えて品種別に示しております。

 

a.生産実績

 当事業年度の生産実績を品種別に示すと下表のとおりであります。

品種別

第96期(2021.6~2022.5)(千円)

前年同期比(%)

自動調節弁

7,627,792

96.2

バタフライ弁

5,247,429

106.2

遠隔操作装置

4,026,353

88.9

16,901,574

97.1

 (注)1.金額は販売価額で表示しております。

2.上記の生産実績には、協力工場よりの製品の仕入高が以下のとおり含まれております。

第96期(2021.6~2022.5)(千円)

前年同期比(%)

5,796,927

100.1

 

b.受注実績

 当事業年度における品種別の受注実績は次のとおりであります。

品種別

第96期

(2021.6~2022.5)

受注高(千円)

前年同期比(%)

第96期末

(2022.5.31現在)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自動調節弁

7,555,990

92.6

3,890,612

98.7

バタフライ弁

4,787,693

107.6

2,929,785

80.3

遠隔操作装置

3,859,273

96.4

2,280,086

92.5

16,202,956

97.6

9,100,483

90.5

 (注)金額は販売価額で表示しております。

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 当社の製品は直接販売(メーカーへの直納)が主でありますが、一部は商社を通しても販売しております。

品種別

第96期

(2021.6~2022.5)

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売構成比(%)

自動調節弁

7,605,397

95.0

44.3

バタフライ弁

5,507,725

110.5

32.1

遠隔操作装置

4,044,727

88.5

23.6

17,157,849

97.7

100.0

(注)1.金額は販売価額で表示しております。

2.最近2事業年度の主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する比率

相手先

第95期(2020.6~2021.5)

第96期(2021.6~2022.5)

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

三菱重工業㈱

2,928,546

17.1

三菱パワー㈱

2,104,899

12.0

今治造船㈱

2,311,511

13.2

(注)三菱パワー㈱は、2021年10月1日付で火力発電システム事業を三菱重工業㈱に承継する吸収分割を実施しております。なお、総販売実績に対する比率が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ635百万円増加の27,846百万円となりました。これは主として、現金及び預金が447百万円、売上債権が609百万円、建設仮勘定が414百万円、投資有価証券が1,725百万円それぞれ増加したものの、有価証券が2,201百万円、棚卸資産が215百万円、繰延税金資産が73百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
 負債合計は、前事業年度末と比べ282百万円増加の5,390百万円となりました。これは主として、仕入債務が199百万円、1年内返済予定の長期借入金が400百万円、未払消費税等が90百万円増加したものの、長期借入金が400百万円減少したこと等によるものであります。
 純資産合計は、前事業年度末と比べ352百万円増加の22,455百万円となりました。これは主として、当期純利益が556百万円、配当金の支払357百万円により、利益剰余金が19,860百万円(前事業年度末と比べ199百万円の増加)となったこと、また、その他有価証券評価差額金が682百万円(前事業年度末と比べ153百万円の増加)となったこと等によるものであります。
 売上高では、17,157百万円(対前事業年度比2.3%減)となり、400百万円前事業年度を下回りました。品種別では、自動調節弁7,605百万円、バタフライ弁5,507百万円、遠隔操作装置4,044百万円となり、対前事業年度比では、バタフライ弁は522百万円増加しましたが、自動調節弁は396百万円、遠隔操作装置は526百万円の減少となりました。輸出関連の売上高は、2,090百万円となり、前事業年度を496百万円下回りました。当事業年度末の受注残高は期首に比べて954百万円減の9,100百万円となりました。
 利益面では、営業利益は537百万円(対前事業年度比31.8%減)、経常利益は808百万円(対前事業年度比17.7%減)、当期純利益は556百万円(対前事業年度比17.4%減)といずれも前事業年度を下回りました。

 なお、当社はバルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、上記経営成績についてはセグメント別に代えて品種別に示しております。

 当社の業績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 なお、当事業年度の売上高165億円、営業利益540百万円、経常利益800百万円、当期純利益560百万円の業績目標に対して、売上高171億円、営業利益537百万円、経常利益808百万円、当期純利益556百万円の結果となり、上期は苦戦しましたが、下期はメンテナンス関連の売上増加等により、売上高、経常利益は業績目標を上回りましたが、営業利益、当期純利益は業績目標を下回りました。(2021年12月29日発表の修正業績目標は、売上高165億円、営業利益270百万円、経常利益580百万円、当期純利益400百万円)

 その結果、当事業年度の売上高営業利益率は、3.13%となり、自己資本比率は80.64%となりました。

 注)売上高営業利益率=営業利益/売上高×100

  自己資本比率=自己資本/総資産×100

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析は、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用のほか、製造費(製造に係る労務費・経費)、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資や運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金の残高は1,200百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,556百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のほか、以下のとおりであります。

 

a.固定資産の減損

 固定資産については、製造事業関連資産と賃貸関連資産とにグルーピングし、各関連資産ごとに将来キャッシュ・フローを見積り、これをもとにして減損の兆候を判定しております。減損の兆候がみられる場合には、減損損失の認識を行うかどうかを判定し、減損損失計上の検討を行います。

 

b.繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得を十分に確保できることを検討した上で、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産が減少した場合、税金費用が計上される可能性があります。

 

c.棚卸資産の評価

 当社の棚卸資産は、商品及び製品、仕掛品については期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。原材料及び貯蔵品については期末における再調達原価が取得原価よりも下落している場合は、当該再調達原価をもって貸借対照表価額としております。

 正味売却価額は、受注先との契約に基づく販売価額、または、期末において見込まれる将来販売時点の販売価額に基づいて見積もっております。

 なお、当社の棚卸資産は、今後の市況や需要動向等によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

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