業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、顧客への財又はサービスの提供における当社グループの役割が代理人としての性質が強いと判断されるものについては、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識することとしています。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減分析および前期比(%)を記載せずに説明しております。

 

 当社グループの主力事業が属するインターネット広告市場は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの成長を続け、運用型広告のさらなる拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告、動画広告の増加により2021年のインターネット広告媒体費は前年比122.8%の2兆1,571億円となり、2022年には2兆4,811億円(※1)まで拡大すると見込まれております。

 また、当社グループが事業領域を拡大しているSaaS市場は、企業における働き方の変化や業務のデジタル化推進など、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として成長をさらに加速させており、2024年には約1兆1,000億円(※2)へ拡大する見通しです。

 国内経済においては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、先行き不透明な状況が続いております。その一方で、テレワークの普及やオンラインショッピング、非接触型決済の拡大など、デジタル技術を活用した生活・消費行動への移行が進んでおります。

 このような事業環境の下、当社グループは、企業のあらゆるマーケティング活動をテクノロジーで支援し、日本とアジアに貢献するため、パーパスを新たに設定しました。Business Purpose(ジーニーのプロダクトやサービスが実現する世界観)として、「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」、Corporate Purpose(組織の長期目標・存在意義)として、「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」としました。また、Purpose実現に向けて、お客様にサービスをより分かりやすく、使いやすく提供できるよう、新ブランド「GENIEE Marketing Cloud」「GENIEE Ads Platform」を立ち上げ、プロダクト名とロゴを刷新しました。

 今後も日本発のテクノロジーカンパニーとして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

 

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、事業セグメントを広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業、海外事業として開示しております。従来、マーケティングソリューション事業(現マーケティングSaaS事業)に含まれていた一部の事業を広告プラットフォーム事業に変更しております。また、上記の通り「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度におけるセグメント別の業績については、前連結会計年度との比較分析を行っておりません。

・広告プラットフォーム事業

 広告プラットフォーム事業では、Webサイトやスマートフォンアプリ上に、各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択し表示させる技術(アドテクノロジー)を使って、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させるプラットフォームを提供しております。具体的には、インターネットメディア向けの「GenieeSSP」や広告主/広告代理店向けの「GenieeDSP」等があり、これらプラットフォームのOEM提供も行っております。

 「GenieeSSP」や「GenieeDSP」経由で広告が配信されると、広告表示回数や単価に応じて広告主から当社グループへ広告掲載料(=当社グループの売上)が支払われます。広告代理店や他社DSP、アドネットワーク、OEM提供先を介して広告が配信される場合は、広告主からそれらを経由して広告掲載料をいただいております。

 当期は、サプライサイドビジネスにおいて、媒体社の広告収益とユーザーエンゲージメントを高める「Web動画リワード広告」フォーマットの提供を開始したほか、気象庁ホームページの広告運用事業における広告配信システムの提供や大型媒体との取引開始など、プロダクトの大幅なアップデートや拡販を行いました。また、デマンドサイドビジネスにおいては、コロナ禍でも伸びているECサイトやオンラインサービスを中心に事業を拡大しました。さらに、自社開発及び他社との連携による3rd Party Cookieに依存しない共通IDを活用する広告配信の検証を開始しました。

 デジタルOOH(※3)領域においては、屋外広告媒体との新規取引や新規DSPとの連携など、広告配信面の拡大と流通量の増加に努めました。

 この結果、同事業の売上高は、11,246百万円、セグメント利益は1,727百万円となりました。

 

 

・マーケティングSaaS事業

 マーケティングSaaS事業では、企業のマーケティング活動の支援を目的としたBtoB向けSaaSプロダクトを中心に、顧客企業の広告運用代行サービスを含めた各種ソリューションを提供しております。具体的には、営業活動における商談管理のための営業管理システム(SFA)及び顧客管理システム(CRM)「GENIEE SFA/CRM」、企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に潜在顧客の集客や購買意欲等の向上を実現するマーケティングオートメーション「GENIEE MA」、国内有数の導入企業社数4,500社を誇るチャット型Web接客プラットフォーム「GENIEE CHAT」、サイト内検索・ECサイト向け商品検索サービス「GENIEE SEARCH」などがあります。

 「GENIEE SFA/CRM」「GENIEE MA」「GENIEE CHAT」「GENIEE SEARCH」などのSaaSプロダクトでは、基本的に導入企業様より月額でシステムやサービスの利用料(=当社グループの売上)をいただいております。

 当期は、「GENIEE SFA/CRM」などの各プロダクトの機能強化を進めたほか、新商品「GENIEE DATA CONNECT」、「GENIEE BI」の提供を開始しました。また、オンラインセミナーの開催やオンライン展示会などへの参加により、プロダクトの拡販に努めました。さらに、SaaSプロダクトの機能やサービスの拡充のため、積極的なM&Aを実施しました。業務提携においては、不動産事業に特化したSaaS型サービスを展開するSS Technologies株式会社と、不動産事業者向けにDXを推進するためのシステムの共同構築を開始しました。重点領域であるEC顧客(D2C)へのサービス拡充及び収益機会の拡大のため、株式会社REACT及びCATS株式会社を完全子会社化し、顧客獲得・管理チャットボット機能や広告効果測定、分析レポート機能を追加しプロダクト機能を強化・拡充しました。

この結果、同事業の売上高は、1,176百万円、セグメント利益は125百万円となりました。

 

・海外事業

 海外事業では、インターネットメディア向けの「GenieeSSP」や広告主/広告代理店向けの「GenieeDSP」をはじめとした事業を中心に展開しております。

 当期は、リセラー及びパートナーシップビジネスの強化を推進しました。また、DAILYMOTION ASIA PACIFIC及びGLIACLOUDとAPACにおける事業拡大に向けた提携を行いました。

この結果、同事業の売上高は、2,131百万円、セグメント利益は163百万円となりました。

 

 この結果、当期の業績は、売上高14,459百万円、営業利益738百万円(前期は営業利益195百万円)、経常利益746百万円(前期は経常利益149百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益335百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益101百万円)となりました。

 なお、当社グループでは、M&Aを活用した事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していく中、各国の会計基準の差異にとらわれることなく企業比較が可能なEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)を経営指標として重視しており、当期のEBITDAは1,325百万円(前期は587百万円)となりました。

 

注.1 株式会社 CARTA COMMUNICATIONS(CCI) /株式会社 D2C /株式会社電通 /株式会社電通デジタル調べ

注.2 出典元:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」

注.3 OOHとは、Out Of Homeの略で、交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する広告メディアの総称

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,476百万円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,139百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益499百万円、減価償却費の計上412百万円、のれん償却費の計上174百万円、売上債権の増加497百万円、仕入債務の増加522百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、1,273百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出675百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出544百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、483百万円となりました。これは主に、短期借入による収入1,209百万円、長期借入による収入800百万円、短期借入金の返済による支出813百万円、長期借入金の返済による支出326百万円、自己株式の取得による支出299百万円等によるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(2)受注実績

 当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

広告プラットフォーム事業

11,224,484

94.29

マーケティングSaaS事業

1,176,980

175.85

海外事業

2,057,988

138.25

合計

14,459,453

102.83

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

        2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Google Inc.

5,141,089

36.6

5,138,102

35.5

ヤフー株式会社

991,603

7.1

1,429,868

9.9

3.上記のGoogle Inc.に対する売上高には、Google Asia Pacific Pte.Ltd.等の各社に対する売上高が含まれております。

 

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理を行う可能性があります。

 

(有価証券の評価)

 当社グループは、長期的な協力関係や取引関係の観点から株式等を保有しており、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に、株式等の減損処理を実施することとしております。従って、経済情勢の変化等により、投資先企業の財政状態の悪化に伴い、投資価値が毀損することがあり、その場合、必要と認められた額について引当金又は減損処理を行う可能性があります。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は3,815百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,088百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が384百万円増加し、売掛金が540百万円増加したことによるものであります。固定資産は3,520百万円となり、前連結会計年度末に比べ595百万円増加いたしました。これは主にのれん390百万円増加、ソフトウエア仮勘定95百万円増加などにより無形固定資産が527百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は7,336百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,684百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は3,488百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,334百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が500百万円増加、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が630百万円増加、また未

払法人税等が142百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,114百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が237百万円増加、資産除去債務が17百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は4,603百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,608百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は2,732百万円となり、前連結会計年度末に比べ75百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上335百万円及び自己株式の取得299百万円によるもので

す。

 この結果、自己資本比率は37.1%(前連結会計年度末は47.0%)となりました。

 

(3)経営成績の分析

 経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(6)当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資及びM&A等の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,237百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,476百万円となっております。

 

 

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