業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における総資産につきましては、前事業年度末に比べ2,145百万円増加し、8,710百万円となりました。これは主に、現金及び預金が965百万円、仕掛品が363百万円、機械及び装置が253百万円及び建設仮勘定が325百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債につきましては、前事業年度末に比べ930百万円減少し、4,123百万円となりました。これは主に、短期借入金が850百万円、長期借入金が272百万円減少した一方で、未払金が130百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産につきましては、前事業年度末に比べ3,075百万円増加し、4,587百万円となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズへの上場に伴う公募増資及び第三者割当増資等により、資本金及び資本準備金がそれぞれ1,290百万円、当期純利益の計上により利益剰余金が495百万円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における世界経済は、回復基調で推移しましたが、2021年末にかけては新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が蔓延したことを受けて、各国は再び移動制限を課す状況となりました。また、資源価格上昇と半導体等の供給不足によって、予想以上のインフレが起きており、これは米国に加えて新興市場国等の多くで顕著であり、さらに中国における不動産部門の減速や民間消費の予想を下回る回復により、限定的な成長にとどまる見込みとなっております。日本経済は、同様に回復基調で推移し、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の蔓延により減速気味となっているものの、感染のピークアウト予想からの経済活動の正常化に伴う雇用・所得環境の改善に加え、コロナ危機下で積み上がった50兆円の過剰貯蓄が消費に回る見通しから、2022年半ばにかけて高めの伸びが期待されております。

 当社の当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、光計測・新領域、半導体、ヘルスケアのいずれの事業におきましても増収基調となりました。当社は、光学事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、以下に製品の市場別に売上高の状況等を説明いたします。

 光計測・新領域事業におきましては、単結晶技術、光学分野でのコア技術の新用途・新製品を立案・開発し、試作・開発ベースでの小規模案件を中心にビジネスを進めております。同事業の当事業年度の売上高は、概ね前期並みに推移し、前期比10.2%増の579百万円となりました。

 半導体事業におきましては、世界的な半導体需要増から、ユーザーである半導体ウエハ検査装置メーカーなどからの当社製品への引き合い及び受注状況は前期に引き続き増勢で推移しております。当事業年度の同事業での売上高は、前期比42.6%増の2,465百万円となりました。

 ヘルスケア事業におきましては、PET装置の世界需要は概ね堅調に推移し、またユーザーにおける当社のシェアアップへの取り組みが浸透し、当事業年度の同事業の売上高は、前期比29.3%増の1,711百万円となりました。

 その結果、当事業年度の売上高は4,756百万円(前年同期比32.9%増)、営業利益は596百万円(前年同期比63.2%増)、経常利益は598百万円(前年同期比85.5%増)、当期純利益は495百万円(前年同期比59.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ975百万円増加し、当事業年度末には2,146百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は443百万円(前事業年度は568百万円の増加)となりました。これは主に税引前当期純利益590百万円(前事業年度は税引前当期純利益322百万円)、減価償却費268百万円(前事業年度は減価償却費224百万円)が生じた一方で、たな卸資産の増加額433百万円(前事業年度はたな卸資産の増加額372百万円)が生じたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は849百万円(前事業年度は300百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出789百万円(前事業年度は有形固定資産の取得による支出244百万円)が生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、増加した資金は1,375百万円(前事業年度は241百万円の増加)となりました。これは、株式の発行による収入2,565百万円(前事業年度は株式の発行による収入11百万円)が生じた一方、短期借入金の純減額850百万円(前事業年度は短期借入金の純減額150百万円)、長期借入金の返済による支出275百万円(前事業年度は長期借入金の返済による支出547百万円)、割賦債務の返済による支出37百万円(前事業年度は割賦債務の返済による支出59百万円)が生じたこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における生産実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。

事業区分

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

光計測・新領域事業(千円)

654,843

140.5

半導体事業(千円)

1,385,999

118.6

ヘルスケア事業(千円)

1,089,251

132.7

合計(千円)

3,130,094

127.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における受注実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。

事業区分

当事業年度

(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

光計測・新領域事業

599,607

89.1

316,701

107.4

半導体事業

4,371,587

228.5

2,464,155

441.6

ヘルスケア事業

1,881,908

129.6

299,116

231.8

合計

6,853,103

169.7

3,079,972

313.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における販売実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。

事業区分

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

光計測・新領域事業(千円)

579,412

110.2

半導体事業(千円)

2,465,464

142.6

ヘルスケア事業(千円)

1,711,831

129.3

合計(千円)

4,756,708

132.9

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

Marubeni America Corporation

1,323,351

37.0

1,668,535

35.1

株式会社日立ハイテク

602,233

16.8

960,334

20.2

Skyverse Technology Co., Ltd

430,000

12.0

638,650

13.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.Marubeni Specialty Chemicals Inc.とMarubeni America Corporationが2020年8月1日付で合併し、Marubeni America Corporationとなっております。

4.Skyverse Technology Co., Ltdは、2021年1月11日付で、SHENZHEN NANOLIGHTING LAB LTD.からSkyverse Technology Co., Ltdへ商号変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、光学事業の単一セグメントでありますが、事業区分別に売上高を以下に記載いたします。

a.売上高

 当事業年度において、光計測・新領域事業では、新型コロナウイルス感染症の影響も一段落し、前年同期比10.2%増の579百万円となりました。半導体事業では、半導体メーカーの旺盛な設備投資意欲を背景に当社のユーザーである半導体検査装置メーカーからの引き合い、受注が引き続き増勢で推移し、前年同期比42.6%増の売上高2,465百万円となりました。ヘルスケア事業では、安定したPET装置の市場成長に加えて主要顧客における当社のシェアアップにより、前年同期比29.3%増の1,711百万円となりました。全社では、前年同期比32.9%増の4,756百万円となりました。当社が経営目標として掲げる前年同期比増収率20%を13.3ポイント超過となりました。来期以降も引き続き目標クリアに取り組んでまいります。

 

b.売上総利益

 当事業年度の全社の増収額1,177百万円は、半導体事業で736百万円と過半を占めます。半導体事業は、ヘルスケア事業、光計測・新領域事業に比べて相対的に原価率が低いため、前年同期比で売上総利益率は4.1ポイント上昇し、売上総利益は546百万円増加し、1,630百万円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

 前年同期比で研究開発費が160百万円、給料及び手当が55百万円、役員報酬が36百万円増加し、のれん償却額が61百万円減少し、販売費及び一般管理費は315百万円増加し、1,033百万円となりました。その結果、営業利益は、前年同期比231百万円増加し、596百万円となりました。当社が経営目標として掲げる営業利益率10%に対して当事業年度は12.5%と目標を達成することができました。

 

d.経常利益

 当事業年度における営業外収益は、82百万円となりました。その主な内訳は、補助金収入67百万円及び受取地代家賃11百万円です。営業外費用は、80百万円となりました。その主な内訳は、支払利息50百万円です。

 これらの結果、当事業年度における経常利益は、前年同期比276百万円増加し、598百万円となりました。

 

e.特別利益及び特別損失

 当事業年度における特別損失は8百万円となりました。これは横浜事業所の移転予定に伴い、建物附属設備について著しく早期の資産除去が発生したことによる減損損失の計上によるものです。

 

f.税引前当期純利益

 当事業年度における税引前当期純利益は、前年同期比267百万円増加し、590百万円となりました。

 

g.法人税等

 当事業年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は、前年同期比82百万円増加し、95百万円となりました。

 

h.当期純利益

 当事業年度における当期純利益は、前年同期比185百万円増加し、495百万円となりました。当事業年度におけるROE(自己資本利益率)は、16.3%であり、今後ROEなど使用自己資本の効率や資本コストを意識した経営目標を検討してまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の資金需要のうち主なものは、製造用の設備の取得費、研究開発費、原材料等の購入費用、一般管理費等の営業費用であります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 日々の営業活動及び製品製造のための仕入れに係る資金の受け取りと支払いの差により発生する短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入で賄い、自己資本では賄えない固定資産投資等への対応資金である長期運転資金の調達につきましては、金融機関引き受けの私募社債の発行、また金融機関からの長期借入やリースを中心に、また必要に応じて資本での調達も検討することとしております。

 なお、当事業年度末における社債、借入金、リース債務及び割賦未払金を含む有利子負債の残高は2,640百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,146百万円となっております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、成長性、収益性及び資本効率性を判断する指標として、売上高成長率及び営業利益率を経営指標として捉えております。当事業年度における売上高成長率は32.9%、営業利益率は12.5%となっております。

 売上高成長率の向上をめざす施策としては、新たな用途と顧客の開拓を進めてまいります。新たな用途につきましては、光技術の応用範囲は世界規模で拡大しており、レーザによる加工や計測といった新領域・新用途への事業領域の拡大を進めております。新たな顧客の開拓の主な候補は、半導体事業やヘルスケア事業での現在の顧客の競合先が当社にとっての新たな顧客となります。

 営業利益率の向上をめざす施策としては、より付加価値の高い製品の開発を進めてまいります。具体的には、研究開発活動を行っております、医療用ボタン電池や自動車用電池を用途とする固体電池材料、放射能汚染モニタリング・セキュリティ・石油探査・医用SPECT装置を用途とするGPS結晶、5G・データセンタ通信用デバイスを用途とするアイソレータ用単結晶、パワー半導体向け単結晶等となります。

 

 

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