(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、個人消費や企業の生産活動は持ち直しの動きがみられたものの、引き続き感染症による影響を注視する必要がある状況が続いております。さらに、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスク影響についても顕在化してきており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、ゲーム情報メディア「GameWith」等にて、①ゲームを有利に進めるための情報を提供する「ゲーム攻略」、②ゲームを見つけるための情報を提供する「ゲーム紹介」、③専属のゲームタレント及びeスポーツ選手が動画プラットフォーム上で行う「動画配信」という主な3つのコンテンツの提供と充実を図ることに経営資源を投下することで、「GameWith」等のメディアの価値を高めてまいりました。
当社グループの事業は、上記コンテンツを主にWebサイトの利用者に提供し、そこに表示される広告枠を販売すること等により収益を得ております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により広告出稿を控えていた企業も徐々に出稿を増やし、「GameWith」等のページビュー当たりの広告単価は改善傾向にありました。
このような環境下において、当社グループはゲーム攻略やゲーム紹介といった既存事業の拡大に取り組むだけでなく、直近では、新規領域としてeスポーツおよびNFTゲームにも注力しており、メディア領域に次ぐ収益の柱の創造に向けて積極的に投資を行っております。eスポーツ領域については、日本におけるプロeスポーツチームのパイオニアであり、世界で最もプレイヤー数の多いPCゲームとされている「League of Legends」部門の日本チャンピオンチームの運営をし、世界的な大会においても実績を残している株式会社DetonatioNの株式を2021年10月に取得し、相乗効果が見込める事業展開を計画するなど、更なる事業を展開するための施策に、積極的に取り組みました。NFTゲーム領域においては、投資先の株式会社Kyuzanと共同開発を行っているNFTゲームが大きく成長しており、今後拡大が予想されるNFTゲーム市場におけるさらなる拡大のための基盤構築を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,120百万円(前期比8.4%増)、営業利益は200百万円(前期は営業損失209百万円)、経常利益は223百万円(前期は経常損失224百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は118百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失217百万円)となりました。
なお、当社グループは「メディア事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ28百万円増加し、3,558百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は675百万円(前連結会計年度は392百万円の支出)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前当期純利益221百万円、法人税等の還付額162百万円、未収消費税等の減少78百万円、のれん償却額57百万円、減価償却費43百万円、契約負債の増加34百万円、未払金の増加34百万円が発生したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は269百万円(前連結会計年度は28百万円の支出)となりました。これは主に、増加要因として敷金の回収による収入46百万円、減少要因として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出235百万円、投資有価証券の取得による支出53百万円、関係会社株式の取得による支出39百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は377百万円(前連結会計年度は1,267百万円の収入)となりました。これは、増加要因として新株予約権の行使による株式の発行による収入3百万円、減少要因として長期借入金の返済による支出380百万円が発生したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループの販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「メディア事業」の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
|
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
メディア事業 |
3,120 |
108.4 |
合計 |
3,120 |
108.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年6月1日 至 2021年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
Google Asia Pacific Pte. Ltd. |
618 |
21.5 |
523 |
16.8 |
株式会社サイバーエージェント |
- |
- |
351 |
11.3 |
※最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、資産及び負債、収益及び費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。
なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。新型コロナウイルス感染症による当社グループの業績への影響につきましては、本書提出日時点においてその影響期間や影響範囲を見積もることは困難です。したがって、足下の業績の状況を踏まえ、2023年5月期以降緩やかに収束に向かう仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損等について会計上の見積りを行っております。
(のれん)
当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画を基に毎期検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っておりますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は4,882百万円となり、前連結会計年度末に比べ64百万円増加しました。これは主に、未収還付法人税等161百万円、未収消費税等78百万円、敷金43百万円などが減少したものの、のれん210百万円、売掛金及び契約資産62百万円、投資有価証券44百万円、現金及び預金28百万円などが増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,608百万円となり、前連結会計年度末に比べ59百万円減少しました。これは主に、未払法人税等91百万円、契約負債75百万円、買掛金48百万円、未払金36百万円などが増加したものの、長期借入金が328百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は3,274百万円となり、前連結会計年度末に比べ123百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が118百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、3,120百万円(前期比8.4%増)となりました。詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価)
売上原価は、1,671百万円(前期比16.5%増)となりました。その主な内訳は、ゲーム攻略記事のライターに係る人件費等であります。
この結果、売上総利益は1,448百万円(前期比0.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、1,248百万円(前期比24.5%減)となりました。その主な内訳は、広告宣伝費、管理部門に係る人件費及びオフィス地代家賃等であります。
この結果、営業利益は200百万円(前期は営業損失209百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は28百万円、営業外費用は5百万円となりました。
この結果、経常利益は223百万円(前期は経常損失224百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は3百万円、特別損失は5百万円となりました。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は102百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は118百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失217百万円)となりました。
3)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、今後もゲーム情報メディア「GameWith」等に継続的に経営資源を投下し、ユーザーに向けた有益なコンテンツの提供を行うことで「GameWith」等のメディアの価値を高め、引き続き事業拡大を図ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症による市況への影響については引き続き考慮しつつ、2023年5月期はこれまで当社グループが築いた強みをより強化することに注力してまいります。
ゲーム攻略領域については、引き続き日本最大級のゲームメディア「GameWith」等を中心に、ユーザーへの広告出稿でマネタイズするモデルだけでなく、ゲーム会社から直接マネタイズを行うモデルである有料ゲーム攻略の拡販強化を行ってまいります。今後はこれらのサイトの膨大なトラフィックを活用したサービスを展開することで、マネタイズの多角化にも注力してまいります。
ゲーム紹介領域については、アプリゲームのプロモーションだけに留まらず、家庭用ゲームやPCゲームの紹介にも注力してまいります。特にPCゲームについては、マルチプラットフォームのゲームの増加により、ゲームで強くなりたいという理由でゲーミングPCを購入する人が増えていくと想定しております。そうしたユーザーの入り口に接点を持っていることが当社の強みであり、初めてゲーミングPCを購入した方向けのコンテンツを展開することにより、収益基盤の強化と持続的な成長を実現してまいります。
動画配信領域については、これまで強みであったゲーム攻略等の動画配信だけでなく、引き続きeスポーツ系動画に注力し、新たなゲームタイトルでのチャンネル立ち上げや、選手層の強化に取り組んでまいります。一方で、視聴回数については厳しい状況が続いており、コスト効率化による利益率改善も並行して進めてまいります。また、今まで動画配信に注力してこなかった「DetonatioN」のeスポーツ選手を活用することで、当社グループとして収益拡大を目指してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、人件費、地代家賃、サーバ利用料等であり、財源については自己資金によっております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と長期化に備えて、金融機関からの借入を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、売上高及び営業利益を使用しております。それぞれの指標の当連結会計年度における達成度は以下のとおりであります。
指標 |
2022年5月期 目標 |
2022年5月期 実績 |
2022年5月期 達成度 |
売上高 |
3,143百万円 |
3,120百万円 |
99% |
営業利益 |
209百万円 |
200百万円 |
96% |
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