業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

なお、2020年12月3日に行われた株式会社ソフテックとの企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況が続きました。各種政策の効果もあり景気には持ち直しの動きが見られるものの、国内外での感染状況は拡大と収束を繰り返しており、経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループの主たる事業領域である情報サービス産業においては、企業経営に対する新型コロナウイルスの影響が長期化する中、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた、社会環境の変化に対応するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する注目度が引き続き高く、AI、RPA(Robotic Process Automation)等の業務ロボット導入やテレワーク推進等の働き方改革など、社内における変革活動を側面支援するサービスへのニーズは、引き続き、底堅く推移しております。

このような経営環境のもと、当社グループは、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画を策定し、ロボティクス・AI・ビジネスプロセスマネジメントを活用することによって、企業変革と働き方改革を促進支援する会社として、顧客の現場に入り込み、顧客の課題や変革テーマに応じた各種支援をワンストップで提供するプロフェッショナルサービス事業及び企業のIT人材不足を解消するプラットフォーム事業を展開してまいりました。プロフェッショナルサービス事業では、外部企業との連携推進や積極的な人材採用、人材育成基盤の整備など、安定的なサービス提供能力の拡大に向けた取り組みを推進しました。プラットフォーム事業では、既存サービスである「アサインナビ」及び「コンサルタントジョブ」の積極展開に加え、事業会社とDX企業のマッチングを行う新サービス「CS Clip」の開発を推進しました。

これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高7,375,205千円(前期比32.7%増)、営業利益600,198千円(前期比25.4%増)、経常利益579,730千円(前期比29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益388,409千円(前期比43.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(プロフェッショナルサービス事業)

プロフェッショナルサービス事業では、企業活動の様々な制約によってIT部門を取り巻く環境が大きく変化していく中で、旺盛なDXに関するニーズが追い風となり、ビジネスプロセスマネジメントを活用した業務の可視化・改善を強みとする従来型のコンサルティング案件(業務分析・設計、IT導入支援・現場展開)の受注は堅調に推移いたしました。株式会社ソフテックの連結子会社化による静岡・東海エリアでの事業拡大、株式会社ログラス及びアウトルックコンサルティング株式会社との業務提携による経営管理領域でのデジタルトランスフォーメーション推進等、テクノロジー企業を中心とする外部企業との連携を推進するとともに、花王グループカスタマーマーケティング株式会社とのAIによる自動棚割りアルゴリズム開発等、DX領域における先進的な案件への取り組みを進めました。また、書籍発刊やセミナー、オウンドメディア等を通じ、知名度向上やブランディング強化を目指した外部への情報発信も積極的に実施しました。

この結果、プロフェッショナルサービス事業の売上高は7,125,017千円(前期比32.8%増)、セグメント利益(営業利益)は550,462千円(前期比27.1%増)となりました。

 

(プラットフォーム事業)

プラットフォーム事業では、IT業界に特化した、ビジネスマッチングと学びの場を提供するプラットフォームである「アサインナビ」の会員数は、2021年12月31日現在で法人・個人を合わせ11,436会員(前期末比1,230会員の増加)となり、順調に成長を続けております。会員基盤の拡大に伴うマッチングの増加や、「アサインナビ」及び「コンサルタントジョブ」の更なる活性化に向けた料金プラン変更等により、売上高は堅調に推移しました。一方、新サービス「CS Clip」への開発投資を継続するとともに、収益化に向けたマーケティング活動を積極化し、既存サービスの収益拡大に向けた組織体制の強化も実施しました。

この結果、プラットフォーム事業の売上高は323,282千円(前期比36.1%増)、セグメント利益(営業利益)は49,736千円(前期比9.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて254,967千円減少し、2,224,258千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加額393,222千円、前払金の増加額280,589千円、法人税等の支払額234,813千円等がありましたが、前受金の増加額493,109千円、仕入債務の増加額149,600千円、のれん償却額44,950千円、未払金の増加額31,618千円、減価償却費29,334千円等により、421,956千円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の差入による支出164,026千円、投資有価証券の取得による支出127,500千円、無形固定資産の取得による支出52,989千円、有形固定資産の取得による支出37,320千円等により、399,680千円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入90,000千円、株式の発行による収入91,960千円等がありましたが、自己株式の取得による支出146,579千円、長期借入金の返済による支出312,989千円等により、277,608千円の支出となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。

 

b. 受注実績

当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

プロフェッショナルサービス事業

7,117,733

132.6

プラットフォーム事業

257,471

136.5

合計

7,375,205

132.7

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

キリンホールディングス株式会社

606,371

10.9

648,430

8.8

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積りを行っている部分があり、これらの見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は5,080,103千円となり、前連結会計年度末に比べ、789,825千円増加しました。これは、主に売掛金が342,334千円、前払金が280,589千円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

負債は3,003,334千円となり、前連結会計年度末に比べ、445,602千円増加しました。これは、主に前受金が493,109千円増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

純資産は2,076,769千円となり、前連結会計年度末に比べ、344,222千円増加しました。これは、主に利益剰余金が388,409千円、資本金が45,980千円、資本剰余金が53,754千円、自己株式が141,694千円増加したことによるものであります。自己資本比率は、40.9%となっております。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は7,375,205千円となり、前連結会計年度に比べ1,819,470千円増加いたしました。これは、主にプロフェッショナルサービス事業において既存顧客を中心に受注が堅調に推移したこと、前連結会計年度において連結子会社化した株式会社ソフテックの業績が通期で寄与したこと、及び、プラットフォーム事業において会員数が増加し、マッチング実績の増加に伴い成約手数料が増加したことによるものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度の売上原価は4,748,104千円となり、前連結会計年度に比べ1,239,018千円増加いたしました。これは、主にプロフェッショナルサービス事業において、コンサルタント及びエンジニアの採用により人件費が増加したこと及び適切な要員を確保するため外注加工費等のコストが増加したことによるものであります。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,026,902千円となり、前連結会計年度に比べ458,861千円増加いたしました。これは、主に従業員の増加に伴い人件費及び採用費が増加したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は600,198千円となり、前連結会計年度に比べ121,589千円増加いたしました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外費用は26,342千円となり、前連結会計年度に比べ10,999千円減少いたしました。これは、主に、持分法による投資損失が増加する一方、東京証券取引所市場第一部への市場変更に伴う上場関連費用がなくなったことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は579,730千円となり、前連結会計年度に比べ132,510千円増加いたしました。

 

  (税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の特別損失は23,803千円となりました。これは、実質価額が著しく下落した投資有価証券について減損処理を行ったこと及び超過収益力の低下に伴うのれんの減損処理を行ったことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は555,926千円となり、前連結会計年度に比べ127,525千円増加いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等合計は170,109千円となり、前連結会計年度に比べ1,758千円増加いたしました。これは、主に法人税、住民税及び事業税の増加に伴うものであります。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は388,409千円となり、前連結会計年度に比べ118,082千円増加いたしました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況判断するための客観的な指標等

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針に従い、優秀な人財を獲得・育成し、収益性を維持・向上しながら事業規模の拡大を目指しております。

当社グループでは、事業の成長性を計る売上高成長率及び事業の収益性を計る売上高営業利益率を主要な指標として経営を行っており、当連結会計年度における売上高成長率は32.7%、売上高営業利益率は8.1%となりました。売上高及び営業利益は4期連続で期初目標値を上回り、順調に事業成長しております。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性について

a. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資金需要及び財政政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費や外注加工費等の運転資金、オフィス賃料や人材確保のための採用費等の営業費用であります。これらの資金需要に対し、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入金等により必要となる資金を調達しており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

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