業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して増加しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの混乱等の影響を受けましたが、ワクチン普及に伴う経済活動の進展や各国での景気刺激策の実施により、景気の回復が見られました。しかしながら、年度後半には、世界的な資源価格の上昇、米国における金融引き締めやウクライナ情勢、日本においては急激な円安など、様々な不安定要素により、先行きの不透明感は強まっております。

当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、半導体供給不足、原材料価格の高騰などの懸念がありながらも、リモートワークの定着などを背景としたデジタル機器向けの需要増加や産業機器向け部品の回復などにより、堅調に推移いたしました。

このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講じつつ、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。

・当社東京技術センター、関西技術センター及び米国R&Dセンターにおいて、マーケットインの発想に立脚した、差別化のできる高付加価値な汎用製品、及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため開発活動を進めました。

・品質向上とコスト削減を両立させるべく、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと安定供給、納期対応の実現を進めました。

・顧客訪問が制限される中、オンラインを活用しながら、各地域に密着した営業活動を継続し、顧客の要望や製品企画への迅速かつ柔軟な対応と営業基盤の維持に努めました。

・製品需要に対しては、世界的に半導体需要が高まる中、生産力を確保するべく、更なる設備投資を推進し、一方で、原材料価格の高騰に対しては、製品販売価格の値上げを進めております。

・当社のビジネスの成長を加速させるため、超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う、株式会社ノベルクリスタルテクノロジーに対して追加出資を行い、新製品開発に関しても、様々なフェーズにおける活動を進め、連携を深めました。

・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。

・フェニテックセミコンダクター株式会社においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上に加え、半導体需要の高まりに対応するため、本社工場の第一工場への統合作業の完了を延期し、本社工場での生産を継続しながら、第一工場・鹿児島工場において、更なる投資を進めております。

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産は347億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億58百万円の増加となりました。主な要因は、借入金の弁済や有形固定資産の取得等により現金及び預金が15億17百万円減少したものの、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が12億86百万円増加、世界的な半導体不足の状況を踏まえて早めに在庫を確保したことにより商品及び製品が17億3百万円の増加、また、当社連結子会社における設備投資により機械装置及び運搬具が4億21百万円、建設仮勘定が2億98百万円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は120億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億18百万円の増加となりました。主な要因は、借入金の弁済により長期借入金が9億50百万円減少したものの、売上高の増加に伴い支払手形及び買掛金が3億75百万円、設備投資等にかかる未払金が4億32百万円、未払法人税等が10億39百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は227億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億39百万円の増加となりました。主な要因は配当金の支払い4億41百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益31億57百万円の計上及び退職給付に係る調整累計額、為替換算調整勘定の変動によるものであります。

この結果、自己資本比率は65.4%となり、1株当たり純資産額は2,077円66銭となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は308億64百万円(前年同期比30.2%増)となりました。全体として、世界的な半導体の需要増加の影響を受け、前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が209億45百万円(前年同期比23.5%増)、アジアが78億93百万円(前年同期比42.8%増)、欧州が12億5百万円(前年同期比72.9%増)、北米が8億20百万円(前年同期比55.9%増)となりました。

 

(営業利益)

営業利益は38億97百万円(前年同期比222.3%増)となりました。全体として、売上高の大幅な増加により、前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が33億60百万円(前年同期比259.4%増)、アジアが5億29百万円(前年同期比140.8%増)、欧州が1億49百万円(前年同期は43百万円)、北米が1億36百万円(前年同期は9百万円)となりました。

 

(経常利益)

経常利益は41億24百万円(前年同期比241.9%増)となりました。営業利益の増加と為替差益の計上に伴い、前年増となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は31億57百万円(前年同期比238.2%増)となりました。経常利益の増加と特別利益の発生により、前年増となりました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。

 

なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。

(製品別の売上高)                                     (単位:百万円)

 区 分

当連結会計年度

前年同期比増減額

前年同期比増減率

VD

2,322

682

41.6%

VR

5,782

1,278

28.4%

DCDC

4,319

1,294

42.8%

ディスクリート

16,230

2,405

17.4%

その他

2,209

1,490

207.1%

 合 計

30,864

7,151

30.2%

(注)1.製品の内容は次のとおりであります。

VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)

VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)

DCDC…………DC/DCコンバータ

ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等

その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等

 

(セグメント業績)

(日本)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器、AV機器分野向けの売上が増加したことにより、209億45百万円(前年同期比23.5%増)、セグメント利益は33億60百万円(前年同期比259.4%増)となりました。

なお、収益認識に関する会計基準等を適用したことにより、日本セグメントにおける売上高は10百万円増加し、セグメント利益は5百万円減少しております。

 

(アジア)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器分野向け及び車載分野向けの売上が増加したことにより、78億93百万円(前年同期比42.8%増)、セグメント利益は5億29百万円(前年同期比140.8%増)となりました。

 

(欧州)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加したことにより、12億5百万円(前年同期比72.9%増)、セグメント利益は1億49百万円(前年同期は43百万円)となりました。

 

(北米)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加したことにより、8億20百万円(前年同期比55.9%増)、セグメント利益は1億36百万円(前年同期は9百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により17億53百万円増加し、投資活動により16億8百万円減少し、財務活動により20億56百万円減少した結果、当連結会計年度末の残高は101億63百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加13億21百万円、増産による棚卸資産の増加25億8百万円等を要因とする資金の減少があったものの、売上高の増加による税金等調整前当期純利益44億14百万円等を主因として、17億53百万円の収入(前年同期比37百万円の収入減)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が16億13百万円あったこと等により16億8百万円の支出(前年同期比62百万円の支出増)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度にあった長期借入れによる収入40億円が当連結会計年度にはなかったこと、借入金の一部返済により短期借入金の増減額及び長期借入金の返済による支出が合計15億31百万円あったこと、また配当金の支払額が4億40百万円あったこと等により、20億56百万円の支出(前連結会計年度は収入側であったため、前年同期比42億31百万円の支出増)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

 日  本  (千円)

21,859,805

127.8

 合  計  (千円)

21,859,805

127.8

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2)受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

24,999,093

125.7

10,069,493

167.4

アジア

10,360,741

143.4

4,961,295

199.0

欧州

1,949,937

192.4

1,272,098

241.0

北米

1,151,867

175.3

548,542

252.9

合    計

38,461,640

133.6

16,851,429

182.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

 日  本  (千円)

20,945,204

123.5

 ア ジ ア (千円)

7,893,135

142.8

 欧  州  (千円)

1,205,659

172.9

 北  米  (千円)

820,246

155.9

 合  計  (千円)

30,864,245

130.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

IXYS Corporation

2,556,561

10.8

2,607,550

8.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)概観

当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。当連結会計年度の世界半導体市場は、新型コロナウイルスの影響や原材料価格の高騰などの懸念がありながらも、リモートワークの定着などを背景としたデジタル機器向けの需要増加や、産業機器向け部品の回復などにより需要は拡大を続け、期を通じてグローバルに高い水準で推移いたしました。

当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2021年においては、上記の通り急激な半導体の需要増加を背景に、アナログICは26%、ディスクリートは29%程度の増加となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高も前年同期比30.2%増と好調に推移しました。

当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。世界的に取り組みが進む脱炭素に向けた電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で、重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。

 

当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、世界の全地域で好調な結果となりました。アプリケーション別では、重点分野である産業機器、車載機器分野が好調に推移しました。

こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資は、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなります。

 

当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。

 

2)日本事業

日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の68%を占めています。

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出される中、消費は一進一退の動きが続き、景気回復は鈍化しました。

日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、家電分野向け及び車載機器分野向けの売上が好調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。

一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、昨年度低調だった車載機器分野向けが回復し、日本国内向け売上が大幅に増加、連結子会社化以後、最高の売上高となりました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は強く、より一層の技術力アップにも努めております。

なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。

 

3)アジア事業

当連結会計年度におけるアジア経済は、新型コロナウイルス影響を大きく受けましたが、中国では、ゼロコロナ政策に伴う活動制限や、消費者が感染を警戒し外出を控えたことなどから、消費が低迷しましたが、世界的な設備投資の増加を受けて輸出は堅調に推移しました。これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、産業機器分野向け及び車載分野向けの売上が好調となりました。

アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。

また、各種報道でもありますように、世界各国の政府が、国策として半導体産業強化に力を入れており、中国も、これまで以上に国を挙げて半導体生産の国内化を加速させており、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。

 

4)欧州事業

当連結会計年度における欧州経済は、新型コロナウイルスの流行により各国でロックダウンなどの制限措置と緩和を繰り返しながらも、経済は正常化に向かい、回復傾向にありました。期末にかけては、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受け、先行きは不透明な状況です。これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、産業機器分野向けの売上が好調となりました。

欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。

 

5)北米事業

当連結会計年度における北米経済は、新型コロナウイルスの流行がありながらもワクチン接種の進展により大規模なロックダウンは実施されず、個人消費と設備投資という堅調な内需がけん引し、経済は回復傾向にありましたが、インフレが加速し、先行きは不透明な状況です。これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、産業機器分野向けの売上が好調となりました。

北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。

 

C.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は14.9%でした。引き続き、売上及び各段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目標としながらも、更に高めていくための体制を構築してまいります。

 

d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

1)資金需要

当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。

 

2)財政政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。

 

3)資本政策

当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。

この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための設備投資・研究開発に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。

利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。

このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

a.当社の商品及び製品の評価

当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断された棚卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社の営業循環過程から外れた商品及び製品の対象の識別については、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき実施しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

b.固定資産の減損

固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っておりますが、減損損失の認識の要否を判定した資産、または、資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローが有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超えると判断されたため、減損の認識は不要と判断しております。減損損失の認識の要否判定に用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、市場動向を考慮した販売数量予測や最適な生産リソースの配分等を仮定として織り込んでおります。これらの仮定を含む将来予測は不確実性を伴い、将来キャッシュ・フローの見積りに対して、実際に発生したキャッシュ・フローが見積りを大きく下回った場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。

 

 

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