(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度における経営環境は、入国制限の緩和や新型コロナウイルス感染者の療養期間の短縮等、経済活動の正常化に向けての動きが見られましたが、第5波、第6波、第7波の到来により引き続き厳しい状況が続きました。また、ウクライナ情勢や世界的な物価高騰、急激な円安、金融市場の不安定化等により、政治的情勢、経済的情勢が不安定となり、今後の見通しが立てづらい状況となっております。
そんな中、日本船に関しては、乗務員の感染等により運航を中止するという事態が何度か生じておりますが、引き続き運航を継続していくこととなっております。日本発着外国船に関しては、未だに運航が再開されておりません。ただし、海外ではほとんどの地域や国で運航が正常化しており、乗船規制の緩和も進んでいるため、当社としては、年末年始をめどに運航が再開されるものと見込んでおります。海外発着クルーズに関しては、一部の船会社において、予約状況がコロナ禍前のほぼ2倍まで増えてきているなど、新型コロナウイルスによる悪影響がほとんどない状況となっております。
このような状況のもと、当社グループでは、日本船3船、海外発着クルーズ、フェリーの販売促進強化と、国内旅行サイトの開発注力、ホテル予約サイトの事業譲受等を行ってまいりました。日本船に関しては、広告強化やお得なキャンペーンを複数回実施することで、取扱高を前年比で257.1%増、2019年比で127.5%増と大幅に伸ばすことができました。海外発着クルーズに関しては、コロナ禍ということで取扱高がほぼゼロという状態が約2年続きましたが、入国制限の緩和や船会社の乗船制限の緩和等により、徐々に予約が増えてきたため、船会社と連携して魅力的なキャンペーンを打つなど販売促進強化を行ってきました。フェリーに関しては、メインサイト「ベストワンクルーズ」内のフェリー各社の一覧ページのUI改善や広告強化により取扱高を大幅に伸ばし、前年比で1,567.5%増となりました。国内旅行サイトに関しては、2021年10月にホテル・旅館予約サイト「ベストワン宿泊予約」を、2022年1月にオリジナル国内ツアー予約サイト「ベストワン国内ツアー」を、2022年7月に航空券・新幹線+ホテル・旅館を自由に組み合わせられる国内旅行予約サイト「ベストワン国内ダイナミックパッケージ」をリリースいたしました。現在は、今秋リリース予定の国内航空券予約サイトの開発を急ピッチで行っております。その他、2021年11月には、Z世代等の若者世代をメインターゲットとした後払い決済可能なホテル予約サイト「minute」と旅行・ホテル予約サイト「minute マガジン」の事業譲受を行い、これまで未開拓だったターゲット層の取り込みを図りました。
子会社のえびす旅館においても、厳しい外部環境に変わりはございませんが、徐々に改善しつつあるという状況です。季節毎のイベントに合わせた宿泊プランの設定や競合となる周辺の宿泊施設の料金動向を注意深くチェックし料金に反映させることにより稼働率向上を図ってまいりました。結果として、周辺の宿泊施設に比べ高い稼働率を維持できており、単月では減価償却前で黒字化する月も出てきている状況です。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は246,604千円(前年同期比193.8%増)、営業損失は187,308千円(前年同期は138,575千円の営業損失)、経常損失は177,332千円(前年同期は133,332千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は218,161千円(前年同期は130,230千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループは、全セグメントの売上高合計額、営業損益の合計額に占める「旅行業」の割合がいずれも90%を超えるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は、144,534千円の支出(前連結会計年度は136,301千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失220,357千円、契約負債の増加134,327千円、旅行前払金の増加90,801千円、投資有価証券評価損46,484千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、53,797千円の支出(前連結会計年度は63,686千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入24,078千円があったものの、投資有価証券の取得による支出40,000千円、固定資産の取得による支出29,569千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は、8,808千円の収入(前連結会計年度は194,522千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金返済による支出278,580千円があったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入187,290千円、長期借入れによる収入100,000千円があったことによるものであります。
以上により当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度に比べて181,202千円減少し、1,390,448千円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における仕入実績は次の通りです。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報につきましては、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
当連結会計年度の売上高は246,604千円(前年同期比193.8%増)、営業損失は187,308千円(前年同期は138,575千円の営業損失)、経常損失は177,332千円(前年同期は133,332千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は218,161千円(前年同期は130,230千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は246,604千円(前年同期比193.8%増)となりました。これは旅行売上の増加によるものです。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
売上原価は206,187千円(前年同期比313.6%増)、販売費及び一般管理費は227,725千円(同31.9%増)となりました。これは主に国内仕入高が146,211千円、広告宣伝費が39,337千円増加したことによります。
この結果、当連結会計年度の営業損失は187,308千円(前年同期は138,575千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は22,587千円(前年同期比57.9%増)となりました。これは主に受取補償金が2,703千円減少した一方、助成金収入が3,738千円、為替差益が6,812千円増加したことによります。
営業外費用は12,611千円(同39.1%増)となりました。これは主に投資事業組合運用損が2,544千円増加したことによります。
この結果、当連結会計年度の経常損失は177,332千円(前年同期は133,332千円の経常損失)となりました。
(特別利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は3,459千円(前年同期比76.9%減)となりました。これは投資有価証券売却益が11,540千円減少したことによります。
特別損失は46,484千円(前年同期比401.3%増)となりました。これは和解金計上がなくなった一方、投資有価証券評価損の計上が生じたことによります。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は218,161千円(前年同期は130,230千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて55,697千円減少し、2,250,871千円となりました。これは主に、旅行前払金が90,801千円増加した一方、現金及び預金が210,785千円、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が37,142千円減少したことによります。
(負債)
当連結会計年度末の負債総額は前連結会計年度末に比べて24,916千円減少し、1,720,125千円となりました。これは主に、契約負債が134,327千円増加した一方、長期借入金が209,510千円減少したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて30,781千円減少し、530,746千円となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金が94,029千円、資本剰余金が94,029千円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が218,161千円減少したことによります。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通り、営業活動によるキャッシュ・フローの支出、投資活動によるキャッシュ・フローの支出、財務活動によるキャッシュ・フローの収入の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて減少となりました。
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通り、事業環境、法規制等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当該リスクを分散・低減すべく、市場動向に留意しつつ内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保育成することで、顧客のニーズを的確にとらえた商品やサービスを、適時に提供してまいります。
当社グループは現在、クルーズ専門の検索予約サイト「ベストワンクルーズ」の運営を軸として、海外・国内クルーズの乗船券及びパッケージツアーを取扱っておりますが、今後クルーズ旅行の販売・予約経路としてオンラインのシェアが増大していくと予測される中で、更なる情報量、取扱いコース数の充実を図るとともに、ユーザー向け機能の強化などユーザビリティを向上させることで競合優位性を拡大していく必要があります。
また、クルーズ旅行という旅の形態を、現在認知されている一部の旅行者ではなく、より広く多くの旅行者に認知、経験してもらうために、テーマ特化型や、若年層や家族など顧客属性を絞った多サイト展開を行うことや、インバウンドニーズに対応する多言語対応を進めるなどの新たな展開を図る方針です。
また、2021年4月にバスツアー予約サイト「ベストワンバスツアー」、2021年10月にホテル・旅館専門予約サイト「ベストワン宿泊予約」、2022年1月にオリジナル国内ツアー専門予約サイト「ベストワン国内ツアー」、2022年7月国内予約サイト「ベストワン国内ダイナミックパッケージ」をオープンし、今後、国内航空券予約サイトがオープン予定となっております。今後、旅行需要の急激な回復が見込まれる中で、クルーズ旅行の需要の取り込みを図りつつも国内旅行事業の成長を図ることにより、グループ内での事業の多角化を進め、クルーズ事業一本足からの脱却を図ってまいります。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、当社は、世界の多くの国や地域においてクルーズの運航が正常化し、乗船規制の緩和も進んでいる状況を鑑み、年末年始をめどに日本発着外国船の運航再開が行われるのではないかと見込んでおります。また、入国制限の更なる緩和措置等により、今後、海外発着クルーズの需要もますます高まってくるものと考えております。
なお、当期の業績が芳しくなかったものの、当面の資金繰りについては問題ございません。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高めるべく努めております。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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