業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、持ち直しの動きがみられます。ただし、中国における新型コロナウイルス感染再拡大の影響やウクライナにおける紛争の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。また、感染症による影響も注視する必要があります。

当社グループを取り巻く障害福祉業界においては、わが国の障害者の総数は964.7万人となり、障害者数全体は増加傾向にあります。障害福祉サービスの利用者も年々増加しており、2020年10月から2021年10月までのサービス利用者数の伸び率は全体で6.0%となっております。このうち、当社グループの主なサービス対象である精神障害者の伸び率は7.5%、障害児の伸び率は11.7%であり、とりわけ高い伸び率となっております(厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」、2022年)。これらの増加傾向は中長期的に継続していくものと考えております。さらに、2021年3月より、民間企業における障害者の法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられ、障害者雇用に対する高いニーズが見込まれます。

当社グループは、このような事業環境のなか、全国規模で事業所の継続拡大を進めてまいりました。当連結会計年度においては、新たに就労移行支援事業所を9拠点、療育事業所を5教室開設いたしました結果、当連結会計年度末における当社グループの拠点数は、就労移行支援事業が89拠点、療育事業所が51拠点となりました。

さらに、第2四半期連結会計期間において、当社グループの主力事業である「障害福祉事業」との相乗効果を視野に入れ、5-アミノレブリン酸(「5-ALA」)の商品販売を中心とする「ヘルスケア事業」を開始いたしました。

 

これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末における資産の残高は11,244,050千円(前連結会計年度末残高5,473,175千円)で、前連結会計年度末に比べ5,770,874千円増加しております。当連結会計年度末における負債の残高は5,245,233千円(前連結会計年度末残高723,167千円)で、前連結会計年度末に比べ4,522,065千円増加しております。当連結会計年度末における純資産の残高は5,998,817千円(前連結会計年度末残高4,750,008千円)で、前連結会計年度末に比べ1,248,809千円増加しております。

 

b. 経営成績

当連結会計年度における経営成績は、それぞれの事業所において利用者数及び稼働率が向上するとともに、就労移行支援事業所においては前年以上の定着実績を残せたことによりサービス単価が上昇したことで、売上高及び利益率が向上し、売上高9,894,487千円(前年同期比21.0%増)、営業利益2,527,010千円(前年同期比24.0%増)、経常利益2,659,312千円(前年同期比26.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,828,748千円(前年同期比20.0%増)となりました。

 

なお、当社グループは、従来、障害福祉サービス事業の単一事業であったことから、業績として全社合計での数値を記載しておりましたが、上記のとおり第2四半期連結会計期間において新事業を開始したことから、「障害福祉事業」、「ヘルスケア事業」の各セグメント別に業績を説明いたします。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

[障害福祉事業]

障害福祉事業におきましては、それぞれの事業所において利用者数及び稼働率が向上するとともに、サービス単価が上昇したことにより、売上高は堅調に推移しました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は 9,203,498 千円、セグメント利益は 2,220,816 千円となりました。

 

[ヘルスケア事業]

第2四半期連結会計期間において、5-ALAの商品販売開始に伴い、サプリメントを中心に販売を強化し、販売面では順調に推移しました。

これらの結果、売上高は 690,989 千円、セグメント利益は 314,521 千円となりました。

 

なお、前連結会計年度比については、第2四半期連結会計期間よりヘルスケア事業を開始したため、記載をしておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて243,200千円増加し、2,845,053千円となりました。

当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は1,225,241千円(前連結会計年度末は1,375,348千円の獲得)となりました。これは主に、収入として税金等調整前当期純利益2,506,020千円(同2,077,193千円)、減価償却費167,000千円(同132,399千円)、支出として棚卸資産の増加2,111,569千円(同6,319千円の減少)、前渡金の増加1,127,009千円、売上債権の増加207,945千円(同156,089千円)、法人税等の支払による支出539,134千円(同653,826千円)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は2,278,730千円(前連結会計年度末は415,182千円の使用)となりました。これは主に、支出として貸付けによる支出1,700,000千円、投資有価証券の取得による支出200,000千円、新規事業所開設等に伴う有形固定資産の取得による支出265,262千円(同335,657千円)、敷金及び保証金の差入による支出83,708千円(同68,327千円)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は3,724,250千円(前連結会計年度末は394,777千円の使用)となりました。これは主に、収入として長期借入れによる収入4,206,000千円、社債の発行による収入490,460千円、支出として長期借入金の返済による支出325,882千円(同79,958千円)、社債の償還による支出78,400千円(同28,400千円)、配当金の支払551,225千円(同255,632千円)によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループでは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載をしておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

期末拠点数

販売高
(千円)

前年同期比

(%)

障害福祉事業

140

9,203,498

112.6

ヘルスケア事業

1

690,989

合計

141

9,894,487

121.0

 

(注) 1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

埼玉県国民健康保険団体連合会

1,811,904

22.2

2,016,703

20.4

神奈川県国民健康保険団体連合会

1,091,196

13.3

1,261,104

12.7

東京都国民健康保険団体連合会

1,111,270

13.6

1,053,515

10.6

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は9,658,703千円(前連結会計年度末残高4,080,409千円)で、前連結会計年度末に比べ5,578,294千円増加しております。主な増加要因は、商品の増加1,869,945千円、原材料及び貯蔵品の増加241,623千円、短期貸付金の増加1,700,000千円、前渡金の増加1,127,009千円等によるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,585,347千円(前連結会計年度末残高1,392,766千円)で、前連結会計年度末に比べ192,580千円増加しております。主な増加要因は、有形固定資産の増加85,497千円、敷金及び保証金の増加68,083千円等であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は1,493,825千円(前連結会計年度末残高678,775千円)で、前連結会計年度末に比べ815,049千円増加しております。主な増加要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加499,120千円、未払法人税等の増加188,044千円、1年内償還予定の社債の増加100,000千円、賞与引当金の増加13,758千円等であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は3,751,407千円(前連結会計年度末残高44,391千円)で、前連結会計年度末に比べ3,707,016千円増加しております。主な増加要因は、長期借入金の増加3,380,998千円、社債の増加321,600千円等であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は5,998,817千円(前連結会計年度末残高4,750,008千円)で、前連結会計年度末に比べ1,248,809千円増加しております。主な増加要因は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,828,748千円等であります。また主な減少要因は、配当金の支払いによる利益剰余金の減少551,029千円等であります。

 

b. 経営成績の分析
(売上高)

当連結会計年度における売上高の合計は、9,894,487千円(前連結会計年度8,176,190千円)となり、前連結会計年度と比べ1,718,297千円増加(前年同期比21.0%増)いたしました。これは、既存事業所における利用者数の上昇、新規事業所の開設等による事業拡大に伴うものであります。また、ヘルスケア事業による5-アミノレブリン酸(「5-ALA」)の商品販売に伴う売上増加などが挙げられます。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は、6,074,193千円(前連結会計年度4,993,774千円)となり、前連結会計年度と比べ1,080,419千円増加(前年同期比21.6%増)いたしました。これは、主に、新規開設等による事業拡大に伴う人件費や地代家賃等の増加やヘルスケア事業による商品の仕入等の増加によるものであります。この結果、売上総利益は3,820,294千円(前連結会計年度3,182,416千円)となり、637,877千円増加(前年同期比20.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

販売費及び一般管理費は、1,293,283千円(前連結会計年度1,144,566千円)となり、前連結会計年度と比べ148,717千円増加(前年同期比13.0%増)いたしました。これは、主に、ウェルビーヘルスケア株式会社の連結開始に伴う費用の増加等によるものであります。この結果、営業利益2,527,010千円(前連結会計年度2,037,849千円)となり、489,160千円増加(前年同期比24.0%増)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益は、155,570千円(前連結会計年度68,979千円)となりました。主な内訳は、助成金収入69,177千円等であります。また、営業外費用は、23,267千円(前連結会計年度2,759千円)となりました。主な内訳は、支払利息11,056千円、社債発行費9,539千円等であります。この結果、経常利益2,659,312千円(前連結会計年度2,104,070千円)となり、555,242千円増加(前年同期比26.4%増)となりました。

 

(特別損益及び当期純利益)

特別損失は153,292千円(前連結会計年度26,877千円)となりました。この内訳は、投資有価証券評価損122,643千円、減損損失30,649千円であります。また、法人税等は、677,271千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,828,748千円(前連結会計年度1,523,724千円)となり、前連結会計年度と比べて305,024千円増加(前年同期比20.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要の主なものは、当社グループが運営する事業所の運転資金、事業所を新設するにあたっての設備投資資金、成長を加速するためのM&Aや新規事業開拓に伴う資金等であります。

資金需要に対しては、手許資金から充当することを基本としますが、事業拡大に伴い資金需要が発生した場合には、銀行等からの借入及び増資等、状況に応じた最適な資金の調達方法を選択します。

また、グループ各社の必要資金については、主に親会社が資金調達をし、親会社から他のグループ企業に融資していく方針であります。

株主還元については、長期に亘る安定的な経営基盤の確保を目指し、健全な財務体質の維持及び将来の事業拡大に備えるための内部留保とのバランスを図りながら、各期の経営成績及び財政状態を勘案し、株主に対して業績に応じた利益還元を行うことを基本方針としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたりまして資産・負債及び収益・費用の計上については会計基準及び実務指針等により見積り及び仮定を行っております。

なお、当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症については、現時点において重要な影響を与えるものではないと考えております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

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